老犬に多い『8つの病気』シニア期に気をつけたい症状や早期発見のポイントとは?
老犬に多い8つの病気
まずは、老犬に多く見られる病気を8つご紹介します。早期発見につなげるため、病気の症状をそれぞれチェックしてみてください。
1.認知症
犬の「認知症(認知機能不全症候群)」は、脳の神経細胞の減少や萎縮などにより起こる病気です。老犬に多く見られる脳の病気で、徘徊や夜鳴き、昼夜逆転といった症状が見られます。
残念ながら完治させる治療法はないため、飼い主にできることは早期発見と進行を遅らせるための適切なサポートです。
2.白内障
「白内障」もまた、老犬に多く見られる病気です。白内障になると目の水晶体が白く濁り、視力が低下します。
注意したいのが、糖尿病を患う犬も白内障を発症しやすく、遺伝的な要因により若い年齢の犬も発症する可能性がある点です。
これ以外にも、事故やケガなどによる外傷が原因で発症することもあり、症状が進行すると視力低下による行動に異変が見られます。
3.歯周病
シニア期を迎えた犬は、長年蓄積された歯石や歯垢による「歯周病」の発症に注意しなければなりません。口腔内の細菌感染により口臭や歯のぐらつきといった症状が見られ、重症になるとあごの骨が溶けることもあります。
若いうちからの予防はもちろん、老犬になったら毎日の口腔ケアを徹底しましょう。
4.糖尿病
加齢に伴い、犬も人間と同様に「糖尿病」のリスクが上がります。主な原因は、運動量の低下による肥満、ホルモンバランスの変化です。
多飲多尿といった症状が見られ、食欲はあるのになぜか痩せてしまう場合は注意しなければなりません。
5.腎臓病
「腎臓病(慢性腎臓病)」も、老犬がなりやすい病気のひとつです。加齢により腎臓機能が低下すると、多飲多尿などの症状が見られます。
腎臓病は完治が難しいため、早期発見と食事の見直しによるサポートが求められます。
6.心臓病
老犬に見られる「心臓病」は、加齢による弁の変性が主な原因です。弁がうまく閉じなくなる「僧帽弁閉鎖不全症」になると、心不全へと進行します。
また、小型犬は遺伝的に「僧帽弁閉鎖不全症」に、大型犬は「拡張型心筋症」になりやすい傾向があります。
7.変形性脊椎症
「変形性脊椎症」は、脊椎に異常が見られる病気です。加齢による変性が主な原因で、動作がぎこちなくなる、背中に痛みを感じやすいといった症状が見られます。
若いころからの激しい運動や肥満なども原因につながるため、適切な運動と体重管理を行いましょう。床に滑り止めマットを敷いて、ソファにスロープなどを設置して、日常的な負担を減らすことも大切です。
8.がん(腫瘍)
老犬になると、免疫機能の低下や蓄積された遺伝子の異常が元になり「がん(腫瘍)」になるリスクが高まります。早期発見が病気の進行に大きく左右するため、気にかける飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、しこりやできものといった目に見える症状以外は、なかなか気づきにくい病気でもあります。そのため、小さな病気のサインを見逃さないために飼い主ができることは何かを、見直す必要があるでしょう。
シニア期に気をつけたい症状や早期発見のポイント
シニア期を迎えた犬は、加齢に伴う様々な病気のリスクが高まります。愛犬の健康を守るためには、病気の早期発見が重要です。そこで、飼い主ができることを以下にまとめました。
1年に2回以上健康診断を行う
愛犬が7歳以上になったら、1年に2回以上を目安に健康診断を行いましょう。動物病院での定期検査により、目に見えない病気の発見に至ることがあります。
見た目は元気だとしても免疫力は低下しているため、ぜひ健康診断をルーティンのひとつに加えてみてください。また、年齢に見合う運動量や食事内容を相談することもおすすめします。
ボディチェックを欠かさない
毎日ボディチェックを重ねると、愛犬の異常にいち早く気づきやすくなります。ブラッシングやマッサージを行うついでに、被毛や皮膚の異常、しこり、腫れなどがないかチェックしましょう。
小さなサインを見逃さない
多飲多尿、体重の増減、食欲低下、動作の異変といった小さなサインからあらゆる病気の発見に至ることが多いです。「歩き方が変」「抱っこすると痛がる」といったちょっとした気づきが見られたら自己判断をせず、念の為に獣医師に相談する習慣をつけましょう。
観察・記録する
食事量、排泄状況、体重、口臭の変化、生活リズムの乱れなどを観察・記録しておくことが大切です。寝ている時の1分間の呼吸数をチェックしておくと、心臓病や肺水腫の可能性にいち早く気づけることもあります。
小さな異変をメモに残し、気になる場合は写真や動画に撮っておくと獣医師に説明する際に役立ちます。
まとめ
犬も人間と同様に、加齢により病気のリスクが上がります。飼い主による健康チェックが、重大な病気の早期発見に至ることも少なくはありません。
愛犬がシニア期を迎えたら、毎日の健康チェックをより重視していきましょう。今後迎える老後生活に向けて、食事や生活環境を変える機会もぜひ設けてみてください。
(獣医師監修:後藤マチ子)