梅雨の代名詞<アマガエル>の赤ちゃんを飼育してみた 無事に育てるための工夫とは?
先日息子が見つけた、まだ体長1センチほどのニホンアマガエルの赤ちゃんたち6匹を自宅で飼育することになった。
小さな命を手のひらに乗せて帰る道すがら、息子は飼育できる喜びを感じながらも「ちゃんと育てられるかな」と心配そうな様子。
アマガエルを飼育するにあたって、どのような工夫をしたのか、どのような問題があったのかを振り返ってみようと思う。
どうやったらエサを食べてもらえるのか
家に着くと、さっそく飼育ケースを用意し、どんなエサがいいのかを2人で調べ始めた。
とある飼育本には「アマガエルは動いているものしか食べない」とあったので、さっそくイトミミズやウジ虫を買ってきて、ピンセットで揺らして見せた。
息子は「これなら食べるはず」と期待したが、カエルたちはじっと動かない。翌日、ウジ虫は黒くなっていた。そう、蛹化(昆虫の幼虫がサナギになること)していたのだ。そうなるともうアマガエルはウジ虫を食べない。
餌を入れ続けて数日、翌朝になるとエサが消えていた。アマガエルは夜行性なので、人の気配がない静かな時間に行動し餌を食べたのだろう。それまでなかなか餌を食べなかったのは、飼育環境に慣れていなかったのがひとつの理由だと思う。
どんな生きものも、飼育環境に慣れさせるには少しの辛抱が必要である。
カエルに日光は必要ない?
カエルの飼育に日光は必要ないのだという。生きものは太陽を浴びなければいけないと思っていたが、必ずしもそうではないらしい。
生きものが日光を浴びる大きな理由のひとつに、ビタミンDの生成が挙げられる。
例えば、カメやトカゲをはじめとする爬虫類の飼育には、ビタミンDを生成するための日光浴が欠かせない。陽を十分浴びせることのできない場合には、電球を設置する必要があるくらいだ。
他にも、ペットの猫や犬が日向ぼっこよろしく窓辺で転がっているのはよく見る光景だし、我々人間の身体や精神にも日光浴が必要なのは、読者の皆さんも十分に知っていることだろう。
しかし夜行性の両生類は、体内でビタミンDを作り出せるので日光浴をしなくても問題がないのだ。
アマガエル飼育は湿度と温度が大切
カエルは両生類であるから、霧吹きで湿度を調節してやると良いという。
そして、ケース内の温度は20~25℃を保つ必要がある。室温が上がりすぎてしまったり、逆に冷房で室温が下がりすぎてしまったりすると、クーラーやヒーターが必要になる。
飼育中のアマガエル(提供:栗秋美穂)
また、夜行性であるから隠れ家があると安心だろう。隠れ家は、100均などに売っているレンガタイプのもので十分。
余裕があれば、両生類用に湿度が維持できるシェルターが販売されているので、そちらを導入するのも良いと思う。
また、ニホンアマガエルは周囲の色と同じになる性質を持っている。野生の環境に近い苔などを置けば、その色に溶け込むさまを観察できる。
アマガエルと暮らして梅雨を感じる
アマガエルはとても神経質で、捕まえたばかりのときは、特に環境の変化や人の視線に敏感。上から覗かれると食べられると思うらしく、真横からの観察が適していると息子が調査結果を教えてくれた。
上から覗きこみピンセットでエサを揺らすのも、かえって怖がらせていたのかもしれない。先述の通り、エサをそっとケースの中に置いておくと、人がいない時間に安心して食べている。
ケースの掃除も、最初は大騒ぎだった。カエルたちはすばしっこく、ちょっと油断すると跳ねて逃げそうになる。息子と2人でそっと手を伸ばし、カエルたちを別の容器へ移す作業は毎回悪戦苦闘。「逃げないでね」と声をかけながら、慎重に手を動かす。
飼育にまつわる色々なことを調べつつ、今は賑やかなアマガエル飼育になりつつある。皆さんも梅雨の風物詩として、自宅でアマガエルを観察してみてはいかがだろうか。
(サカナトライター:栗秋美穂)