チョコ高騰 菓子店どう工夫 街のパティシエに聞いた
物価高や材料費の高騰が叫ばれて久しいが、明日のバレンタインデーを控え、街の菓子店ではどのように対策を講じているのか。散田町にある「パティスリータツヤササキ」のオーナーでパティシエの佐々木達也さん(39)に話を聞いた。
同店はフランスで修行したオーナーが2011年に創業した菓子店。タルトや焼き菓子、ショコラなどを製造・販売している。佐々木さんによると、今年、チョコの仕入れ値がなんと昨年の約2倍に。せめて売値は「1・5〜1・7倍以内で収めたい」という思いと、製造スタッフの人数や労働時間の改善もかんがみ、「どうにか価格を抑えた商品を作れないか」と考えた。
そこで実行したのが、昨年までの「型抜きチョコ」(型にチョコを流し込み固める)をやめ、「割れチョコ」(平たく固め適度な大きさに割る)に。これにより、型容器の洗浄の手間や取り出したチョコへの細かな装飾技術が不要となり、品質や味はそのままに、売値を落ち着かせることに成功。また、一つの袋に従来より多く封入することで、個包装数を減らし、包装代や人件費を浮かせた分も、価格に反映させた。
「葛藤の連続」
街の菓子店として、この難局をいかに乗り越えるか「葛藤の連続」だという。「豪華で高級な型抜きチョコは百貨店に任せる。自分たちは街のパティスリー。顧客が求めるのは美味しさと手頃な買いやすさではないか」と持論を展開する。
試行錯誤の末に製造した割れチョコだが、「修行先のフランスでもよく売られていたので、あこがれもあった」と佐々木さん。材料費高騰に悩みながらも、少しでも顧客が求める美味しい商品を生み出していく。