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清水エスパルスの開幕4戦負けなしと最少失点から見えた “3年ぶりJ1”での可能性と確かなこと

アットエス


【スポーツライター・望月文夫】
清水エスパルスが、3年ぶりのJ1ステージ序盤を順調にスタートさせた。3月2日の第4節アウェー岡山戦はドローで終えたが、開幕から4戦連続負けなしで首位と勝ち点2差の5位。試合後に秋葉忠宏監督は「自信が確信に変わった」と胸を張り、気の早いサポーターは「もしや優勝も」と歓喜の声を上げ、頂点も視野に今後の戦いに期待を高めている。

確信の正体は、負けなしを後押しするリーグ最少タイに並ぶ4試合でわずか2失点の守備だ。秋葉監督は「2失点ともセットプレーから。流れの中での失点はなく、これがJ2だったとしても凄いこと」と前置きし、「(監督就任からの)1年半に積み上げたもので成績を残している。その自信が選手の確信に変わったんだと思う」と、地に足を付けた結果だと強調した。

好結果を呼び込んでいる要因の一つは、ハードワークできていることだ。昨年からフィジカルコーチが2人体制となり、アスリート能力を上げることに取り組んできた。指揮官は「それが実を結び、インテンシティ(強度)や運動量が上がってきた」とみる。

選手の献身的なプレーぶりも見逃せない。「チームのため、勝利のため、仲間のためサポーター・ファミリーのためにやるんだという話を繰り返してきた。外国籍選手を含め、全員が犠牲心を持ってやってくれている」と満足顔の指揮官。

第3節広島戦後、途中出場から守備を怠った若手には厳しく指摘した。「そこに気づいてくれ、次の岡山戦は攻守で改善した。良い選手だからこそ厳しくするし、やれる選手だから要求する」。指揮官の愛のムチが一人の若手を戦える選手に成長させ、チーム力をさらに強固なものにした。

好発進したオレンジ軍団を、過去のデータも後押しする。シーズン開幕から4戦連続負けなしで2失点以内だったのはJ1では過去に3回あるが、いずれも好結果で終えている。最初の1999年は開幕から首位争いを演じ、第2ステージで優勝。年間王者は逃したが年間勝ち点65は2位に7差をつけ最多で、当時のペリマン監督は「一番王者に相応しいのは我々だ」と選手の健闘を称えた。

2002年は前年度の天皇杯優勝の勢いのまま、地元開催W杯の日本代表にDFでは森岡隆三と市川大祐、MFには三都主アレサンドロと戸田和幸の4選手を輩出。本大会でもチームの好調ぶりを反映した活躍を見せ、年間順位は8位で終えたがクラブへの注目度やブランド力をさらに高める結果となった。

2010年は、6年間指揮を執った長谷川健太監督の集大成となった最終年で、中盤以降は失速したものの開幕から首位を独走し地元を大きく盛り上げ、最後は天皇杯を準優勝で終了。開幕から4戦連続負けなしだった過去3回ともに、クラブ力を見せつけるには十分なシーズンとなった。

そして今年。序盤の戦いぶりが共通する過去3回と同様の好スタートを切ったが、指揮官はさらに上を見る。

「あまり点が取れていない。失点を減らすことに集中しているからかもしれないが、できれば守備への力を使いながら攻撃で多くのチャンスをつくる作業をしたい。守備に注力すると固いゲームになるが、静岡のチームなので3点4点は取らないと面白くない。成長力、競争力を高めながら、どうやって点を取るかにチャレンジしたい」

2015年以降のJ1でシーズンワースト失点を3回記録したチームが、序盤ながらも最少失点で上位争いに参戦している。この勢いはシーズン終盤まで続くのか。確かなのは、チームはいま勢いを維持し、ここ10年以上残留争いと降格を見てきたサッカーどころのサポーターたちのボルテージが久々に上がっていることだ。
【スポーツライター・望月文夫】
1958年静岡市生まれ。出版社時代に編集記者としてサッカー誌『ストライカー』を創刊。その後フリーとなり、サッカー誌『サッカーグランプリ』、スポーツ誌『ナンバー』、スポーツ新聞などにも長く執筆。テレビ局のスポーツイベント、IT企業のスポーツサイトにも参加し、サッカー、陸上を中心に取材歴は43年目に突入。

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