【コラム】文月も終わり|益田浩(元新潟県副知事・前中国運輸局長)
前回:【コラム】梅雨の季節なのかな?|益田浩(元新潟県副知事・前中国運輸局長)
はじめに
日々、暑いですね。九州、近畿、中国の各地方は6月27日頃に梅雨明けしましたが、関東甲信や北陸の各地方では7月18日頃と、かなり間が空きました。不思議です。刺すような日差しが続くため、水不足が気になり、全国のダムの貯水量を調べてみたら、多寡はあるものの、平均的にはそこまで貯水率が低い状況ではありませんでした。
考えてみると、台風が来たり、線状降水帯の発生や記録的短時間大雨情報の発令が頻発したりと、雨が降るときは土砂降りなので、一定の降水量はあるのでしょう。ただ、これだけ日照が強いと、やはり農作物への悪影響は懸念されます。今年も美味しい新潟のお米や野菜、果物が食べられますように。個人的な話題で恐縮ですが、先月、府中市・大國魂神社でおみくじに再チャレンジの結果、大吉を引いたことを書きました。その続報となります。
実は、5月に闇落ちして、凶が当たったと恐れおののいた災いの原因が無事に解消されました。一気に気分が楽になりました。ありがたいことです。早速、大國魂神社にお礼参りに行っています。当分、おみくじは引きませんが。7月20日には恒例のすもも祭りにも足を運びましたので、今月は2回、大國魂神社に参拝しています。これからも定期的に参拝することにします。
大國魂神社のからす団扇とからす扇子
参議院選挙の結果に思う
7月21日に参議院選挙がありましたが、こちらは大荒れでした。与党が大敗し、衆議院、参議院とも過半数割れという状況です。振り返れば、平成10年代の小泉政権のあと、しばらく短命の政権が続き、政策が決まらない期間がありました。政治の決定プロセスが安定しないため、私も法案の提出時などは、誰に、どの順番で、どのように事前説明するのか、東奔西走していたことを思い出します。
ただ当時と比べれば、現在は、政党も分散し、各党のスタンスも自民党の左右に幅が広がっているため、野党も一枚岩にはなりにくいでしょうね。世界情勢が不安定な中で、国内政治がまとまらず、適切な対応ができない事態は避けてもらいたいです。評価はいろいろあるにせよ、私はトランプ関税の決着には安堵しました。
政策の不透明さが無くなることに加え、他の国・地域が15%を上回る関税率を課せられた場合、日本が相対的に有利になることもあり得ます。米の輸入拡大など機微な項目があるため、参議院選が終わるまでは公表できなかったのかなとも邪推しますが、もし、参議院選の前や期間中に決着していた場合、有権者の投票行動にどのような影響があったのだろうと気になるところです。なお、今回、関税交渉を担当した赤沢亮正経済再生担当大臣は、国土交通省(旧運輸省)の6期先輩、北海道庁交通企画課長の前々任です。
大阪・関西万博に行きました
今年4月中旬から半年の会期で、大阪・関西万博が開催しています。新潟県副知事を3年務めた後、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局に出向して、コロナ禍での東京オリパラ大会の開催準備に当たりましたが、パラリンピック大会まで無事に終了して、胸をなでおろしていたところ、同じ内閣官房にある国際博覧会推進本部事務局に異動になりました。東京オリパラ大会の次は大阪・関西万博の開催準備です。さすがに絶句しました。当時、万博会場の視察にも行きましたが、パビリオンはもちろん無く、大阪メトロ中央線の夢洲駅も建設中でしたので、完成予想図を片手に平らな会場予定地を歩いたことを思い出しました。
万博開催直前まで、パビリオンの建設遅れや前売り券販売の不振など、メディアでのネガティブ報道が続いており、決して前評判が良い状況ではなかったですが、開幕後は、連日、大賑わいであり、並ばない万博に反する長蛇の列が話題になるほどです。入場者数は順調に増えており、これまでの例に倣えば、会期末が近づくにつれて、さらに入場者が増えていく傾向にあるため、無事、収支ラインを超えるのではないかとの予測も出始めています。過去に万博の開催準備を担当した者としてほっとしています。今回、大阪メトロ中央線に乗り、夢洲駅を降りて、会場に向かい、巨大な大屋根リングや個性あふれるパビリオンを目の当たりにして感無量でした。
大阪・関西万博の大屋根リング
個性的なパビリオン
