立川駅前ペデストリアンデッキ生活のススメ。君も“天空人"にならないか?
降りたくないんですよ、ペデストリアンデッキから。だって衣食住のみならず、生活を潤すすべてがそこにある。地上に降りる必要などあるまい!とくと見よ! これが天空人の暮らしだ!
ペデストリアンデッキとは
駅と周辺のビルをつなぐ高架型歩行者専用通路。歩いてよし、留まってよしの空中回廊なのである!
【天空人ライフ1】エスプレッソでスタイリッシュ朝食
「ウチはブレンドで勝負です」とは、カフェ『Klimt』代表の岩﨑泰英さん。風味を味わうなら、エスプレッソ350円。11時までの限定メニュー・厚切りトースト150円(エスプレッソとのセットで450円)を合わせれば完璧。トーストにかぶりつき、エスプレッソをクイッ。苦みと鼻腔を抜ける芳香。優雅な朝である。
8:00~20:00、無休。
☎042-526-3030
【天空人ライフ2】身体が資本! 広々デッキで運動もできちゃう
天空人たるもの、体力作りも怠らない。頭上を通り過ぎるモノレールや随所のアートを横目に眺めながら悠々とウォーキング。ぐるりと巡れば汗がにじむ。ふふふ、意識高いな、俺……おっと、うっかり地上に降りてしまわぬよう、気をつけなければ。
【天空人ライフ3】美容室で身だしなみも心身も整える
『HAREKE meridish』はスタイリストのみならず、カラーやシャンプーの担当まで指名できるから贅沢(ぜいたく)。店長・梶野慧実さんの小気味良いカットでスッキリ。さらにミスト吹き出すシャンプースペースでトリートメントを受ければサッパリ。髪が柔らかい。そして頭や首が軽い。これも“整った”ってやつだな。
10:00~20:00、月・第3火休。
☎042-529-8080
【天空人ライフ4】空中回廊にも隠れ家酒場があるんだぜ
洋食店のごときしゃれた店内に流れる爆音のアニソン。焼き鳥店『ワラエバ』のカオスな風情、妙に落ち着くのが不思議だ。炭火で焼かれた白レバー330円はフワトロ。ウイスキーロック660円との相性たるや、やみつきさ。人気のリンゴバター770円も外せない。深い甘みと軽やかな酸味で、また酒が進む。
17:30~翌1:00、火休。
☎042-595-8292
【天空人ライフ5】ホテルに帰宅。これが最高の生活さ
「連泊のお客さま、大歓迎ですよ」とは『JR東日本ホテルメッツ 立川』支配人。2025年2月にリニューアルしたばかりで館内はピカピカ。ロビーでは入浴剤や飲み物などのアメニティが選び放題、コーヒーマシンも使い放題で気分高揚。客室ではイチョウをイメージした黄色い壁にほっこり。シャワーを浴びてランドリーも回したら、ロビーで手に取ったジャスミン茶を淹れて、心安らかに眠りにつこう。
1泊朝食付1万100円~(連泊可)。☎042-548-0011
【結論】人は、立川駅前ペデストリアンデッキで一生暮らせる!
天空人の朝は早い。『JR東日本ホテルメッツ立川』の窓から駅に滑り込むモノレールを見届けたら『Klimt』へ繰り出す。砂糖をたっぷり溶かしたエスプレッソで寝ぼけた脳を起動。駅前オブジェの赤が、今朝の青空にひと際映えてら。おはよう、今日もきれいだよ……。
朝食後はルーティンのウォーキングだ。通勤する人、待ち合わせする人。景色は昨日と同じようで全く違う。毎日デッキを歩いているからこそ、感じられる変化なのだ。フフッ。
ぐるりとデッキを一周したら美容室『HAREKE meridish』の予約時間に。デッキを見下ろす個室が最高なんだ。「傷んでるとこ、切りますね~」と、店長の梶野慧実さん。「今日も頭皮、揉んでいきますよ~」と、アシスタントの森陽翔さん。この二人に髪と頭皮をメンテナンスしてもらうのが、月に一度の楽しみだ。
サッパリして気分がいいから、『ワラエバ』で一杯ひっかけよう。「お、髪切りました?」と、店主の井上和久さん。キビキビ仕事をこなしながらも、小さな変化を見逃さない。この細やかさ、彼も天空人と言えよう。
『ホテルメッツ』へ舞い戻り、ふかふかベッドにダイブ。良い日だったな。明日はどんな一日になるだろう。
取材・文=どてらい堂 撮影=逢坂 聡
『散歩の達人』2025年9月号より
どてらい堂
熱血物書き
インタビュー記事を得意とするが、街頭調査やルポルタージュなど、体当たりな企画はより嬉々として勤しむ1984年生まれのB型男。主に『散歩の達人』で執筆。漫画・アニメ・格闘技オタクで、少年漫画脳な気質が文章にちらほら。たこ焼きの腕だけはプロ以上。