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【特集】新潟伊勢丹グルメ催事の裏側に迫る! バイヤーが語る情熱と努力の舞台裏

にいがた経済新聞

「こちらパリパリサクサク、新食感のモンブランです」「本場長崎のカステラのご試食はいかがですか」──8月末、新潟市中央区にある新潟伊勢丹6階の催物場では、「秋の大九州・沖縄展(現在は終了)」の真っ只中だった。賑やかな声と食欲をそそるおいしい香りに包まれ、フロアは活気が溢れていた。

新潟伊勢丹で年間約10回開催される食品物産展。その華やかな売り場の裏には、全国を駆け回り、一軒一軒の店舗と向き合うバイヤーの熱意ある取り組みがあった。

株式会社新潟三越伊勢丹で食品催事バイヤーを担う、淺見 圭樹(あさみ けいき)さんに、物産展を支える情報収集から商談、そして込められた思いまでを訊いた。

目次

◎全国のネットワークを活かした情報収集
◎日本各地を駆け回る商談への道のり
◎バイヤー太鼓判、北海道グルメの魅力
◎人と人をつなぐ食の架け橋として

全国のネットワークを活かした情報収集

新潟県内唯一の百貨店「新潟伊勢丹」

淺見さんは2013年入社。衣料品や食料品などの部門を経て、現在、営業統括部の食品催事バイヤーとして3年目を迎える。全国各地から魅力的な食品を発掘し、顧客に特別な体験を届けることに情熱を注いでいる。

「大北海道展」や「大九州・沖縄展」などを毎年開催しているが、毎回同じ顔ぶれというわけではない。では、新しい出店者はどのように探し出しているのだろうか。

淺見さんは入社13年目で、このうち11年間を食品部門で過ごしてきた

「情報収集の方法は主に2つあります。ひとつはインスタグラムなどのSNSや公式ウェブサイト、もうひとつは三越伊勢丹グループのバイヤーネットワークです。SNSは日常的にチェックしていますし、全国のバイヤーたちとは定期的に情報交換を行い、現地の担当者からリアルな情報を共有してもらっています」と淺見さん。

バイヤー同士の情報交換では「新潟でおすすめの商品は」と逆に質問を受けることも。こうした人と人とのつながりは、ネットだけでは得られない“リアルな情報”を届けてくれる大切な情報源になっている。

2025年8月27日~9月1日まで開催していた「秋の大九州・沖縄展」

「食品系のバイヤーは、全国各地の特産品に興味を持つ人が多いんです。もちろん仕事ですが、そもそも“食べることが好き”でないと続けるのは難しいかもしれません。私自身もおいしいものを食べ歩くのが大好きなんですよ」

多忙を極める中でも、「好きだからこそ楽しめる」と笑顔で語る淺見さん。その表情からは、食への純粋な愛情と、顧客に喜んでもらいたいという強い思いが伝わってくる。

日本各地を駆け回る商談への道のり

1974年設立、北海道赤井川村の「アリス・ファーム」(提供/淺見さん)

北海道深川市イルムの丘に建つ、ギリシャヨーグルト専門店「Fヨーグルト」にて(提供/淺見さん)

出店者を選定するにあたり重要視するのは、バランスだと淺見さんは強調する。百貨店としての信頼性、新出店と既存店の比率、トレンド、地域性という4つのバランスを常に頭に置きながら、顧客にも出店者にも喜んでもらいたいという思いで動いているのだ。

情報収集後、新規出店を依頼したい店舗には、必ず足を運ぶ。北海道なら1週間ほど、九州も5~6日かけて福岡、長崎、鹿児島などを回り、新規の出店候補者との商談を重ねている。

物産展は全国の百貨店で同時期に開催されるため、他の百貨店と出店者の取り合いが起きることがある。だからこそ、事前に徹底した下調べをし、熱意を持って交渉することを心がけているという。

