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目の前の相手を叩くしかないジュビロ磐田。引退発表の山田大記主将が描く残留のシナリオ

アットエス

ジュビロ磐田の山田大記(左)とジャーメイン良


【サッカージャーナリスト・河治良幸】
J1の2024年シーズンも残り2試合となり、ジュビロ磐田は勝ち点35で18位。17位の柏レイソルとは勝ち点5、16位のアルビレックス新潟とは勝ち点6の差があり、逆転残留の可能性を残すには、ヤマハスタジアムでのホーム最終戦となるFC東京戦の勝利が必要だ。

磐田の残留条件を整理すると、東京戦とアウエーで行われる最終節のサガン鳥栖戦で連勝することが絶対条件。その上で、柏が連敗なら磐田が勝ち点で上回るが、もし1分1敗だった場合は勝ち点が並ぶ。ただし、柏は得失点差が−11、磐田は−19であるため、8点の差を埋める必要があり、正直、現時点でリアルな想定は描きにくい。

新潟については連敗した場合のみ、磐田は勝ち点で追い付くことができるが、新潟の得失点差が−14であるため、例えば2試合とも磐田が1点差の勝利、新潟が1点差負けだと、新潟が「1」だけ上回り、磐田は降格となる。しかし、もし得失点差で並んだ場合は新潟の得点が44、磐田が45であるので、総得点の勝負で磐田が上回る可能性は高い。

ジャーメイン「シンプルな思考で」

とにかく2連勝しかない磐田としては、試合中は他会場のことを忘れて、目の前の試合に集中するべきだろう。ジャーメイン良は「まず他会場というより、自分たちがしっかり2連勝することに目を向けて、ゲームに集中したい。残留争いの状況とかありますけど、ゲームが始まれば同じ90分は90分なので。そこは今まで通り変わらず、自分は監督に与えられた役割をこなしながら、得点を取ってチームを勝たせる。シンプルな思考で」と語る。

「目の前のゲームで勝ち点3を取れば、間違いなくチャンスはあると思っている。この状況にしたのは自分たちなので、ラスト2試合を連勝する。ホーム3連戦3連勝のイメージがありましたが、自分たちで逃したからこういう状況になっている。ホームラストでちゃんと勝って、次節(鳥栖戦)も意味のあるゲームにしたい」

19得点を記録しているエースがそう主張するように“ホーム3連戦”という絶好のシチュエーションで、ガンバ大阪と横浜F・マリノスにどちらも3−4で敗れて、自分たちで追い込んでしまった向きはある。

ただ、チーム一丸で勝利を掴みにいくという雰囲気はある中で、結果が付いてこない要因は試合の風向きだけで語れるものではない。

引退発表の山田「どういうメンタルで戦えるか」

今シーズンを最後に現役引退することがリリースされたキャプテンの山田大記はここからの2試合に関して「メンタル的に良い状態で戦うことがすごく重要だと思っています。うまくいかない時間帯は必ずあると思うので、どういうメンタル状態で戦えるか。戦術的には守備のところがキーになるんじゃないかと感じています」とイメージを語る。

「前節と前々節で複数失点という要因は僕の中で2つぐらい大きく分かれるんですけど、そこははっきりしているところがある。この2週間、チームとしてもそこに取り組んでいるので、しっかりと修正していければ勝ち点3に近づけるんじゃないかと思います」

山田が言及する守備の問題に関して、細かい戦術の言及をここでするのは差し控えたいが、やはりセットプレー、そして前半の終わりと後半の立ち上がりに失点が続いてしまっていることは、明確に改善が必要なポイントだ。

前半の終わりは攻めるのか、守り切って終えるのかといったゲームコントロールが難しい時間帯であり、後半の立ち上がりは相手も何かしら修正してくる状況で、そこを見極める前に決められてしまうケースがある。上位のチームとの対戦では特に注意が必要なところだ。

FC東京のカウンターに警戒を

FC東京はここ最近戦ってきたヴィッセル神戸やガンバ大阪、横浜マリノスほど戦い方が安定したチームではないが、相手のビルドアップをうまく引っ掛けてのショートカウンター、ロングボールを跳ね返して、セカンドボールを拾ったところからのミドルカウンターを得意としており、そうしたチャンスを一発で仕留められる前線のタレントが揃っている。山田も「個人の力も高いですし、一瞬の隙からカウンターで得点が狙えるチーム」と認める。

見方を変えれば、磐田側にも得点チャンスはそれなりにあるだろう。ガンバ戦で3得点に絡み、マリノス戦でゴールを決めたジョルディ・クルークスが絶好調で、周りともリズムが噛み合ってきているのは心強い。

他力とはいえ…

前回はアウエーの味の素スタジアムで、リカルド・グラッサのゴールによりリードを奪いながら、終盤に左サイドのFKから安斎颯馬にヘディングシュートを決められて同点に。ポゼッションやシュート数は東京が上回っていたものの、試合の流れからすれば勝ち点1を得るというより、勝ち点2を失った印象の強いゲームとなった。

一巡目と状況が変わり、残留に向けて一戦必勝というスタンスで臨む中で、いま一度サポーターの後押しを前面に受けて、勝ち点3をつかみ取れるか。ホーム最終戦ということで、試合後に行われるセレモニーについて山田キャプテンは「もちろん他力ではあるので、試合後にどういう状況になってるか、僕らが勝利したとしてもどういう状況になってるか分からない」と前置きしながら「昨年と同様に可能性がある状況で皆さんにお話ができて、かつシナオリオ通りに最終節を運ぶことができれば理想的だなと思います」と展望した。

最終節はともかく、今週のカードで言うと柏はヴィッセル神戸、新潟はガンバが相手で、上位との対戦となっている。終盤戦は下位が上位を食う試合が多発しており、他力で都合の良い結果を確信することはできない。それでも磐田は目の前の相手を叩いて、終わった時に他会場の結果を確認するしかないだろう。

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