少し振り返ると、パビリオンの事前予約には苦戦しました。万博に行こうと思い立った時点で、既に予定日から2ヶ月を切っていたため、2ヶ月前の予約はできず、4日前の予約もなかなか予約サイトに繋がらず、かろうじて、飯田グループ・大阪公立大学共同出展館の予約のみ、確保できました。あとは会場で頑張ろうと気合を入れて訪れましたが、結果的には、当日に予約できたGUNDAM NEXT FUTURE館を含め、12のパビリオンを見学できました。十分に満足です。午前中は中東や中央アジアのパビリオンはほぼ並ばず入れましたし、予約が不要な共同館(コモンズ)では普段あまり触れることがない国・地域で新たな発見がありました。
大統領制で厳しい情報統制をしているトルクメニスタン館は、事前情報無く訪問したため、映像や展示にある意味、衝撃を受けました。ネタバレしないように内容は控えますが、このパビリオンが密かに人気があるのも頷けます。同国は資源国で日本との関係は良好ですが、日本近隣の独裁国家もこんな感じなのかなと想像しました。
GUNDAM NEXT FUTURE館
トルクメニスタン館
人気のアメリカ館は90分、中国館も60分並びましたが、並ぶ価値はあったと思います。アメリカ館はダイバーシティを高く評価し、展示後半では宇宙探査を紹介していました。世界の人々が憧れる古き良きアメリカがここにはありました。
中国館は国の威信をかけて、太古から現代に至る中国の偉大さを表現している感じでした。入場者に中国人が多いのも納得できます。カラヴァッジョの「キリストの埋葬」があるバチカン館やレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿があるイタリア館にも行きたかったのですが、3時間以上待ちと言われたので、泣く泣く断念しました。次回の宿題です。
アメリカ館
万博会場では、未来の食事やお国柄を反映したメニューが楽しめると評判ですが、食事エリアも大混雑で、予約も難しいため、今回は食の楽しみは諦め、持参した携帯食で済ませました。とはいえ、会場はとても広く、移動に時間がかかり、パビリオンも歩きながら見学するため、暑さも加わると、かなり疲れます。食事のために行列するのはともかく、事前に予約ができれば、ゆっくりと各国の料理等を楽しむのも良いでしょう。
今回は日帰りの行程で、20時前には会場を後にしたため、残念ながら、夜のドローンショーを見ることはできなかったのですが、総じて万博尽くしの一日を大いに堪能しました。実は、9月上旬に2回目の訪問を予定しており、次は大阪市内に1泊して、上記のバチカン館・イタリア館のほか、フランス館、JAXAの展示、ドローンショーなどを並んでも観たいと思います。次回はレストランの事前予約もできればいいな。
東京オリパラ大会と同じく、開催前には野党や一部のマスコミには叩かれた万博ですが、大阪・関西エリアの宿泊施設はフル稼働で、飲食店や物販店、鉄道等の交通機関の利用状況も好調です。インバウンドの来場者も多数目にしました。万博は半年間という期間があるので、関西地域に与える経済効果としては非常に高いと思います。残りの会期中もさらに賑わい、関西から全国へ好景気の波及効果が広がることを期待します。
新潟県でも、万博という貴重な機会を活用すべく、県の石であるヒスイを常設展示したり、食と暮らしの未来をテーマとした催事、伝統文化やものづくりを紹介する新潟県ブースの展示などを行ったりしたと聞いています。花角県知事も訪問されていますね。その他、日本工芸産地協会の枠組みで参加した玉川堂の大きな薬缶も話題になっていました。新潟の優れた産品が日本や世界各国・地域の多くの方の印象・記憶に残って欲しいと願っています。
益田浩(ますだひろし)|元新潟県副知事・前中国運輸局長
昭和61年3月私立修道高等学校卒業、平成3年3月東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種(法律)合格。平成3年4月運輸省採用。平成9年7月運輸省大臣官房人事課付(英国ケンブリッジ大学留学国際関係論)、平成27年7月自動車局自動車情報課長、28年6月大臣官房参事官(税制担当)などを経て、29年7月新潟県副知事。令和2年7月内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官、令和4年6月国土交通省中国運輸局長。現在は在京の大手私鉄会社顧問。
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