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自分の人生は、会社も世間も、誰も心配してくれません。【トップビジネスパーソンに聞く、マルチステージ時代のキャリア戦略】

求人ボックスジャーナル

自分の人生は、会社も世間も、誰も心配してくれません。【トップビジネスパーソンに聞く、マルチステージ時代のキャリア戦略】 【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

「このまま今の会社にいて、将来どうなるんだろう?」

そう感じたことはありませんか?

かつての「会社に入ればなんとかなる」時代は、もう終わりました。安定や安心が約束されていた昭和モデルは崩壊し、これからは自分のキャリアを“自分で切り開く”時代へとシフトしています。

とはいえ、「キャリアを自律的に築け」と言われても、何をどう考え、どう行動すればいいのかは誰も教えてくれません。

12年間経営コンサルティングに従事し、WEBメディアの運営支援、記事執筆などを行うティネクト株式会社の代表、安達裕哉さんに、「マルチステージ時代のキャリア戦略」について伺いました。

人生100年時代における働き方のヒントや、「何歳までに何を身につけておくべきか」というキャリア形成のロードマップは、あなたの未来をつくる第一歩になるかもしれません。

将来のキャリアに漠然とした不安を感じるか?

自分の将来のキャリアに漠然と不安を感じていないでしょうか?
20代・30代の正社員の約7割が「将来のキャリア」に不安や悩みを抱えているそうです。
(出典:株式会社Kakedas「キャリア形成」に関する意識調査)

もう20年以上前ですが私自身も、新卒でコンサルティング会社に入社して数年は、同じようなモヤモヤを感じていました。
とはいえ、先輩たちや上司から「頑張っていれば、心配しなくていい」と言われることもありました。
でも正直、それを鵜呑みにできない雰囲気も、若手のときにはあったと思います。
実際、仕事は厳しく、目の前の現実は先が見通せないことばかりでした。

みんな忙しそうで、新人にはほとんど関心がなく、「丁寧に教えてくれる先輩」など皆無。そもそも成果には非常に厳しい会社で、いつクビになるかもわからない。
売上の数字、顧客満足度、社内の勉強会。
手を抜くことのできる仕事はほとんどなく、一生懸命やったとしても、仕事がうまくいくかどうかなんて、全く見えない状態だったのです。

コンサルティング会社は、いまでこそ人気の職場になったかもしれませんが、本質は20年以上前から変わらず「安定」とは程遠い職業であることは間違いないと思います。
おそらく今でも「新卒で入った会社に定年まで面倒を見てもらう」という人は少ないのではないでしょうか。

完全に消えた昭和モデル、そして若者の現実

我々の親、あるいは祖父の世代は、一つの会社に新卒からずっと勤め上げるのが当たり前で、それが成功への一本道だったのでしょう。
でも、私たちの時代では、そうした 「会社一本で安泰」神話はかなり怪しくなっています 。

実を言えば、新卒で入社した社員のうち3年以内に会社を辞めてしまう人の割合は約3割にもなります。 (出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)

大手企業に入ったとしても、「あの先輩、2年で辞めてスタートアップに行ったらしい」なんて話は珍しくありません。

そもそも、私が様々な会社に出入りして痛感したのは、「会社の中でじっと出世の順番を待っていても報われない」ということです。
成熟した企業ではそもそも「ポスト」自体が少なくなっています。大手企業で「課長」以上になれるのは、全体の6%程度。
出世は狭き門になり、給料は上がらないし、社会保険の負担は年々増加。
意見を言っても通らず、でも、黙って従っていれば仕事はつまらないまま。下手すると会社自体が将来危ういのに、上は変化を嫌ってAI活用にすら取り組もうとしない。
そんな会社が多いですから、大企業に滑り込めたとしても、一社にしがみつくのはリスキーにも思えます。

人生100年時代、「マルチステージ」の生き方とは

さらに困るのが、平均寿命の延びです。
「人生100年時代」なんてキーワードを耳にしますが、データを見るとあながち誇張でもありません。例えば日本では 2007年生まれの子どもの半数が107歳まで生きられる という試算もあります。
正直なところ、「100年も生きる」のは想像もつきませんが、平均寿命はどんどん延びていて、普通の人でも90歳、100歳まで人生が続くかもしれない時代です。

長生き自体は喜ばしいことなのかもしれませんが、そうなると問題になるのが、「65歳で定年退職して、その後何十年も悠々自適」という従来の前提が崩れることです。
年金だっていつまで今の制度で十分にもらえるかわからないし、もし65歳で引退したとしても、残り数十年分の生活費を現役のうちに貯めるなんて現実的ではありません。

実際、日本の年金制度はドイツのビスマルクが作ったものが起源です。
しかし、ドイツのビスマルクが引退の年齢を65歳と定めた1891年には、ドイツ人の平均寿命45歳にも達していませんでした。
今日の平均寿命でいえば、年金の支給開始を95歳に設定したことになるのです。
現在の日本の年金も支給開始が95歳であれば制度として機能するかもしれません。