淺見さんはバイヤーの仕事だけでなく、自身の希望で物産展のチラシ校正や会場レイアウトにも責任を持って携わる

「相手の著書や掲載されている記事を読んで、お店のこだわりをとことん理解した上で『新潟のお客様にぜひ紹介したい』と情熱をもってお伝えします。集客や売り上げだけを考えれば、東京の百貨店に出る方が有利かもしれません。しかし、『淺見さんがそこまで言うなら』と新潟伊勢丹に出店してくださる店舗もあるんです」

一方で、淺見さんは熱意だけで勝負しているわけではない。新潟の顧客の好みを知り尽くすために、休日に県内のお店を回り市場動向をチェックしている。全国で流行っている商品でも、新潟では売れ行きが悪いことがある。だからこそ、しっかりとしたデータを持って交渉に臨む。「せっかく遠方から来ていただくので、ちゃんと売上も上げていただきたいんです」という言葉からは、出店者への気遣いがにじみ出ている。

顧客と出店者双方の喜びを追求し続ける淺見さんの姿勢は、真のバイヤーとしての情熱そのものと言えるだろう。

バイヤー太鼓判、北海道グルメの魅力

9月10日から23日まで、新潟伊勢丹では待望の「秋の大北海道展」が開催される。今回、淺見さんが特に注目してもらいたいのは、初出店のスイーツだという。現地に足を運んだバイヤーだからこそ、おいしさと魅力を確信を持っておすすめする。

紅玉りんごと発酵バターのアップルパイ(実演販売/1個596円)

北海道砂川市に本店を構える「お菓子のほんだ」は、創業76年の老舗菓子店。名物のアップルパイは消費期限が当日中で、店頭販売しか行わないという徹底ぶりだ。水を一切使わず牛乳とヨーグルトだけで生地を練り上げるなど、自家製のパイ生地へのこだわりが強い。

「アップルパイはネット販売をしていないので、新潟伊勢丹で購入できるのは貴重なチャンスです。焼き立てのおいしさをぜひ」

手焼きマフィンブルーベリー(実演販売/1個501円)

もう一つの注目店「アリス・ファーム」は、ニセコ近くの赤井川村にある農園で、ベリーや地元農家の素材を使ったマフィンを作っている。淺見さんは「歴代の先輩バイヤーがずっと前から新潟に出店していただきたいと交渉してきたと聞いています。今回、念願の初出店が実現しました」と感慨深げに語る。

北海道展ではこうした初出店の目玉がある一方で、毎年の定番や顧客になじみの深い店も揃えている。新潟の人々にとって、北海道の本物の味を堪能できる絶好の機会となりそうだ。

人と人をつなぐ食の架け橋として

物産展は単なる商品販売ではなく、人との出会いや思い出と結びついた、特別な体験を提供する場だと淺見さんは考えている。売り場での出店者との会話や、家に持ち帰って大切な人と一緒に味わう時間など、味そのものを超えた無形の価値を提供することにこそ、物産展が存在する意義があるという。

また、顧客の中には定番店を楽しみにしている人もいれば、初出店のような新しい発見を求める人もいる。「今後も、お客様に愛され続ける定番を守りつつ、驚きやワクワクを感じられる新しい提案も続けていきたい。新潟の皆さんが、家に持ち帰って笑顔になれるような体験を届けること──それが私の使命です」

食を愛し、人と人をつなぐ架け橋として、淺見さんはバイヤーとしての情熱を注ぎ続けている。

北海道展は9月10日から16日までが第1弾、その後17日から23日までが第2弾と続き、出店者のラインアップが変わる予定だ。バイヤー・淺見さんが厳選した秋の北海道の味覚を、この機会に堪能してみてはいかがだろうか。

新潟伊勢丹 秋の大北海道展

第1弾:9月10日~16日(16日は16時終了)

第2弾:9月17日~23日(23日は17時終了)

【関連リンク】

新潟伊勢丹 秋の大北海道展

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