㹨川流域の鎌倉式横穴墓 県内の8割が栄区に 27日まで企画展示
栄図書館は(公財)横浜市ふるさと歴史財団埋蔵文化財センター(栄区野七里)と共催で、2月27日(木)まで企画展示「ヨコハマを掘る㹨川流域の横穴墓群」を開催している。神奈川県内には約50基の鎌倉式という構造の横穴墓があり、栄区内がその内の8割以上を占めている。同流域の横穴墓などについて埋蔵文化財センターの研究員に話を聞いた。
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横穴墓とは、主に古墳時代後期(7世紀頃)に作られた墓で、古墳のように土を盛って丘を作るのではなく、山の斜面に穴を掘って作られた墓を指す。最深部には2、3人が横たわれる広さの「玄室」という遺体を納める部屋が存在する。
一方、㹨川流域の鎌倉式横穴墓は玄室の奥に「棺室」という高さ1メートル、奥行き1・3メートルほどの小部屋が存在。県内で棺室を持つ墓のうち8割が区内で発見されており、栄区が以前鎌倉郡に属していたことから「鎌倉式」と名付けられている。調査員は「玄室と同じように人が埋葬される場所だった」と用途を話した。鍛冶ヶ谷市民の森にある宮ノ前横穴墓群をはじめとした横穴墓は調査の手がかりとなる人骨が発見されないことも多く、区内に鎌倉式の墓が多数ある理由など、詳細は解明されていない。
どのような人々が埋葬されていたかという点では「存在していたであろう集落の数と照らし合わせると全員が入れたわけでないため、一定の身分が必要だったと考察できる」と当時の状況から考えられる見解を示した。
なお、栄図書館では写真や解説付きのパネルで横穴墓について学ぶことができる。