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秋アニメ『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』坂本一也監督インタビュー|第1話の構成などはシリーズ通して全体の縮図のような話数になっている【連載04】

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

シリーズ累計187万部(漫画、電子含む)を突破するファンタジー小説『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』がTVアニメ化。2025年10月3日よりTOKYO MX・BS11・群馬テレビ・とちぎテレビ・MBS・CTV・AT-Xほかにて放送中です。

本作は、“武闘派公爵令嬢”スカーレットによる痛快ファンタジー。第3話では、乱暴なドノヴァンをスカーレットがぶっ飛ばし、ザザーランを黙らせました。アニメイトタイムズでは、本作の見どころをキャスト・スタッフに聞くインタビュー連載を実施! 連載第4回目は、坂本一也監督に、アニメ化するにあたりこだわったことや、アフレコの裏話などについてお聞きしました。

 

 

【写真】秋アニメ『さいひと』坂本一也監督に聞く制作裏話「第1話の構成などはシリーズ通して全体の縮図のような話数になっている」

コミカルなシーンではコントや新喜劇のテンポ感を参考にしています

──最初に原作を読んだときの感想を教えてください。

坂本一也監督(以下、坂本):原作は漫画を最初に読ませていただいたのですが、第1話の放送を観てくださった視聴者の方と同じ感想だったと思います。「え? 殴るの!?」って(笑)。
その序盤の「殴る」というインパクトが目立っていますが、原作小説もあわせて読み進めるとストーリー展開やキャラ作りがとても上手くて、どんどん引き込まれてしまいました。

登場人物たちもサブキャラや敵キャラに至るまで全員個性豊かすぎるのですが、その中でもメイン二人のスカーレットとジュリアスは特に、あのひねくれ感を魅力的に描いているのがすごいなぁと! ただ……この作品を映像化するのは作画ももちろん、スカーレットとジュリアスのキャラ性を表現する演出はかなり大変だと戦々恐々としたのも事実です(笑)。

 

 

──本作をアニメ化するにあたり、映像面でこだわったポイントを教えてください。

坂本:アニメ化に際してはコミカライズ版をベースにしているのですが、ほおのきソラ先生の超美麗な作画やコマの構図をなるべく再現するようにしています。なので、アクションもずっと動かすのではなく、キメの絵は止めなどを使って見せるようにしました。スカーレットの優雅なアクションはこのメリハリのある表現が、いちばん相性いいと感じています。

あとは全体的なテンポ感を大事にしましたね。アクションやコミカルなシーンも多いこの作品の性質上、じっくり見せるよりはテンポよく話を進行した方が作品的にあっているのだろうと。コミカルなシーンではコントや新喜劇のテンポ感を参考にしていたりします。シナリオからなのですが、観てくれた方がスカッと感じるアニメを目指しました。

 

 

──本作をアニメ化するにあたり、シナリオ構成の面でこだわったポイントを教えてください

坂本:どうしても原作が1クールに収まりきらないボリュームだったため、省いている箇所も多くあります。泣く泣く削ったサブキャラのシーンがあるのは心残りではあるのですが、その反面、話の軸をスカーレットに置いてテンポよく物語が進行できていると思います。

シリーズ構成の赤尾(でこ)さんはそれらをきちんと成立するためのチョイスがすごくうまくて、全体的な構成で私の方からお願いしたことはあまりなかったと記憶しています。第1話の構成などはシリーズ通して全体の縮図のような話数になっていると思います。

 

 

スカーレットが闘うシーンは一般的なカッコいい曲ではなく、交響曲のような曲に

──アフレコはいかがでしたか? メインキャラクターを演じるキャスト、スカーレットと対峙する貴族らを演じるキャストの方々のお芝居の印象やリクエストしたことなどがあれば、教えていただければと思います。

坂本:アフレコ現場がすごくいい雰囲気で、それはキャストさんもそうなのですが音響チームも同じくらいよかったと感じています。それがキャラクターの演技やディレクションなどにも反映できているかと思いますね。ディレクションの部分では特にスカーレットとジュリアスにかなり細かい指示を出させていただいたので、瀬戸(麻沙美)さんと加藤(渉)さんには本当に頭が上がりません……。

二人のキャラは振り幅のようなものがつかみづらく、具体的には言いづらいのですが、似たようなキャラだと通常ここまでする、という演技をすこーし押さえてもらうことが多くて、難しかったんじゃないかといまだに思っています。ただ、お二人ともすぐにキャラ性をつかまれており、現場では絶賛する場面が多かったですね。スカーレットに殴られる敵役はこれから登場するキャラも含めてですが、ほんとにすごい方に演じていただいているので、それぞれに個性のあるやられ方を楽しみにしておいてください!

 

 

──本作は音楽も印象的です。音楽の面でこだわったこと、椿山日南子さんにはどのようなリクエストをされたのかを教えてください。

坂本:貴族社会がベースにあったり、スカーレットは公爵令嬢だったりするので、全体的に優雅なイメージで作曲をしてもらいました。その中で戦闘シーンもあるので、繊細さと大胆さが絶妙に混ざり合って、しっかりと『さいひと』(『最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか』)の世界観を表現してくださったと思っています。

特にスカーレットが闘うシーンでは一般的なカッコいい曲ではなく、交響曲のような曲にしてもらっているのですが、すごくマッチしていますね。以降の話数で登場するキャラのイメージに沿ったBGMなど新しい楽曲もこれから出てきますので、ぜひ音楽にも注目して楽しんでください!

──悪逆な者たちをスカーレットが鉄拳制裁する様がスカッとする本作。監督は、どんな瞬間にスカッとしますか?

坂本:ストレス発散とかで定期的に大掃除と断捨離モードに入るのですが、それが終わった後です。普段できてないことを一気にやるので、どちらかというとスッキリというよりはスカッという感じですね(笑)。

 

 

──第4話以降に登場するキャラクターで監督が読者のみなさんにぜひ注目して欲しいキャラクターを教えてください。

坂本:中盤から新しい物語が始まるのですが、それに合わせて登場人物も一気に多くなります。個人的にはディアナという少女がイチオシで、前半部分にはあまりなかった雰囲気を作ってくれるので、また違った『さいひと』の魅力が生まれていると思います。ただ、ホントに敵役も含めて個性的なキャラが多くて、全員に注目していただきたいです!

──今後の見どころを教えてください!

坂本:スカーレットとジュリアスの拗らせカップル(?)のやり取りが色んな意味で面白いのですが、どんな関係になっていくのか注目してほしいです。ひとまずは宰相ゴドウィンがどのように殴られるか、乞うご期待ください!

 
[文 M.TOKU]

 

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