真冬の釣りの魅力は【独特の「静寂」にあり】 短時間で楽しむのがポイント
1月2月、極寒の風に吹かれて海釣りをしようというのは、まあ無理がある。釣り物も少ないし、釣れる率も高くないし、何時間も寒風に晒されてアタリも皆無となると、せっかくの休日を無駄にしてしまった気もしてくる。しかし、計画性を持って短時間釣行すれば、実は冬の釣りは風流なものにもなる。今回は、真冬の釣りの魅力と、良い時間を過ごすための「アフタープラン」まで解説していきたい。
真冬の釣りもオツなもの
冬の海を舐めてはいけない。体感温度マイナスの寒風の中で、一向にアタる気配のない竿を出していると、筆者など、発作的に大声が出そうにさえなる。しかし、そんなに必死に魚を追いかけるわけではないのならば、冬の釣りも一種の楽しみはある。
何せ、冬の海はきれいなものだ。プランクトンの量が減るために、海の色は実は夏よりも透明度が高くなる。ちょっと海を眺めて、缶コーヒーを啜って帰る、そんなのもいい。また青イソメをつけて穴釣りでカサゴを手堅く狙うもよし、夕マヅメ前から天秤を投げてカレイを狙ってもいい。このへんの魚は水温が10℃を下回っても、まあ運がよければあっさり釣れたりする。
短時間の釣行で自然を味わおう
真冬の海の何がいいかといって、やはり独特の「静寂」に他なるまい。根がとことんロマンチストにできている筆者の感覚も大いにあるだろうが、冬独特の荒涼とした静けさの中で、冷たい空気を味わいながら「釣れないな」と呟くのも、実際に釣り場に行った者だけの特権である。
釣れなくても自然を味わう。見よ、足元の澄み潮を。冬の晴れ間の空の青の淡さ。ぽかぽかしているなら、お昼ご飯を海辺で食べよう。春に近づくにつれ、日の入りの時間も遅くなっていく。そんな季節のじわじわとした移ろいを楽しむのもいい。
しかしくれぐれも、真冬の釣りは短時間にしておこう。そんな遮二無二に釣果にこだわるものではないし、寒さに苦しみながらやればやるほど釣りが苦行になる。釣れる可能性が高いのは、オカッパリでは穴釣り一つだ。だがこの釣りも、長時間やると冬ならでは体も凍えて足が痺れ、感覚が薄くなってしまい、足元が危うい。決してのめりこまないよう、気を付けてほしい。
釣りにレジャー要素を持ち込もう
ちょっと感傷的になりすぎた、閑話休題。真冬の釣りを楽しむためには、何より計画性が大事だ。あくまで釣りは傍らに、レジャー要素を持ち込むと、海にいる時間が楽しくなる。
海でできることなんて釣り以外にもいろいろあるが、私は海辺で食べるメシほどうまいものはないと思っている。といって、釣った魚をその場でさばけなんて言わない。コンビニ弁当でも、菓子パンに缶コーヒーでもいい。喫煙者は、どうぞ自由にタバコをくゆらせてください。
海がまさしく徒歩距離の方は、お酒を飲むのもいいですね。きりっとした風、熱燗。そのあと仲間と近くの居酒屋で合流。そんなふうにプランがつながると、真冬の海もわりと楽しめたりするものだ。
ゆっくりと休んでいい冬を
通常、釣りのあとにたっぷりとお湯に浸かる時間などない。筆者のようなガチ勢のアングラーは大体釣り場で体力を消耗しきって、帰宅後はもうろうと道具を洗うぐらいのものだろう。しかし、短時間釣行と決めた冬の釣りのあとは、銭湯に行くのもいいし、自宅で長風呂してもいい。冷たい風にあたってきた分、それが溜めとなって、風呂場で「整う」はずだ。
普通にやって釣れないなら釣り堀を利用するのもいい。実際、釣り掘と温泉がセットになった日帰り旅行プランもあるかもしれない。どちらかといえば有形のものにこだわるのではなく、むしろ無形のものにこだわるのが、真冬のアングラーの過ごし方というものだ。
<井上海生/TSURINEWSライター>