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相も変わらず野菜が高い。ちょっと前まで1玉500円だったキャベツが400円くらいになってはいるものの、それでも「安くなった」とは思えない人が多いことだろう。

以前の記事で「逆に安い野菜」を業界関係者に聞いてみたところ「1つも無い」と言われてしまったが、では「価格が安定する時期」はいつ頃なのだろうか？　

・安定するのはいつなのか？

現在「逆に安い野菜」が無い理由は「電気代の高騰」「人件費の高騰」「資材の高騰」等、様々な要素が絡み合っているという。価格の高騰は野菜に限った話ではないため、致し方ない部分はあるのだろう。

だがしかし、キャベツのように目玉が飛び出るほど高いのは困る！　以前までと同じ価格にしろとは言わないので、せめて「安定的な価格」であって欲しい。

・特にキャベツが高い理由

そこで今回は以前の記事とは別の業界関係者に話を聞いてみることに。最近まで長く業務用の青果卸をされていた「八百トシさん（仮名）」に「キャベツの価格が安定するのはいつ頃なのか？」と質問した。

──本当にキャベツが高いんですが、価格はいつになったら安定するんですか？

「そうだね～。というか、そもそも今キャベツが高い理由はわかってる？」

──それは色々な物が値上がりしてるから……？

「それもそうなんだけど、キャベツに関して言うと冬物が全然採れてないの。だから高いんだよ」

──あ、それはニュースかなんかで見ました。猛暑が原因だとか？

「そうそう。キャベツって1年中出回る野菜なんだけど、関東地方の場合、冬は愛知県産が多いかな。春から夏にかけては千葉や神奈川。夏と秋は群馬と長野。そんな感じでローテーションしてるんだよ」

──ふむふむ、なるほど。春キャベツとか言いますもんね。

「そうそう。ちょっと難しいかもしれないけど、最近は異常気象のせいで、過剰生育・収量低下・苗の植え替えなんかがあって、出荷の時期がズレてるんだな。それも高騰の一因なんだよ」

──なるほど。で、キャベツはいつになったら価格が安定するんですか？

「まあ春以降だろうな。もちろん天候が安定している場合だよ？　実はもう春キャベツが出回り始めてるんだけど、この間見たのは巻きも良い感じだったな」

──巻き！

「春キャベツにしてはってとこね。春キャベツは冬場より巻きが甘いから、とんかつ屋さんとかはイヤがるな。量が取れないんだよ」

──へぇ～。でも春物が出回り始めれば価格も安定するんですね。安心しました。

「でもさ、昔ほど安くなると思っちゃいけないよ？　前はさ、夏場の群馬のキャベツなんかは100円もしなかったんだ。当時は箱代にもならないからと破棄されることもあったんだよ」

──群馬県産かはわかりませんが、確かにキャベツが1玉100円しなかったこともありましたね。

・物申す

「まあ、あの頃みたいな価格になることはないんだろうなぁ。そうだ、あとついでにこれを書いておいてくれよ」

──なんでしょう？

「ネットやSNSにさ、JAや卸しの中抜きのせいで価格が高騰してるって意見もあるけど、とんでもない誤解だよ」

──ふむふむ。

「そもそも青果は鮮魚と比べて薄利多売なの。まあ青果に限らず、日常的に消費するような食材は薄利多売な場合が多いんだけどさ。これはもう昔からそうなんだよ」

──なるほど。

「青果で例外はメロンとかの高級フルーツだけ。あとはせいぜい松茸くらいか。野菜なんて本当に微々たる金額しか乗ってないんだよ」

──へぇ～。

「たださ、人口も減って来てるだろ？　俺はこのままじゃ立ち行かなくなると思うね。景気がよくなれば問題ないんだろうけど、実際はそうじゃないしな」

──確かに。

「今でこそ野菜が注目されてるけど、基本はいつも脇役なんだよ。みんな“野菜 ＝ 安くて当たり前”と思ってるだろ？　ただでさえ安くなきゃ売れないのに、この時期に誰が中抜きなんかするかって話だよ」

──言われてみればその通りですね。

・春には……？

ご覧のようにキャベツに関しては「天候が平年並みに推移し、春物が出回り始めれば価格が安定しそう」とのこと。一方で「一昔前のような価格を期待してはいけない」とも覚えておきたい。

いずれにせよ財布が厳しい時期は続きそうだが「カット野菜」や「冷凍野菜」などを駆使しつつ、なんとか冬場を乗り切りたいところ。俺にも俺の財布にも、春よ、来い──。

執筆：P.K.サンジュン
Photo：RocketNews24.