しかし、今のところ年金の支給開始が95歳になる気配はありません。
つまり、現状の年金制度がこのまま続くと楽観視することはできないのです。

だから、現実的には 定年後も元気なうちは働き続ける とか、そもそも引退という概念をなくしてしまうような生き方が必要になってきます。

この文脈で登場したのが「マルチステージ」という人生モデルです。

これは、人生を教育・仕事・引退の3段階で区切るのではなく、 会社員をしながら学び直しや副業に挑戦し、時には小さな起業や、ある時期にはボランティアに転じる など、いくつになっても新しいステージへ移行・並行しながら生涯現役でいるモデルです。

簡単に言えば、一つの会社や職業に固執せず、 複数のキャリアを経験しながら知識やスキルをアップデートし続けて100年時代を生き抜こう という考え方なのです。

会社任せにしない「キャリア自律」のすすめ

こうしたマルチステージの時代では、もはやキャリア形成を会社任せにはできません。
先の調査でも、 終身雇用が終わり各自が自らキャリア形成を行うこと(キャリア自律)が求められる と指摘されていました。
裏を返せば、これからは 自分のキャリアの責任は自分にあります 。自分の人生は、会社も世間も、誰も心配してくれません。

とはいえ、「キャリアを自分で作る」と言うのは簡単だが、具体的に何をすればいいのか?については、迷うところです。
いきなり明日会社を辞めて旅に出ろとか、そういう極端な話を期待している人はいないでしょう。
実際、私は、一定の年齢を目安に「働くときの考え方」を変えていくと良いと思っています。

28歳までに「成果をあげる」ことを覚える

「結果を残すために全力を尽くしたという経験」をつむこと。
こうした経験がないと、30代以降、社外で通用しない。
結果を出すためにあらゆる手段をこころみる、努力する。28歳までに必要なのは仕事に対する姿勢を磨くこと。

34歳までに「人と仕事をする」ことを覚える

34までに「人とはどういう存在か。どのような価値観を持っているのか」そして「人の多様性」について学ぶこと。どうしたら人が動くか、自分がこの人と働きたいと思うか、それを知ること。
社内だけに閉じこもらず、業界の勉強会に行ったり他社の人と積極的に交流してみること。視野を広げ、自分にどのような活躍の場面があるか、判断材料を集めること。
28歳までに「成果をあげる」ことを覚えていれば、社外でも引っ張りだこのはず。

40歳までに「自分の活躍できる分野」を見極める

40歳までに、自分の活躍できる分野を見極めること。
それができなければ、人生の後半を無駄に過ごすことになる。得意で、楽に成果が出せることに注力すること。そして、その分野で第一人者を目指すこと。
40歳にもなって、社外に向けて「自分のやった仕事」を何も言えないようであれば、かなり焦ったほうが良い。

50歳までは思いっきり好きなことをする

40歳から50歳までの10年間。これが最も楽しい時間。
ここまで積み上げてきた専門分野、人脈などをフルに活用して、好きなことをすれば良い。
体力、気力、知力、経験ともに最も充実しているのが、40歳から50歳。

50歳以降は「学びなおし」がやってくる

50歳にもなると「新しいこと」に対する感受性が低くなってくる。だから、あえて学び直す必要がある。
学ぶことで人は穏やかに歳を重ねることができる。過去の成功や経験にとらわれて、若さにしがみつくこともなくなるだろう。50歳は新しいことを始めるのにすごく良い年齢だ。
働き始めて30年、人生100年時代では折り返し地点に過ぎない。引退までにさらにまた30年はある。もう一度何かできる。

自分で決めるしかない

所詮、自分の人生は自分で決めるしかありません。
「自己責任」という言葉を嫌う人がいますが、人生が自己責任なのは当たり前です。
そして、人生のほんの一部である、会社はあくまで手段であって目的ではない。

幸い、今の世代は、親世代に比べれば転職も珍しくないし、副業やオンラインで情報発信するなど選択肢は無数にあります。
逆に言えば、不満を抱え続けるか、新しい道を切り開くかは自分次第です。

もちろん、いきなり理想通りのキャリアを掴むのは難しいし不安もあるでしょう。
それでも変化の激しい時代においては、 変化に飛び込むこと が人生の充実度を大きく左右すると思います。
もし今の会社や仕事に希望が持てず「このまま一生続けるのは無理かも…」と感じるなら、一度きりの人生だし思い切ってレールから飛び降りるのも一つの選択肢です。

実際、私の周りでも、自分の道を決めて、進み始めた人たちは、最初こそ苦労しつつも生き生きしているのは間違いありません。
自分の人生は、会社も世間も、誰も心配してくれません。
「お前が選んで、お前が決めるんだよ。」
というシンプルなルールを、実践する以外に道はないのです 。

プロフィール

安達裕哉

1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。 品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。 大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。
現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」および生成AIコンサルティング会社「ワークワンダース」 の代表として、コンサルティング、webメディアの運営、記事執筆などを行う。

代表著書 『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること(日本実業出版社)』
『頭のいい人が話す前に考えていること(ダイヤモンド社)』 X(旧Twitter) 安達裕哉

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