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からあげ弁当 『イナズマロック』のステージで「1曲を9回演奏」、異例のセットリストで届けた滋賀出身の矜持と覚悟

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からあげ弁当

からあげ弁当が、9月21日(土)に開催された『イナズマロック フェス 2024』風神ステージに出演した。本記事では、同ステージのオフィシャルレポートをお届けする。

「ああああかんあかん!配信あるの忘れてたっす。おかんに怒られる。」

ライブ直後、ステージから降りてきたばかりのVo.焼きそばにスタッフが駆け寄る。地元での初ライブを終えた労いかと勝手に想像していたのだがしかし。後悔の表情と共に彼が発した一言だった。

9月21日(土)朝10時。
琵琶湖からの歓迎か洗礼か、身体全体を包み込むような湿度に汗が止まらない「イナズマロックフェス 2024」。同じく大汗をかいていた焼きそばと会い話を聞くと、当日朝から守山駅付近や会場内を走ってコンディションを調整しているそう。「ダイエットをしているとは聞いていたが、ライブ前の調整?そんなキャラだったか?」なんだか腑に落ちないのだがそれもそのはず。今日がバンド初の地元凱旋。しかもイナズマロックという大舞台。ふるさと観光大使も務める西川貴教氏による滋賀県随一の野外音楽フェスは今年で16回目の開催。初日、その開幕を告げるトップバッターを任されたのが風神ステージに出演したからあげ弁当だったのだから。

からあげ弁当

「知らん人はおらんと思うし、滋賀のフェスといったら、ねえ。もちろんいつか出たいっすよ。」(昨年2023年末、FM滋賀に初出演した際の焼きそば談)
「2016年からお客さんとして毎年来てます。(フォトスポットを指差しながら)あそこで写真撮ってました。たくさんのアーティストに出会わせてもらった憧れの場所です。」(Dr.こーたろー)
からあげ弁当のメンバー2人は滋賀県の出身。SNSのプロフィールには「滋賀のロックバンド」と。ことあるごとに地元とイナズマロックへの想いを聞いてはいたのだが、だからこそ15分という短いステージの中でその想いをバンドとしてどう表現するのか、さまざまな想像をしてスタートを待つ。

お馴染みのSEが流れるなか、焼きそばが開口一番
「おはようございます!滋賀県!彦根市!※※町!※※※(番地)から来ましたからあげ弁当です! (※部分は自主規制)
思わず笑ってしまった。本稿冒頭の焼きそばの発言は、この風神ステージがYouTubeで生配信されているにも関わらず実家の住所を番地までしっかり言い放ってしまった後悔だった模様。時はすでにだいぶ遅し。
宣言?を経て、記念すべき地元凱旋ステージでの1曲目は「チキン野郎」。県内で展開するラーメン屋の店名を拝借した(後々承諾は得ているそう)タイトル曲であり代表曲。正に「メイドイン滋賀」な流れは鉄板であり、想定内である。さぁここからどう攻める?どう展開するのか?と思ったのだが……以下にライブの流れ、曲紹介の一部を抜粋しよう。

「足んねーな滋賀県!チキン野郎!」
「ほな全員で歌おう!チキン野郎!」
「わああああああ〜〜チキン野郎!」

15分ステージ、「チキン野郎」のみを繰返し繰返し繰返すこと、実に9回。
そんなライブの最中、曲の合間、曲中、全編に渡って焼きそばがたぎる想いをぶつけてくる。

「世界で1番幸せなんは琵琶湖でロックンロールを浴びてる時」
「2024年、俺たちの音でイナズマロックが始まった」
「イナズマロックで全部同じ曲をやったのは多分俺らだけでしょう」
「理由なんて何でもいい、今ここにいてくれてること本当に感謝してます」
最後に「愛してるぜ滋賀県」と言い放ち、初の凱旋ライブは幕を閉じたのだった。

からあげ弁当

ライブ後、西川貴教氏と念願の初対面を果たしT.M.Revolutionのライブをじっくり鑑賞するなどフェスを満喫してる様子のメンバーたち。
だがそんな至福な時間も束の間、同日夜に大阪市内で行われる所属レーベル主催イベントへ向かうため出発時間が迫る。
名残惜しげな焼きそばにイナズマロックの総括を尋ねると、

「おかんにしっかり配信見られてたっす笑 『かっこよかったけど住所はあかん、世界に向けて何言ってんねん』と怒られました笑 まあしょうがないっすね。地元の友達やら色んな人から連絡も来ました。なんなら会場で知り合いのお父さんに声をかけられたり、嬉しいっすよね。初めて観たってお客さんがグッズに来てくれて嬉しくて年内新曲出すこと言ってしまったけど、まあしょうがないっす笑 せっかくなんで書いといてください笑 ほんまに幸せな時間やったっすシンプルに。余計自分たちのフェスを将来、滋賀でやれればって気持ち強くなったっす。ほな行ってきます!」

大仕事をやり終えた達成感か、いつもの通り屈託のない笑顔で手を振りながら去っていった焼きそば。奇しくも彼らが先月リリースした最新曲「Good day」にはこんな歌詞が登場する。

「寄り道だって遠回りだって沢山したな でも君はずっと居てくれたね 目をあければその一瞬がここにあって 道は間違えてなかったようだ」

寄り道や遠回りはきっとこれからも続くだろう。今日のような一瞬を目の前に迎えるべく、これからも道を進んでいくであろうからあげ弁当。まずは新曲のリリース、そして12月8日に大阪で開催するバンド初のワンマンライブか。琵琶湖のほとりを歩く4人の背中が不思議とたくましく見えるのだった。

西川貴教、からあげ弁当

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