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第44回「おいしくて、ちょっと役にたつこと」

TBSラジオ

「私たちの未来は、私たちで作る!」 あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。

今回もリスナーの方から寄せられたメッセージに3人でこたえました。

22歳の男子大学生です。僕がモヤモヤするのは「飲食店で自分が頼んだ料理を平気で残す人」です。

大学の友人とよくご飯に行くのですが、そのうちの1人が必ずと言っていいほど頼んだ料理を残します。食べられるかわからないのに大盛りを頼んでみたり、一品料理を大量に注文するのは日常茶飯事です。

見かねた友人が「そんなに頼んでも食べきれないんじゃない?」と聞くと「食べたいものを我慢したくない。食べられなかったら残せばいいでしょ」と反論していて、正直呆れてしまいました。僕は小さい頃から「出されたものは残さず食べなさい」と言われて育ってきたので、苦手なものがあっても絶対に残すことはないし、ましてや自分で頼んだものを残すという感覚が理解できません。

その友人とご飯に行くたびにモヤモヤしてしまうのですが、こういう時、どう対応するのが正解なんでしょうか?

小泉:私もこの気持ちすごくわかりますよ。見ていてヒヤヒヤするじゃないけど、なんかもったいないなとか、そういう気分になります。どうしたらいいですかね。

上村:そうですね、大学生ということですけど。

小泉:お金ももったいなくないの?

上村:そうですよ、みんなで割り勘する時に「えー」ってなりますよね。

小泉:それぞれが払うにしても、残しちゃうのに大盛りとかだと割高になるじゃない。そういうのもあるよね。

大石:「大盛り無料」って書いてあったら思わず大盛りにしちゃうのもね…

小泉:あ、言っちゃうの?笑

上村:(笑)

小泉:私たちは、年齢を重ねていくと量が最初から多いっていうことが結構あって。コース料理とかを仕事で行ったりすることがあるんですよね、そうすると絶対に食べきれないからすごく頑張って食べるっていう。

上村:お腹がはち切れそうになる時ありますよね。

小泉:だから若くて、ご飯食べるのが好きなマネージャーの子がついてる時とかすごく楽でした。笑

大石:わかる。大食いの人がいるとね。

小泉:うん。前に体格のいい子がついていて、「これ半分食べる?」とかいうと「嬉しいです!」って。それもね、無理な人にやったらパワハラになっちゃうんでしょうけど、嬉しそうに食べてくれる子がいた時は。

上村:日本だとフードロスは1年間で472万トンにもなっているそうです。

大石:ピンとこないくらいの量だね。

上村:国民一人当たりに換算すると、毎日、おにぎり1個分の食べ物が捨てられていることになるということです。そして、日本におけるフードロスの象徴とも言えるイベント「節分」が明日(2025年の節分は2/2)やってきます。節分に食べる恵方巻き。

小泉:あー、そうか。

上村:豆まきとともに恵方巻きを食べる文化もすっかり定着しました。恵方巻きのフードロスは長年課題になっていて、スーパーやコンビニなどが恵方巻きを大量に生産するが売れ残りも多いんです。そして、予約販売も定着していない。そして具材が生物なので消費期限が短く、売れ残った恵方巻きも再利用が難しいということなんですね。

小泉:たしかに。

上村:伊東良孝消費者担当大臣も、1月21日の定例会見で「恵方巻きの大量廃棄は社会課題の一つ。食品ロスを減らそう」と呼びかけています。

小泉:私、ほとんど買ったことがないです。というのは、関東だと恵方巻きっていう文化がやってきたのがすごく遅かったんですよね。子どもの頃とかは豆まきしかしてないです。節分で豆をまいて、年齢の分だけ食べるっていうことしかしてなかったから。恵方巻きは結構大人になるまでなかった文化なんですよね。だからあんまり「買おうかな」って思いつかない。

大石:あ、じゃああんまりやらない?

小泉:どっちかを向いて1本食べるみたいな、それをやったことがないです。

大石:あ、そうですか。

上村:私は子どもの頃から定着していたので、前はやってなかったって知らなかったです。

小泉:でも、西の方はね?

大石:そう、小さい頃からありましたよ。でもね、関東に来たら、具がどんどん豪勢になってる。海鮮とかが入っててね。

小泉:もちろん見たことはあるんですけど、一人暮らしとかで恵方巻き1本買っても食べきれない感じがするから、細巻きとかでも良くない?

大石:ぜんぜんいいと思う!

小泉:ハーフサイズとか、いろいろあるんでしょうけどね。でも、やっぱりもったいないよね。

大石:もったいないですよ。もったいない。

小泉:なんか、「まきまきセット」とかないんですかね。

大石:「まきまきセット」?

小泉:恵方巻きを自分で巻くセットみたいな。楽しそうじゃないですか。子どもとかも楽しい感じでやったら、あんまりロスにならないんじゃないの?

大石:たしかに。

小泉:巻いてあるから他に再利用ができないけど、巻いてなければ再利用しやすいとか、ありそうじゃない?

上村:たしかに。

小泉:フードロス自体が増えているんですかね?

