天狗石造 民俗文化財に 成瀬に3基 希少性高く
成瀬地区にある3基の天狗型道祖神が先ごろ、町田市登録有形民俗文化財に登録された。天狗にかたどられたものはこれまで町田市以外では確認されていないといい、担当する市教育委員会は「全国的にも珍しい文化財。地域の協力を得ながら、適切な保護の方法を検討していく」としている。
悪霊から守る神
道祖神は全国各地で村の境界や峠に存在し、外来の疫病や悪霊から守る神としてまつられているもの。成瀬地区には市成瀬クリーンセンター南の道路脇や西山児童公園内、山之根稲荷神社敷地内に3基、天狗にかたどられたものがある。これらは江戸時代中期の1700年代につくられたものとされており、1960年代ごろから研究者の注目を集めてきたという。
有形民俗文化財の登録に至ったきっかけとなったのは、町田市と地域の歴史を探究している市民グループ「まちだ史考会」が19年に発表した調査報告書。そのなかで天狗型道祖神の希少性が改めて示され、文化財として保護していく必要性が指摘された。
調査を実施
市教育委員会は「石の劣化や草による被害が進んできている。どのように保護していくか検討していく」とし、今後は道祖神に刻まれた文字の内容が正確なものか、当時の古文書などと照らし合わせることで、誰がどのような背景で建立したのかを明らかにしていくという。そして、調査によってより詳細な歴史的検証が進めば、有形民俗文化財よりも重要なものと位置づけられる「指定文化財」として登録される可能性があり、保護のための補助金が支給されることになるという。
28日から記念展
今回の登録を記念し、成瀬コミュニティセンターで4月28日(月)から、「成瀬を見守る天狗型道祖神―地域の歴史を未来へつなぐ文化財」と題したパネル展が開催される。
天狗型道祖神の歴史や特徴、町田市の文化財保護の取り組みが紹介され、地域の文化をより深く知る機会となる。会期は5月9日(金)まで。