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特別支援学級に入学した自閉症グレー息子。実際通って感じたメリット・デメリットは?

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特別支援学級に入学した自閉症グレー息子。実際通って感じたメリット・デメリットは?

監修:初川久美子

臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち

通常学級を勧められたけれど……特別支援学級を選んだわが家

4歳の時に軽度の知的障害(知的発達症)と診断されたわが家の長男。就学相談を機に再度受けた知能検査ではIQが上がり、知的障害(知的発達症)の診断基準からは外れたものの、医師からはASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われています。就学相談員の方からは通常学級を勧められていた長男でしたが、普段の保育園での集団生活の中では、指示を聞けなかったり、活動に参加できなかったりすることがほとんどだったため、まだまだ長男には集団での生活は厳しいと思い、自閉症・情緒障害特別支援学級を選ぶことにしました。

入学後に感じた特別支援学級のメリット

入学してから1か月後にあった個人面談では、毎日楽しそうに学校で過ごしていること、一方で交流学級(通常学級で行う授業)にはなかなか参加できないことなど、学校生活の様子を教えてもらいました。担任の先生からも、通常学級に在籍していたら長男の負担になっていたかもしれない、やはり特別支援学級の環境が長男には合っていると思うと言っていただき、とても安心しました。

特別支援学級での授業は、通常学級とは異なり長男のペースに合わせて進められるため、集中力がなくなってきたときは息抜きをさせてくれたり、理解できるまで教えてくれたりと、柔軟に対応してくださっているようです。また、見通し不安やこだわりも強い長男。特別支援学級の担任の先生は、どうしても取り組むことが難しい課題は無理にしなくてもよいという方針なので、長男もストレスなく学校生活を楽しめているようでした。

このような特別支援学級での配慮のおかげで、勉強面で通常学級からの遅れはなく、宿題を家でやっていてもきちんと理解しており、一人で宿題に取り組む姿が見られています。小学校入学前の一番の不安要素は勉強だったので、嫌がる様子もなく取り組めていることには本当に安心しました。もし、これが通常学級だった場合、やはり集団への一斉指示が聞けず、集中することができないまま勉強が置いてきぼりになってしまっていたと思います。

いいことばかりではない!?特別支援学級のデメリット

特別支援学級に入ってよかった面はたくさんあるのですが、親として少し困っていることもあります。それは毎日の学校への送り迎えです。それぞれの学校によって決まりは異なると思いますが、長男の通う小学校では、特別支援学級に在籍している児童のみ、6年間親が付き添って送り迎えをしないといけないことになっています(通常学級に在籍している児童に関してはそのような決まりはありません)。特に1年生は帰宅時間が早く、次男の幼稚園のお迎えの時間と被ってしまったり、仕事をする時間もなかなか取れなかったりすることが大変だと感じています。

また、特別支援学級では1年生が長男だけだったので、集団行動を学んだり、友だちをつくったりという経験がしにくいのもデメリットと感じました。入学して1年経ちますが、不安の強い長男はいまだに通常学級の教室に入ることも難しい状態で、ほかの1年生と一緒に授業を受けることは1回もできていません。放課後は小学校内に併設されている学童に預けているのですが、やはり集団での遊びには参加することがなかなかできず、一人で過ごす時間が多くなっているようです。

今は長男に合う習いごとを模索中なので、良さそうな場所が見つかったらそういうところで集団生活や友だちづくりをしていってくれたらいいなと思っています。

執筆/プクティ

(監修:初川先生より)
就学相談で通常学級を勧められたものの自閉症・情緒障害特別支援学級を選んで入学し、1年が経とうとしているところで感じることのシェアをありがとうございます。就学相談の提案や、自閉症・情緒障害特別支援学級に入るための条件など、自治体によってさまざまです。プクティさんの長男くんは、不安が高く集団活動や一斉指示に合わせて動くことが苦手なことから、自閉症・情緒障害特別支援学級を選択されました。この1年、長男くんの状態に合わせた教育が提供されたことで学習面で成長が見られ、また学校生活を楽しんでいるようで何よりです。

特別支援学級ですと、学級のサイズが小さく、同学年のお子さんがいない・少ないこともよくあります。友だちをつくること、そして交流学級での活動に参加するといったあたりが今年度の課題として残ったようですね。逆に言うと、少人数の安心できる環境だからこそ、学校という集団生活や学習を嫌になることなく、そして楽しく過ごせたのかもしれません。今後は集団での活動という目標に向かって、長男くんのペースで臨んでいければよいと感じます。

放課後の学童に関しては、1日の学校での活動後に行くところなのでどの子もみなそれぞれ疲れていること、自由な時間でもあるため、好きなことをして過ごしたほうがよいのかもしれません。朝から夕方まで自分の苦手なことや挑戦したいことに挑み続けるのは大変ともいえます。ただ、ひょんなことから一緒に遊べたりするかもしれないし、今日はみんなと一緒に遊んでみたいと思うかもしれません。そういう意味で、学童にしても習いごとにしても、本人が無理なくその場にいることができ、集団活動にも参加しようと思えば参加できるセッティングをしておくというのは中長期的にはいいように感じます。お子さんによっては、学童が苦手であったり、習いごとで疲れてしまったりする場合もあります。お子さんの様子をよく見ながらご検討いただければと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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