まるで「A24×MCU」な衝撃と感動!? カンバーバッチの映画会社が贈る話題作『We Live in Time』
制作はB・カンバーバッチ率いる映画会社!『We Live in Time』
アカデミー賞作品賞ノミネート作『ブルックリン』のジョン・クローリー監督最新作にして、時代の最先端を走るスタジオA24が北米配給権を獲得した話題作『We Live in Time この時を生きて』が、6月6日(金)より全国公開となる。
『ミッドサマー』や『サンダーボルツ*』のフローレンス・ピューと、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールドが豪華共演を果たした本作。昔ながらのラブストーリーに刺激的な新しい試みを加えつつ、真正面から〈愛と感動〉を描いた物語の北米配給権を獲得したのは、ご存知A24。さらにSNS上で大バズりした“馬ミーム”でも話題を呼んだ、今年屈指の注目作だ。
そんな本作の制作を手掛けた<サニーマーチ>は、名優ベネディクト・カンバーバッチが立ち上げた映画会社。つまり、本作は『サンダーボルツ*』×『アメイジング・スパイダーマン』×『ドクター・ストレンジ』という夢のコラボレーションが実現したとも言える(?)映画なのだ。
カンバーバッチはプロデューサーのアダム・アクランドらとともに、2013年にサニーマーチを設立。これまでは主に自身の出演作を中心に、『クーリエ:最高機密の運び屋』(20)、『モーリタニアン 黒塗りの記録』(21)、『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(21)、『The End We Start From(原題)』(23)などの制作に関わってきた。また、2025年にはカンバーバッチとオリヴィア・コールマンが共演した『The Roses』の公開が控えている。
監督&脚本家が語る「サニーマーチとの映画制作」
これまでもエグゼクティブ・プロデューサーとして、いくつかの出演作にクレジットされてきたカンバーバッチだが、『We Live in Time この時を生きて』は、サニーマーチが制作に関わった作品としては珍しく、カンバーバッチが出演していない作品だ。
ジョン・クローリー監督によると、本作の企画はサニーマーチが脚本家のニック・ペイン(『ベロニカとの記憶』、『愛しい人から最後の手紙』)に脚本の執筆を依頼したことから始まったという。企画の経緯について、クローリー監督は次のように語っている。
サニーマーチとの仕事は素晴らしかったです。最初に彼らがニックに脚本を依頼したんです。もともとニックは彼らのために別の作品の脚色をしていたのですが、ある時「もうこれ以上は進められない」と感じたそうです。
そこで彼は別のアイデアを提案しました。すると、彼らは「じゃあ、それを書いてみて」と言い、ニックは新たに執筆を始めました。そして、彼が脚本の草案を書き上げ、それが彼らの手に渡ると、すぐに私のもとへ送られてきました。
サニーマーチが本作の監督にジョン・クローリーを選んだのも必然で、クローリー監督とペインは過去にロンドンの劇場<ドンマー・ウエアハウス>で上演した「The Same Deep Water as Me」で、戯曲家と演出家として仕事をした経験があったからだ。
その後もクローリー監督とペインは何度か他のプロジェクトについて話す機会があったようで、ようやく本作で再び仕事をする機会を得られたという。クローリー監督は脚本を読んだときのことを、「読んだ瞬間から完全に引き込まれました。そして読み終えたとき、そうか、自分はこれから1年半、これをやって過ごすんだなと思いました」と回想している。
A24がアメリカでのヒットに貢献!サニーマーチの今後に期待大
ペインが手掛けた脚本は、昔ながらの恋愛映画のDNAを受け継ぐストーリーである一方で、時間の流れをシャッフルさせる斬新な構造を採用している。そうすることで、あれこれと夢想しながら恋愛関係を展開させるのと同じように、アルムートとトビアスが一緒に過ごす年月をタペストリーのように織り交ぜている。
さらに、物語の舞台を華やかで流行の最先端を行くようなロンドンではなく、中流の人々が暮らす緑豊かな南ロンドンのハーンヒルにすることで、これまであまり映画で描かれることのなかった“普通のロンドン”で暮らす“普通の人々”を描こうとした。だからこそ、この映画は国を越えて多くの人の共感と感動を呼ぶストーリーとなっているのだ。
ペインの斬新なアイデアに心を掴まれたのは監督だけではない。サニーマーチの創立メンバーでプロデューサーのアダム・アクランドもまた、ニック・ペインの脚本に一目惚れしたひとりだった。彼は最初に脚本を読んだときの印象を次のように語っている。
私たちは他にもさまざまな物語を手掛けていますし、サニーマーチとして、特にベネディクト(・カンバーバッチ)とは、一緒に新しい切り口でジャンル映画に取り組むということを常に目指しています。
ただ、この脚本は私たちにとって全く新しい感覚をもたらしてくれました。それに、ニック自身も私たちと同じくらいワクワクしていて、この作品をスクリーンに送り出したいと思ってくれたんです。
さらにアメリカにも、そんな本作に目を付けた会社があった。それが、近年エッジの効いた実験的な映画の製作・配給を行っているA24だ。本作は昨年10月に北米で公開され、初週は5館のみの限定公開だったが、その後拡大公開されると全米興行収入ランキング5位にランクインし、アメリカでも大ヒットとなった。ニック・ペインという一人の脚本家のアイデアから始まった本作は、海を越えて世界中で話題を呼んでいる。
従来のジャンル映画に新たな切り口を加え、斬新かつ感動的な作品を作り続けているサニーマーチ。“ネクストA24”と呼ばれる日が来るのも、そう遠くないかも? その始まりをぜひ劇場で見届けよう。
『We Live in Time この時を生きて』は6月6日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー