ウイスキーづくり40余年、〝現代の名工〟(卓越した技能者)として表彰された、サントリーの輿石 太さんの〝官能力〟が世界的銘酒「山崎」を生んだ!
厚生労働省が令和7年度の「卓越した技能者」、いわば〝現代の名工〟として表彰したのは、22部門あり、電気メッキ、左官、木製家具など手作業による技能職の〝名工〟とともに選ばれた異色の名工と言えるのが、日本酒以外の酒類製造部門の輿石 太(こしいし ふとし)さん。輿石さんは、サントリー株式会社のスピリッツ・ワイン開発生産本部 ブレンダー室の主席ブレンダー。サントリーウイスキーといえば、「山崎」、「響」、「白州」など世界的に認められている主力の銘酒ブランドがあるが、ほぼ輿石さんのブレンド力によって生まれている。いわば鼻(香り)と舌(味)の〝官能〟の名工といえる。
1982年入社以来一貫してウイスキーづくりに従事してきた輿石さんは、ウイスキー製品の中味となる原酒の配合に関して優れた技能を有し、最近では山崎蒸溜所・白州蒸溜所の原酒を使用したプレミアムハイボール缶を開発するなど、新たな製品開発によるウイスキー市場の需要創造に貢献。また、次世代のウイスキーづくりに向けたブレンダーの育成や、各製造工場の現場社員に〝官能〟評価力を高めるための指導を担うなど、後進技能者の指導・育成に貢献している点などが評価された。昨年は「なにわの名工」を受賞。大阪府および島本町からの推薦で、今回「現代の名工」を受賞した。
輿石さんは、今回の受賞にあたって、「ウイスキーのブレンダーとして取り組んできたことが「現代の名工」と評価いただけたことは大変喜ばしく、光栄に思います。創業から100年以上紡がれてきたウイスキーづくりの技能や熱意を受け継ぎ、次世代へ繋いでいくとともに、これからも美味品質を追求し、皆様に喜んでいただけるウイスキーをつくるために日々精進して参ります」とのコメントを寄せている。
因みに、輿石さんはブレンダーとして数々の新製品を残してきたが、「山崎50年」「山崎55年」「白州18年」「白州25年」「響12年」「響40年」など現在まで語り継がれている銘酒を担当。なかでも「白州25年」は2022年に、世界的な酒類コンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC:International Spirits Challenge)」では、ジャパニーズウイスキー部門における最高賞「トロフィー」を受賞。さらに2023年には「山崎25年」、2024年には「山崎12年」、2025年には「山崎18年」がISCで全部門最高賞の「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞するなど、サントリーウイスキーの世界的な評価に貢献している。