デンゼル・ワシントン、チャドウィック・ボーズマンとの最後を語る ─ 「彼はとても強い若者だった、誰にも病気のことを言わなかった」
出演最新作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』のために日本を訪れていたデンゼル・ワシントンは、都内でTHE RIVERの個別取材に応じた。ワシントンはこのインタビューの中で、かつて学費援助を行なった故チャドウィック・ボーズマンとの思い出を語っている。
これまでスーパーヒーロー映画への出演歴のないワシントンだが、マーベル映画出演への関心について訪ねていると、『ブラックパンサー』(2018)ライアン・クーグラー監督と話し合いをしていると認めた。もっとも、ワシントンは2018年のでも「ライアンと話をしている」と語っており、どれほど具体性のあるものであるかを推し量ることは難しい。
2020年に逝去したチャドウィック・ボーズマンについて「もしも彼が今も存命だったら、『ブラックパンサー』で共演したいですか?」と尋ねると、ワシントンは「もちろん!」と熱を込めて答えた。「彼がブラックパンサーなのであって、私がブラックパンサーになるわけではない。そんな脚本ではないことを願いますよ。オールド・パンサーみたいなね。もしかしたら彼の父親役をやれるかもしれないけれど、それはライアンに聞いてみてほしい。彼がどういう考えでいるのか、私は知りません」。
ワシントンといえば、まだボーズマンが貧乏学生だった頃、演技を学ぶための留学費をこっそりと援助していたという裏話がある。ボーズマンが『ブラックパンサー』のプレミアに招待して感謝を伝えると、ワシントンは「あぁ、だから私は今日呼ばれたのか!」と答えたというエピソードだ。
この件について、ワシントンは「大した援助をしたわけではないですよ」と説明する。友人の俳優であるフィリシア・ラシャドが若者たちの資金援助を行なっており、ワシントンも手伝うことになったそうだ。ただし、資金がどの学生に渡るかは認知していなかったという。「私が出したお金が彼に渡ることになったわけですが、私はそのことも知りませんでしたよ」。いくら出資したかも覚えていないそうだ。
大腸癌を患いながら、闘病の事実を隠して気丈に振る舞い、43歳にして亡くなったボーズマンについて、ワシントンは「大きな喪失です。すごく、すごく、良い男だった。そして、すごく強かった」と悔やみ、神妙な面持ちで彼との最後を振り返った。
「『マ・レイニーのブラックボトム』(2020)で一緒に仕事をしたのですが、その時、彼が病気だったとは全く知らなかった。ただ、何かがおかしいとは思いました。妙に痩せていたんです。
ある日、彼のトレイラーに行くと、彼が疲弊しきっていた。私は周囲を見渡して、観察しました。何かが変だと。トレーラーもとても暑かった。何が起こっているか知りませんでした。
病気のことを知ったのは、それよりも後のことです。しかし彼は決して、決してそのことを口にしなかった。彼は強い。とても強い若者だった。誰にも、何も言わず、ただ自分の仕事をこなした。そして、家に帰った……。」
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は2024年11月15日、日本公開。デンゼル・ワシントンへの単独インタビュー全文は近日掲載する。