「危害を加える脅威の隣人?」それとも「理解しあえる良き友人?」ドラゴンとの友情がアツい作品5選:おすすめ
数々の世界的人気作を生み出してきたドリームワークス・アニメーションが2010年に公開し、全世界で大ヒットを記録した名作アニメの実写化『ヒックとドラゴン』が、2025年9月5日(金)より公開。バイキングの少年ヒックと彼が出会ったドラゴン「トゥース」との友情と大冒険が、最新のIMAXカメラで撮影された実写映像でどのように描かれるのか、話題の“ドラゴンライド・アドベンチャー”に期待が高まります。
ドラゴンといえば、古くから西洋では恐ろしい怪物、東洋では神聖な存在として描かれてきましたが、近年の創作物では「友情」や「パートナーシップ」を築く存在として描かれることも多くなりました。人間を遥かに超える力を持ちながらも、心を通わせることができる神秘的な生き物であるドラゴン。そこで今回は、そんなドラゴンとの友情を描いた5作品を紹介します。
一部“?”マークがつく造形もありますが……
『ピートとドラゴン』(1977年)
監督:ドン・チャフィ
主演:ヘレン・レディ、ミッキー・ルーニー、ジム・デイル ほか
【あらすじ】
孤児の少年ピートは、唯一の友だちで透明になることができる緑色のドラゴン「エリオット」とともに、意地悪な養父母から逃げ出して、とある町にやってきます。そこで親切な灯台守の親子と暮らすことになったピートでしたが、エリオットの存在をきっかけに騒動に巻き込まれて……。
【おすすめポイント】
ディズニー制作による、少年とドラゴンの友情を描いた古典的名作。1970年代の作品でありながら、実写とアニメーションを組み合わせた映像はいま見ても新鮮な驚きを与えてくれます。日本では劇場未公開作品だったため、なかなか鑑賞の機会に恵まれない作品ではありましたが、ピートと緑色のドラゴン「エリオット」は東京ディズニーランドのエレクトリカルパレードに登場するキャラクターでもあるので、そちらで存在を知っている人も多いかもしれません。
『ネバーエンディング・ストーリー』(1984年)
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
主演:ノア・ハサウェイ、バレット・オリヴァー、タミー・ストロナッハ ほか
【あらすじ】
いじめられっ子の少年バスチアンは、古い本屋で一冊の不思議な本を見つけます。その本の中では、若い戦士アトレーユが幸運の白い竜ファルコンとともに、「無」によって滅びゆくファンタージエン国を救うため冒険の旅に出ています。やがてバスチアン自身も物語の中に引き込まれていき……。
【おすすめポイント】
ドイツの作家ミヒャエル・エンデの名作小説を映画化した、ファンタジー映画の金字塔です。本作に登場するドラゴン「ファルコン」は白い毛玉のようなモフモフした姿で、一般的に想像されるドラゴンとはイメージが違うかもしれませんが、テーマ曲に合わせてアトレーユを背中に乗せて空を飛ぶシーンは映画史に残る名シーンと言っても過言ではないでしょう。
『ラーヤと龍の王国』(2021年)
監督:ドン・ホール ほか
声の出演:ケリー・マリー・トラン、オークワフィナ、アイザック・ワン ほか
【あらすじ】
分裂した王国クマンドラで、心を持たない魔物が復活して人々を石に変えてしまいます。聖なる竜の力が宿る「龍の石」を守護する一族の娘・ラーヤは最後の龍「シスー」と出会い、ともに失われた龍の石の欠片を集め、世界を救う旅に出ますが……。
【おすすめポイント】
ディズニーが東南アジアの文化にインスパイアされて制作し、信頼の大切さと偏見を乗り越える勇気を描きます。オークワフィナが声を演じるシスーはユーモアがあり親しみやすいキャラクター造形となっており、その身にまとう色彩の美しさとも相まって、観ていて飽きないドラゴンになっています。
『千と千尋の神隠し』(2001年)
監督:宮崎駿
声の出演:柊瑠美、入野自由、夏木マリ ほか
【あらすじ】
10歳の少女・千尋は、引越しの途中で両親とともに不思議な世界に迷い込んでしまいます。そこは八百万の神々が疲れを癒やしに来る湯屋「油屋」でした。両親を豚に変えられてしまった千尋は、湯婆婆のもとで働きながら、謎めいた少年ハクと出会い絆を深めていきますが……。
【おすすめポイント】
いまさらおすすめするところもない、宮崎駿監督による日本アニメーションの最高傑作のひとつです。“八百万の神々”とあるように、古くから日本ではあらゆるものに神が宿ると考えられてきました。そして、川や池、沼など水のあるところに存在する神やその化身としては、多くの場合、竜が祀られてきました。真の名前を取り戻したハクの美しい姿から、在りし日の「コハク川」の美しい風景も連想できそうです。
『小林さんちのメイドラゴン』(2017年/全13話)
監督:武本康弘
声の出演:田村睦心、桑原由気、長縄まりあ ほか
【あらすじ】
プログラマーの小林さんは、酔っぱらった勢いでドラゴンのトールを自宅に招待します。翌朝、トールは恩返しのためにメイド姿で現れ、小林さんの家で働き始めます。やがて他のドラゴンたちも加わり、小林さんは異世界の存在たちとの不思議な共同生活を送ることになり……。
【おすすめポイント】
現代日本を舞台に、ドラゴンとの友情(というより家族愛)を描いた心温まる作品です。京都アニメーション制作による美しいアニメーションと、日常系アニメならではの温かい雰囲気が魅力的で、笑いながら楽しめる現代のドラゴン友情物語として多くのファンを獲得しています。2021年には第2期『小林さんちのメイドラゴンS』が放送され、2025年6月には映画『小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜』が劇場公開されています。
「ドラゴンと友情をはぐくむ」というテーマで5作品を選んでみました。「ドラゴン」と言いながら、竜や龍が登場する多彩な作品群となりました。厳密なところで言うと、「ドラゴン」「竜」「龍」はそれぞれで文化的な背景が異なり、それぞれに興味深い成り立ちを持っていて、ひとくくりにしてしまう訳にはいかないところもあるのですが……、まあ、そこはご容赦ください。