かりゆし58「群衆じゃなくて1人1人の心がそこにあった」HYの“愛情の結晶石”を受け取った【SKY Fes 2025】
毎年3月に沖縄県沖縄市の沖縄県総合運動公園にて開催される『HY SKY Fes』 3月14・15両日に開催された「HY SKY Fes 2025」は、今年も大盛況のうちに幕を閉じた。会場を沖縄県総合運動公園に移し、フェスが2DAYSとなってからは1日目のトリを沖縄出身アーティストが務めるのが恒例になっている。2023はORANGE RANGE、2024はMONGOL800、そして今回はDAY1の最後の演奏を「かりゆし58」が担った。 沖縄県内の地上波8ch(OTV 沖縄テレビ放送)では、「HY SKY Fes 2025」5/13(火)19時から特番が放送! 今回は「HY SKY Fes 2025」に出演した「かりゆし58」に単独インタビューした記事をお届け! 「かりゆし58」のセットリストのほとんどの曲で会場から大合唱が湧き上がっていた、トリに相応しいパフォーマンスを終えたバンドメンバーにSKY Fesに主演して感じたことや、来年20周年を迎えるバンドの今について話を聞いた。
—さきほどSKY Fesのステージを終えましたが、感想をそれぞれ一言ずつお願いします。
前川真悟(Vo /Ba):最高だったね。 一同:うんうん。 前川:人数感、規模感、ステージだったり来てくださってる方々の数は決して初めてっていう感じではなかった。色んなフェスでやらせてもらってて、大きなところで出させてもらうこともあるし、違った形で出演するようなこともあるんですけど、質が全然違ったよね。 群衆じゃなかったというか、1人1人の心がそこにあるのをしっかり感じられるような、客席が出来上がってたので。HYの力というか、愛情の結晶石みたいなものを見せてもらった感じですね。 中村洋貴(Per):前半は雨降ってて、客席の皆さんが大変そうだったじゃないですか。それでどうだろうなと思ってた時に、子どもが水溜りとかでもバシャバシャ遊んでて、すごい楽しそうだなと思って。こんな風景が広がってるフェスもSKY Fesだからなのかなって。家族にも優しいというか。ほのぼのできるなっていう、すごい優しい感じがしました。
—子どもが走り回ってたり、遊具で遊んでたりしてますもんね。
前川:うちの息子もそんな感じで遊んでて、新しい友だちできてましたね(笑)LiSAさんが『鬼滅の刃』の曲(=「紅蓮華」)を歌った時、遊具の子どもたちがどよめいてましたからね、一瞬動きが止まった後に(笑) 新屋行裕(Gt):僕が一番感じたのは、SKY Fesを毎年楽しみにしてる人たちでいっぱいだなということですかね。その中にいられたのがすごい幸せだし、心からHYにありがとうって思えるような、そういう1日でした。 宮平直樹(Gt):SKY Fes自体は何年か前から存在ももちろん知ってたりとか、どういう風に準備してるってのはSNSとかでも色々見てはいたんですけども。その時からやっぱり自分たちの地元の人たちに喜んでもらえるようにやってるんだろうな、とは何となく感じてはいたんですよ。 実際来てみて、音楽だけじゃなくてクリーン活動だったりとか、色んなものを紹介する企画とかもあって、お客さんは地元だけじゃなくてもちろん県外の人たちもいるし、演者の人もそう。とにかく「自分たちが好きなものをみんなに見てほしい」っていう気持ちが、すごい伝わってきましたね。 タイムテーブルとかも被りがなくて、音楽が終わった後にゆっくり他のことをできる。自分たちが食べてほしいご飯も準備されていて、そういったのを含めてHYのおもてなしの気持ちとか愛情が感じられる1日だったなと思ったし、そこに呼んでもらえて1日目のトリという大役を任せてもらって本当にありがたいなという気持ちになりましたね。
—アーティストの皆さんも他の出演者のステージをソデで笑顔で見てる光景もけっこう特徴的だなって感じます。
宮平:そうっすね。優しいですよね。優しいフェス。
—さっき前川さんから「群衆じゃなくて1人1人」という言葉がありましたが、ツアー(1〜2月にかけて行われた「ハイサイロード2025-ジュークボックス-」)も終えたばかりで色んな場所でライブを経た上で、今日のステージ上で感じたことはありましたか?
