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「バットを短く持て!」は最後の工夫【高校野球から逆算した少年野球デキる選手を育てる方法】

ラブすぽ

「バットを短く持て!」は最後の工夫【高校野球から逆算した少年野球デキる選手を育てる方法】

【習得レベル:★☆☆☆☆】

<「最後の工夫」に至る前に、やれること、できること>

 学童野球に限らず、中学野球でも「短く持って振れ!」という声を耳にすることがあります。
 ある学童野球の試合でのことです。身体が小さく非力な選手が打席に入って空振りをして、監督からこんな叱責を受けていました。

 「バットを短く持て! ストレートに振り遅れているんだから少しでも工夫しろ!」

 様々な状況、前後関係が考えられますので一概には言えませんが、この監督さんの発言の根拠を推察してみます。
① その子が使っているバットをしっかり振れるような身体ではないことを前から知っている
② 相手投手とその子の力関係が分かっている
③ だかこそ短く持ってバットを速く振らせたいと思っている
監督さんの発言が、仮にここまで分かった上でのものだったとしましょう。それでも私は「しかし!」と言いたくなってしまいます。

① について
そのバットがその選手の現在の力量に合っていないことが分かっているのであれば、バット選びの時点からワンランク軽いもの(重さだけでなくバットのバランスも含めて)を選ぶようにアドバイスすべきだったのではないでしょうか?

② について
試合前の練習を見れば、対戦相手投手との相対的な力関係が分かるはずです。例えばもの凄く相手ピッチャーのボールが速いのであれば、打席に入る前にバットを軽いものに変更するようにアドバイスもできたのではないでしょうか?

③ について
スイングスピードを求めるのであれば、軽いバットの方がより速く振ることができます。やはり打席に立つ前に軽いバットを使うようにアドバイスができたのではないでしょうか?

 「バットを短く持つ」というのは、試合中、さらには打席の中でできる「最後の工夫」だと私は思います。その「最後の工夫」に至る前に、やれること、できることはなかったでしょうか?

 練習段階から普段よりも軽いバットで打たせてみたり、普段よりも速いボールでバッティング練習をやってみたり、それをバットの選び方の助言を行いながら指導するなど、やれることは多くあるのではないでしょうか?
 バットは1cm短くなったり10g軽くなるだけで感覚が全く違ってきます(中学→高校とカテゴリーが上がれば上がるほど、その感覚は繊細になっていきます)。非力な子に対して、試合のバッターボックスに入ってから「バットを短く持て!」ではなく、日頃の練習のなかでこういった工夫をすることで、感覚をならしておくことも大事になってくるのではないでしょうか。

<チーム所有バットのススメ>

 小中学生は身体が日々成長しているので、その選手に合ったバットは1年間で何度も変わる可能性があります。また、個人で買うバットは「いずれこれくらいのバットが振れるようになると良いなぁ」という子どもの考えや、「すぐ成長して大きくなるのに、現時点でピッタリのものを選ぶとすぐに使わなくなる」という親の考えなども含まれるため、どうしても重く、長いものを選びがちです。そうすると、身体に過負荷がかかり、怪我の原因にもなります。

 チームで重さ、長さ、バランスが様々なものを用意しておけば、成長に合わせて指導者が選手と一緒に考えることができるので、とても効果的です。自分のバットを購入したい場合は申告制にしておけば必ず相談することになるので、無理な重さを選ぶリスクも減ります。

 個人所有のバットを否定しているわけではありません。野球はバット、グラブ、スパイクなど多くの道具を使う競技です。その分、道具がフィットしているかどうかでプレーが大きく左右されます。
自分のイメージに近い形で道具を操ることができれば、上達への近道となります。

<豆知識>

 価格の高い道具がその子にとってフィットするかどうは全く別です。
 特に小学生や中学1年生くらいまでは、握る力が弱いため、グリップを短く持つような長いバットは、握ることに力を使ってしまい、余計な力みに繋がります。そのためバットをうまく扱うことができず、飛ばす以前にコンタクトがうまくいかないことが多くなりがちです。
 グローブも同様です。革の硬い硬式用グラブはボールを掴むことに精一杯でグラブを上手く扱えないため、薄く柔らかい方が使いやすいと思います。
 ちなみに我が家の息子たちは小学生から硬式ボールのリトルリーグ→リトルシニアのチームに所属ですが、中1の途中まで軟式用の柔らかいグラブを使います。バットも中学硬式用で最も短い80cmからスタートです。
 我が家の息子たちは身体が小さく細いので、慌てずにまずは怪我なく無理なく扱えるサイズから上達してほしいからです。

(記事提供:ヤキュイク)

著:伊豆原真人

伊豆原 真人(いずはら・まさと)

野球指導者。高校数学科教員。令和4年12月で神奈川県立川和高校野球部監督を降りて令和5年4月に異動。現在は長男野球部の保護者としてサポートしながら幼小学生〜大学社会人まで幅広く指導中。高2中1小3の球児の父親。

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