上村:この10年ほどでは減ってきているみたいです。

小泉:最近スーパーに行っても、賞味期限が近いものって割引で売ってるじゃないですか。そこに「フードロス(削減)にご協力ありがとうございます」とかってパッケージに書いてあったり。コンビニでは泣いている絵のシールが貼られるとかね。

大石:泣いているんですか。

小泉:そうすると、かわいそうだから買いたくなっちゃうかもしれないですよね。私はその日に使う食材は、夕方くらいに行った時にはそういう(賞味期限が近いもの)を買うようにしてるんですけどね。

仕事を生み出し、無駄もなくす!


「夜のパン屋さん」

お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。

上村:今回ご紹介するのは、「夜のパン屋さん」。さまざまなパン屋さんの売れ残りそうなパンを引き取って販売している、パンのセレクトショップのようなお店です。このお店の特徴は大きくふたつ!まずは、まだ美味しく食べられるパンを無駄にしないこと。そして、販売するスタッフの仕事を生み出していること。
実は、「夜のパン屋さん」を運営しているのはホームレス状態にある人々が経済的・社会的に自立するためのサポートを提供しているNPO法人「ビッグイシュー基金」なんです。事務局長の高野太一さんにお話を伺いました。

今参加してくれているメンバーは、去年1年間で16人くらいがコンスタントに働いてくれたんですが、路上生活の経験がある方や、持病があって毎日決まった時間に働くことが難しい人、ひきこもりで家から出られない状態だった人もいますし、そういう活動を支援したいと言って、自営業でお仕事されていて手の空いた時にだけ働いてくれる方もいます。

僕らは「軒先をお借りした小商」なわけですが、お客さんが買いに来てくださることが特徴だと思っているんですね。そこで買い物をすることが、フードロスの削減になったり、誰か困っている人、仕事をするのに困難な人のさあさえになるというコンセプトですから、そこに賛同して買い物をしに来てくださる方がこんなにいるのか、というのが正直なところです。

大石:すばらしい!

小泉:言葉があれかもしれないけど…一石二鳥、三鳥くらいですよね。余ったパンと、フードロス、そして雇用。軒先を貸してくれるお店に興味を持ってくれる人もいるはずですよね。

大石:買った人も気持ちいいかも。幸せな気持ち。

上村:この「夜のパン屋さん」、現在は都内4ヶ所(神楽坂、大手町、田町、三軒茶屋)で定期的にオープンしているんですが、先日スタッフが三軒茶屋のお店に伺った際には、オープンから1時間経たずに全てのパンが完売するという人気ぶりだったそうです。販売スタッフの方にもお話を伺いました。

ホームレスやってる時は、もう、その日暮らししかしていなかったので。

最初は路上で寝ながら、ちょっと病気もして、それで生活保護を受けるようになった感じですかね。「こういう企画があるけど、やりませんか」と言われて。僕、こういうの好きなので、「じゃあやります」と言って、それからですね。

「夜のパン屋さん」はオープンして最初からいますね。もう4年です。普段買えないパン屋さんとかも結構あるので、それを目当てに来る人も多いし、仕事帰りとかに明日の朝ごはんのパンを買っていく人が多いですね。ここでパンを知ってもらって、そこのお店にも行こうってなってくれて、パン屋さんも人が増えたとか言ってくれるし。

楽しいですよ。いろんな人と話ができるし。例えば、友達になったりもできるし。あとお客さんと喋るっていうのも。普段1人で家にいると喋らないので。だからこういうところに来て会話したり、そういうのも楽しい。寒いですけどね、冬は。笑

小泉:一石何鳥もまた増えましたね!

大石:ほんと!

小泉:遠くて買えないパンとかも混ざってたりするんでしょう?それが美味しかったら、近くに行った時に「あのパン屋さんで買って帰ろう」みたいな。パン屋さんにもお客さんが入っていくっていうのもあるだろうし。それから孤独にならないで人とお喋りしたりするということも叶えられて、いいことしかないじゃない。

大石:ほんとに。

小泉:ちなみに、「夜のパン屋さん」が三軒茶屋で軒先を借りているつるかめ商店さんは「ゼロウェイスト・ショップ」、廃棄物ゼロを目指しているお店なんでしょう?

大石:アップデーターの本社があるところですから。うちの猫砂も置いていただいているみたいで。

小泉:こういうことが連鎖して繋がっていくような感じがして、すごく素敵。

大石:パンを買ったついでに「ゼロウェイスト」のことも知ってね。

小泉:意識が高まる感じで。

上村:「夜のパン屋さん」で購入したラスクがあります!

小泉:キャラメルラスクと、くまナッツ!

上村:ラクス、食べてみますか?いい匂い。

小泉:いい音ですね!美味しいですね、歯応えもあるけど噛んでるのが楽しい感じ。

上村:おいしい~。

大石:原材料も比較的シンプルで。三軒茶屋は毎週金曜午後6時からやってるんですね。

小泉:会社の帰りとかにも行けますね。パンじゃなくてもできそうだから、こういうのが広まっていくといいですよね。

大石:孤独も無くなるし。

小泉:食品を扱うところって、「売れ残ったらどうするんだろう」ってよく思うけど、こんなふうに循環してると思うと、買う方も幸せな気分になりそう。ちょっと世の中の役に立てるのかなって。

(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)

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