“自分らしく生きる”を誓う 山下公園でひとり結婚式
爽やかな秋晴れが広がる9月23日、山下公園でトランスジェンダー女性のセルフウエディング(ひとり結婚式)が行われた。「自分らしく生きていくことを誓いますか」の問いに「はい」と答えた徳光みくさん(34)。その姿に家族や友人、同僚など約40人の参列者からは盛大な拍手が送られた。
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徳光さんは戸籍上は男性で性自認は女性のトランスジェンダーだ。自認してから10年の節目に、今後の人生もありのままに生きていく決意表明と、周囲の人へ感謝を伝えるため式を挙げた。
山下公園は幼少期に家族旅行で訪れたり、大学生時代に仲間と過ごした思い出の地。「結婚しないという選択をして、楽しそうに生きてる人がいることを知ってもらう。それがその人の今後の気づきになれば」と、公共の場での開催を選んだ。
式をプロデュースした岩田美生さんは、式場所属のプランナー時代、同姓同士のカップルからの依頼を断った経験がある。独立は、こうした受け入れることが難しい人の窓口になれればとの思いから。「LGBTQに限らず、障害を持った方への配慮など、結婚式も多様化すべき」と話す。
日本のLGBTQ(性的マイノリティを表す総称の一つ)の割合は、調査機関・調査方法によってデータにバラつきがあるが、約3%〜10%と言われている。
徳光さんは職場でもトランスジェンダーを公表し、通称名で働いている。「自認した後も周りの人のおかげで楽しく過ごせている」と話す。一方、旅先で風呂に入ることができないなどの不自由さ、不便さを感じることも。知人の中には自身がマイノリティであることに悩んだり、周囲に理解されないと苦しむ人も多いという。
「今までの幸せがぎゅっと濃縮され、1日で味わえたような日だった」と式を振り返る徳光さん。「性に関してだけでなく、それ以外のアイデンティティを持つ人も1人1人が自分らしい選択ができるようになれば。ありのままの自分を愛し、幸せな人生を送れる社会になることを願っています」と話した。