相武台団地住民有志 「大船渡現状知って」 物産販売会や地元紙展示
岩手県大船渡市で2月26日に大規模な山林火災が発生したことを受けて、市内各地で支援活動が行われた。区内では相武台団地の住民が3月に計6回のチャリティ大船渡物産販売会を行い、売り上げを現地NPO団体に寄付。被害状況を知ってもらおうと、地元紙を相武台公民館に設置し、誰でも閲覧できるようにしている。
3月13日、相武台団地商店街の一角に三陸沿岸で獲れたイカ刺しやサンマみりん、刻みめかぶ、大船渡市内の酒蔵で作られた日本酒や銘菓などが並んだ。刻みめかぶを手に取った通りがかりの女性が「微々たるものだけどチリも積もれば」というと、「チリつもでいいの。忘れないということが大切」と主催者のひとり、笹本二郎さんは強く訴えていた。
大船渡市の山林火災を受け、相武台団地在住の笹本さんと工藤澄雄さんがチャリティ物産販売会を開始したのは発生からわずか3日後の3月1日。13日までに計6回、同商店街内や相武台公民館まつりで実施した。
売り上げた金額は合計20万2510円。すぐに支援しようと3月10日に、仕入れ原価を差し引いた売り上げ金など5万円を大船渡市の団体「NPOおはなしころりん」に寄付。残りの売り上げ分と別途呼び掛けた支援募金分を追加で寄付するという。
笹本さんは東日本大震災以降、大船渡市へ支援を続けている。今回の販売品は全て笹本さんと親交のある企業や個人から仕入れ、笹本さんが自費で買い取っている。仕入れ先や支援先など迅速に手配できたのは支援を続けてきた経験や人脈があるからだという。
笹本さんは「こっちでは火災の報道が少ない。被災地は忘れられることが一番つらい。買って、食べて、応援しようという気持ちが市内に少しでも広まれば」と語る。
「一面に被害状況」
笹本さんはさらに、自身が購読している現地の地元紙「東海新報」を相武台公民館に置いてもらうよう働きかけた。同紙は大船渡市や陸前高田市などで発行され、山林火災についても詳細に報じている。紙面は火災が発生した2月26日発行分から入口正面に置かれ、誰でも閲覧できる。
同館の館長代理を務める高橋雅広さんは「紙面では大きく扱っている。公民館まつりで地域の方に募金のご協力をいただいている感謝と被災地の現状を伝えることは必要だと感じた」と話す。
同館は8日と9日に支援募金を呼びかけ、4万6025円が集まった。