「しつこかった」トム・クルーズの妹、ダスティン・ホフマンを見つけて「挨拶してきなよ」と押しまくった縁で『レインマン』共演が実現
ダスティン・ホフマンとトム・クルーズ共演、バリー・レヴィンソン監督による名作映画『レインマン』(1988)が実現したのは、実はトム・クルーズの妹のおかげだったかもしれない?
『レインマン』はホフマン演じる兄のレイモンドとクルーズ演じる弟のチャーリーが、父の遺産相続を機に再会し、予想もしなかった交流に発展していくロードムービー。作品賞など数々のタイトルを獲得した本作にて、サヴァン症候群のレイモンド役を演じたホフマンは本作にて2度目のアカデミー主演男優賞に輝き、クルーズも演技派俳優として大きくステップアップを果たした。
クルーズは現地時間2025年5月12日、英国映画協会でのミーティングに出席。『レインマン』で共演する以前に、ホフマンとの運命的な出会いがあったことを米が伝えている。
1984年にリドリー・スコット監督『レジェンド/光と闇の伝説』の撮影を終えたクルーズは、妹キャスを訪ねてアメリカに帰国しており、たまたまニューヨークのレストランでホフマンの姿を見つけたのだそう。「妹が”あそこにダスティン・ホフマンがいる”というので見上げたら、そこに彼がいたんです。彼は(舞台の)『セールスマンの死』をやっていて、テイクアウトのオーダーをしていました」。
トップスターをレストランで目撃するというのが、なんともニューヨークらしいエピソードだが、キャスに「彼のところに行って、挨拶しておいでよ」と促されたクルーズは「挨拶はやめておくよ」と二の足を踏んでいたそうだ。
しかしキャスは「あなた彼のこと知ってるでしょ、彼の映画も知っているでしょ」と引き下がらなかった様子。クルーズは「彼女は普段はそういうことをしないんですけどね。僕はあまり人に近づかないタイプだけど、彼女はすごくしつこかったんです」と、なぜか猛烈だったキャスのプッシュを振り返っている。
キャスもじれったく思ったのか「あなたがやらないんだったら、私が行って、あなたが誰か彼に伝えるだけだよ」と追い打ちをかけてきたが、クルーズは「彼が僕のこと知ってるわけないだろう。めちゃくちゃ恥ずかしいことになるじゃないか」と必死で抵抗していたそう。結局、観念したクルーズは彼のもとに行き、「失礼します、ホフマンさん。すみません……」と声をかけると、なんとホフマンが「クルーズじゃないか!」と返してくれたのだとか。
その結果、ホフマンはクルーズとキャスに『セールスマンの死』のチケットを贈り、公演後には楽屋にも招待してくれたのだという。これがきっかけとなって、名作『レインマン』での共演が実現したそうだ。「楽屋を出るときに、彼が”君と一緒に映画をやりたい”と言ってくれたんです。僕も”ぜひお願いします”と言いました。それでこうなりました。1年後に、『レインマン』の話をくれたんです」。
今やトム・クルーズといえば、知らない人はいないスーパースターだが、1984年当時はまだまだ若手俳優として駆け出しだった頃。すでにベテランのホフマンに声をかけるなんて恐れ多かったのだろう。しかしキャスの強力な後押しがなければ、『レインマン』への出演も、そして今日のキャリアももしかしたら存在しなかったのかもしれない。クルーズは「すごくしつこかった」と笑っているが、キャスのナイスアシストぶりを讃えたい。
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