人との違い、ダンスで磨く 先天性疾患の悩み克服 高2の大平さん 伊賀市出身
「REAL AKIBA BOYZ」龍さんに憧れ
幼少時に「軟骨低形成症」と診断された、三重県伊賀市玉瀧出身で三重高2年の大平蒼空さん(17)。疾患の特徴の低身長に悩んでいたが、オタクダンサーチーム「REAL AKIBA BOYZ(リアルアキバボーイズ)」の龍さん(17)に衝撃を受け、現在はダンス部で自己表現を楽しみながら「人と違う自分」を磨いている。
軟骨低形成症は、軟骨の異常で低身長や四肢の短さなどをきたす先天性疾患で、根本的な治療法は無いとされる。大平さんは生まれたころから手足が他の子より短く、3歳の時に医師から診断を受けた。それからは、病院で処方される成長ホルモンの注射を打つのが日課となった。
小学校低学年のころは他の子と大きな身長差は無かったが、高学年以降は周囲の仲間の背が伸び、差が顕著になった。友人らは大平さんの疾患を理解してくれていたが、「高い所に手が届かない」など身体的制約があったり、久しぶりに会った大人から「大きくなったね」と言葉を掛けられたりする中でコンプレックスを感じた。
身長149・2センチだった中学3年の夏、主治医から「これ以上、身長は伸びない」と告げられた。同時に、成長ホルモンを注射する日課も終わった。注射の痛みを感じずに済む安心感と、「もう一生、身長が伸びない」という落胆が交錯。行き場のない感情を親にぶつけてしまうこともあったという。
そんなある日、チーム加入前の龍さんがダンスバトルをするユーチューブ動画に目を奪われた。龍さんはヒップホップが中心だが、ブレイクダンスでも高い技術を持つ。独自のスタイルを武器に全力でダンスを楽しむ姿に、大平さんは悩みを忘れて夢中になった。
小学3年から中学3年までは剣道に打ち込んだが、高校では全国大会常連のダンス部の扉をたたいた。100人を超える部員が所属し、競争が激しいが、「人より何倍も努力を」と自分に言い聞かせて練習に励む。
主にロックダンスとブレイクダンスをしており、動きに力を込めたり早さを意識したりして、大きな表現に挑戦している。大平さんは「龍さんのように、人と違うスタイルを確立したい。この体だからこそ、僕にしか発信できないことがあるはず」と話す。
9月21日には、父の誠さん(38)が実行委員長を務める「伊賀焼陶器まつり」のオープニングセレモニーで、三重高ダンス部の一員として出演する。大平さんは「地元の阿山で踊るのは初めて。会場の皆さんに元気を届けたい」と話した。
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