小3が作る“やさしいレモネード”きっかけは「急にいなくなった」男の子への思い
小児がんと闘っているこどもたちのために、小学3年生の男の子が動きました。
「レモネードスタンドで集めたお金を寄付したい」懸命に取り組んできた子どもたちの姿に密着です。
札幌市中央区の山鼻地区。
診察がない日曜日にもかかわらず、診療所に人が集まってきます。
開かれていたのは「文化祭」。地域の人たちが趣味や特技を披露します。
その中に、人だかりができているブースを見つけました。
「いらっしゃいませ、レモネードいかがですか?」
小学生たちが作る「レモネードスタンド」です。
」
企画したのは小学3年生の青木瑛都(えいと)くん。
将来の夢は「誰かのために」を大切にした会社の経営者です。
「札幌南高校の学校祭でレモネードスタンドを見て、おもしろいなと思って始めた」
「レモネードスタンド」は、アメリカで小児がんで死亡した女の子が生前、「同じ病気の子どもを助けたい」とレモネードを販売し、そのお金を寄付するという世界に広がった取り組みです。
この日のスタッフは、瑛都くんが所属していた劇団の仲間のほか、診療所が依頼した札幌南高校のボランティアの学生たち。
目標は「200杯」。瑛都くんは「客の呼び込み」や「列の整理」を担当します。
瑛都くんたちが、準備を始めたのは、2024年の夏休み。
診療所に直接電話をしてアポを取り、手づくりの企画書を手に打ち合わせを重ねてきました。
やるからには…!原価や利益も計算しプレゼン
打ち合わせで瑛都くんは、「こっちのほうが寄付する金額はいっぱいできます」とプレゼン。
ファミリークリニックさっぽろ山鼻の松田諭院長が「うんうん」とじっくり話を聞きます。
「意識を持ってみんなで関わることで、このようにつながりができていたと思うが、そういう人たちが増えたら最高の予防医療になる。ぜひレモネードスタンドをやってもらえたらうれしい」
目標の募金額は30万円。
そのために、販売価格をいくらにするか?
また、原価をいくらに抑えなければならないのか?
次の相談相手は、塾の先生です。
「物の価値を高めて、値段を上げて、それで利益をたくさん増やそうという計画だよね」
冬野恒史塾長が問いかけます。
「1杯のもうけ100円を、100×140杯=1万4,000円が、1回の儲け」
まだ習っていない3ケタの「かけ算」や「割り算」の計算も出てきましたが、瑛都くんはあきらめずに「値段」や「開催回数」を計算し、計画を練り上げてきました。
また、タブレットを片手に、告知用動画の制作も。
そんな行動力を間近に見守る、メンバーのお母さんの目には光るものが…。
その後、自分たちで撮影し、動画も完成しました。
2024年、夏休みのすべてをレモネードスタンドの準備に費やした瑛都くん。
夢中になる理由には、幼い頃の記憶があります。
キャッチボールをしてくれたあの男の子
「幼稚園の頃、バス停まで小学生の男の子たちと行っていたけど、急にいなくなった、1人が」
幼稚園の頃、キャッチボールの相手をしてくれた近所の小学生の男の子が、その後、小児がんの一種=「悪性リンパ腫」だったことを知ったのです。
「つらい。ちょっとの気持ちでもつらくなったりしちゃう。小児がんの子たちのために、高齢の方のために、病気の方のために、いろんなことを支えていければなと思っています」
「2つください」
女性客がレモネードスタンドにやってきました。
瑛都くんは、レモネードの宣伝中。
なんと7個も注文が…!急いで受付に伝えにいきます。
レモネードは目標であった200杯を大きく超え、328杯を売って完売。
収益は8万1477円でした。
「これを機会に小児がんがどんなものかもっと広まるといい」
お客さんからそんな声も聞かれました。
瑛都くんのお母さん・奈々葉さんが、この日まで見守ってきた道のりを振り返ります。
「思うとおりにいかないこともいっぱいあったはずなので、いろんな感情がむき出しになっていました。開催してくれてありがとうとか、声が届くたびに達成感があったようなので、困難はつらいものじゃなかったんじゃないかなと」
瑛都くんはもう次の目標へ、前を向いています。
「次の目標は300!いや250。おなかも10じゃなくて8分目まででしょ、だから300までいきたいけどちょっと下の250で」
「困っている人を助けたい」。
瑛都くんは「行動する大切さ」を私たちに教えてくれます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年10月9日)の情報に基づきます。