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「世界で最も危険」なバイカルハナウドだけじゃない 身近にある“危険な植物たち”の見分け方

Sitakke

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札幌にある「滝野すずらん丘陵公園」の「滝野の森ゾーン」から、森の住人KENTAが、自然の魅力や楽しみ方を伝える連載。
今回は、北海道で話題になった「世界で最も危険」と言われる植物をきっかけに、森との向き合い方を考えます。

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」

森ってこわい?

突然ですが、滝野すずらん丘陵公園にはどのくらいの数の「自生植物」があると思いますか?

滝野の森のシンボルフラワー”シラネアオイ”

チューリップやコスモスなどいわゆる「園芸種」と呼ばれるものを抜きにしたら、約500種類以上の花や樹木が確認されています。この連載の中でもすでに様々な植物たちを紹介してきましたが、今回はあるテーマに沿った内容で森の植物たちを紹介してみたいと思います。

今回のテーマは「危険な植物」。

この記事を書いているのは2025年の7月なのですが、先月ある植物が大きな話題になりました。それは「バイカルハナウド」。

報道などで大きく取り上げられたので名前くらいは耳にした方も多いと思いますが、北海道大学構内で見つかった大型の植物が国内では見つかったことのないバイカルハナウドではないか?という話がSNSから広まり、大きなニュースになりました。

ニュースになった理由はその毒性。樹液が皮膚に触れたあと紫外線を受けるとやけどのような状態になり重症化することもある、ということで市内の公園や道路などでも調査が行われ、滝野でも園内に該当するものがないか調査を行いました。ちなみに調査の結果、オオハナウドやアマニュウといった在来植物はありましたが、該当するものは見つかっていません。

HBCニュースによると、北海道大学は会見で、構内で見つかった植物はバイカルハナウドかどうか特定はできなかったものの、「メトキサレン」という毒性のある成分を含む外来種で、バイカルハナウドと似た症状を引き起こすと発表しました。札幌市白石区でも似た植物が見つかっていて、北大と同じ種類であったことが成分調査から明らかになったということです。

オオハナウド

ニュースを見た人の中には「森の中にはそんな毒のものがあって怖い」とか「植物ってむやみに触ってはいけないんだ」と思った方もいるかも知れません。ただ、普段から森にいる人たちにとっては「森の中に毒がある植物がある」って実は「普通」のことだったりするんです。そんなわけで今回は「森の中にある”危険な植物”」についてお伝えしたいと思います。## 一番有名な「危険な植物」といえば

改めて質問ですが、「危険な植物」と聞いて思い浮かぶものはありますか?

おそらく一番有名なのがこれだと思います。

花を見てもピンとこない人もいるかも知れませんが、名前を聞くと「あ!」と思う人も多いはず。

この花の名前は「エゾトリカブト」。夏の終わりに、薄紫や白っぽい花が咲きます。過去に事件に使われたという話があったり、アイヌの人たちが狩りに使っていたと言われるほど毒性の強い植物です。

トリカブトには「アコニチン」という毒があり、誤飲すると10分〜20分の間に症状が出てしまい命に関わることもあります。

トリカブトが危険な理由はその毒性にもありますが、似ている植物があるからです。その一つがニリンソウ。

ニリンソウ

春に小さい花が咲きますが、葉っぱの形は出始めのトリカブトに似ています。春に山菜として食べる人もいて、トリカブトと間違えることがあるようです。

危険な植物 見分け方は?

エゾトリカブトの葉っぱ

ただ、ニリンソウは春一番に花が咲き、トリカブトは夏の終わりに咲くので花を確認できればほぼ確実に見分けることができます。

もう一つ紛らわしいのがヨモギ。

ヨモギの葉っぱ。ギザギザ具合がトリカブトに似ています

こちらも葉っぱの見た目が似ていて、特にトリカブトの花が咲く前の初夏〜真夏の時期は背の高さも似ているので紛らわしいです。

見分け方は「葉っぱの裏」。ヨモギは毛がありますがトリカブトはツルツルしています。またヨモギは独特の「匂い」がするのでそれも見分けのポイントですね。

ヨモギの葉っぱの裏側。うっすら毛が生えているので白く見えます

もうひとつ、注意が必要な植物

森の中でもう一つ注意が必要な植物が「ウルシ」です。森の中でよく見かけるウルシは2種類。ツタウルシとヤマウルシです。

ツタウルシは、その名の通り蔓性で木に巻き付いていたり地面に広がったりしています。

特徴は葉っぱが3枚で茎が赤いこと。

ヤマウルシは別名「キウルシ」とも呼ばれ木の形をしています。ツタウルシと違って葉っぱは4〜8枚ほどついていますが、こちらも茎の部分が赤いのが特徴です。

ツタウルシとヤマウルシにはどちらも「ウルシオール」という成分があり、皮膚に触れると痒くなることがあります。症状の出方は人それぞれで、まったく影響の無い方もいれば近くを通っただけで痒くなる人もいるそうです。

実は筆者もウルシにかぶれたことがあります。症状としては、ウルシに触った2日後くらいに腕に小さな水ぶくれのようなものができてひたすら痒くなりました(症状が出たら皮膚科に行ってください)。

でも、危険な植物たちにも、また違った側面があります。
つづきは後編の記事でお伝えします。

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」

文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年7月)の情報に基づきます。

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