前川:自分たちの身の丈超えたものを背負う気もなけりゃあ、背負っているなんて立派なこと言えないんだけど。沖縄を初日としてスタートしたツアーだったんですよ。 全国津々浦々まわっていくうちに、やっぱりどこか自分の島の誇りとか、沖縄音楽の素晴らしさの一角でもいいから触れてほしいなとか思いながら回ったところがあったので。今日のフェスは、その全国津々浦々でみんなに感じて欲しかったものの集合体みたいな感じがして。 それかな。今日の時間をお土産に、沖縄には素晴らしいもんがあるぜって胸張って、県外に行けるときの追い風ももらった感じがします。
—やっぱり沖縄でのライブは、ステージに上がる気持ちはちょっと違うところがありますか。
宮平:同級生とか親族とかが見にくることが多いんで。その時に同級生とかだったら「あいつも頑張ってるから俺もやろう」みたいな感じで、そういうことを言ってくれる人もいたりするんですよね。もちろんお客さんに見てほしいのもあるんですけど、そういった地元の同級生にも何か「俺たちこういうことやってるぜ」っていう感じで見てほしいなっていう気持ちはありますね。 前川:でも最近は逆になってきてない?人見知りなメンバーがいて、武道館でやらないかという相談に対して「人が多いから嫌です」って断ったくらいですけど(笑)そういう性格だから、沖縄でライブをやる時には安心を求めてステージに立ってたんですよ。でもコロナを挟んでから色んな町の祭りで、もう月にも2本も3本も沖縄でライブをして回るようなことが去年、一昨年からあって。ってことは沖縄の人が1番かりゆしのライブを何度も見てるわけですよ。 だから何度見てる人にも、ちゃんと今日が特別と思えるようなことがしっかりと地元でできるかっていうのは、前の段階を超えた“2周目の向き合い方”に今変わっている。 それで今は地元の人たちが自分たちに「ダラけてんじゃねぞ、地元で」っていう良い意味でのプレッシャーをくれてると俺は勝手に感じてて。「アンマー」とか、たぶん沖縄の人が全国で一番聞いてくれてるさ。その人たちに歌って聞いてもらっても、「やっぱ良いな」って思ってもらえるための新たな挑戦が今、地元で始まってる気がしてます。
—その向き合い方はめちゃくちゃ感じるところがあるというか、見るたびにライブへの臨み方が違うな、っていうのは分かる気がします。
前川:嬉しいなあ。
—沖縄じゃないんですけど、以前代々木であった「OKINAWAまつり」でもライブを見たんですが、その時に超盛り上がっててかりゆしはもう大御所だなっていう…
前川:いやいやいや、怖い怖い!!(笑)まあでも、そういう1本1本をずっと毎日特別にやってたのがHYで、それを積み重ねてきた人たちがどうなるかを見せてもらった感じかな、今日のこのフェスは。
—新屋さんはジミヘン的な何かが降りてきたようなギターソロをカマしてましたが、今日のステージは楽しめましたか。
新屋:全く降りてきてないです(笑)今回はフェスの頭からずっといて、本当に最初か最後までノンアルコールで楽しめるという。やっぱりね、大事なトリを任せてもらったんで、今日はノンアルコールで行こうと思って(笑)だからこれから家に帰っての1本目がすごく楽しみなんですよ今… 前川:ちょっともう眠そうだな(笑) 新屋:でも本当にそれぐらい楽しんだんで、今日はもう幼稚園児ぐらい寝ます(笑) 中村:あと、今日のスタレビ(スターダスト☆レビュー)さんがヤバかったっすね。 前川:マジでよ。
—入りのつかみとか、半端じゃなかったですよね。
中村:あのお齢でめちゃくちゃよく声出てて、震えました。 前川:沖縄の人にとっては、もしかしたらBEGINより先にBEGINのごとくお茶の間にずっと音楽が流れてたっていう。 中村:確か小学校ぐらいからローカルCMでずっと聞いてたもんね。 新屋:ラジオも俺らが子どもの時からずっとやってて、喋りも面白いしすごいなと。
—そんなスタレビからかりゆしの皆さんに続いていく流れも興味深かったです。最後の質問ですが、来年は20周年ということで、これからのかりゆし58はどんな風に進んでいこうと考えていますか?
前川:今年はかりゆしというバンドの“10代最後”なので、これまでのツアーでなかなかライブでやれてなかった曲たちをやるようになったんです。 だから今、過去最多の曲数をライブで演奏できる状態にあるんですけど、その作業をすることによって、自分たちの過去作をものすごい愛おしがれるようになってるんですよ。 これまではきっと、前作を振り切るかのように次の作品、もっともっととやってきて、過去作は自分たちの昨日までの恥ずべき拙さみたいな、それを振り切って前にっていう感じだったというか。でも今はこの19年分に生まれた子たちがものすごい可愛いじゃないか、となってるので、その道のりとか生まれた作品とかをしっかり愛おしんで思いっきり自己肯定しまくる19年目にしたい。 そして20歳までに生まれた子たちをちゃんとライブで成人させて、それから20年目以降のこと考えようと。だからまずは自己肯定のためにこの1年を使いたいなと思ってます。 中村:曲を間違えないっていうことですかね。 一同:(笑) 前川:そこからですよね。
—大事です。
中村:それと曲を思い出すこと。197曲あるんですよ。 前川:…193曲です、ちなみに。 一同:(爆笑) 前川:最近ずっと言い続けてるのに。 中村:だから、全部思い出したいなっていう1年にしたいです!
—ありがとうございます。新屋さん、宮平さんは如何でしょうか?
新屋:40過ぎて、あんまり理想の自分になれてなかったっていうのがすごくあって。それで、理想に近づけるように20周年を迎えたいと思ってますね、個人的に。バンドとしてはもうね、それぞれが良い感じでできたらいいなと思ってます。 宮平:この前ツアーが一旦終わったんですけど、19年目にしてバンドみんなでどういう風にライブをやるか、みたいな感じでセットリスト決めとかもやったりしてて。そもそもバンドをやりたくて同級生で集まったこととか、面白いからバンドをやり始めたことを思い出したりとかしてたんで。20周年で大きいことをやるとか、その後どうするっていうよりは、自分たちがやりたいということがあれば、それをなんか面倒くさがらずやるというか。 例えば、何本ツアー回ろうとか、どの場所でやろうとか、いつまでに音源出してみるとか、ちゃんとやりたいもの見つけて、それをみんなで積み重ねていけるようにしたいなと思っています。