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【社説】国政・地方選挙におけるSNSについて考える

にいがた経済新聞

国会議事堂

昨今の国政・地方選挙におけるSNS手法による影響力を見せ付けたのは、昨年7月の東京都知事選での石丸伸二氏、また出直し兵庫県知事選の斎藤元彦氏と言われている。ともに選挙期間中の「ライブ配信」によるそのインパクトの大きさを浮き彫りにした。平成25年5月からホームページ・ブログ・X・フェスブックなどのインターネットによる選挙運動が施行され、内容によっては一部制限があるものの、基本的に解禁となった。今や国政・地方選挙ではこの選挙手法が活発に実施されている。このため、今やSNS上の選挙戦を制したものが勝利を収めるとも言われ始めた。ここで少しその功罪についても少し分析したい。

この手法によるプラス面で言えば、何といってもより多くの有権者に情報をアピール出来るうえ、シェアされることで更に大きな波動を起こせることになる。そのため選挙に関心を持ってくれる有権者が時には爆発的に拡大されるケースもある。今まで余り選挙に興味を持っていなかった若者有権者、特に無党派層に大きな関心を呼び覚ますことにも繋がる。一方で、虚偽の情報拡散や故意による悪質な誹謗中傷などの表現の自由を濫用して選挙の公正を害する危険性もある。もちろんその場合は公職選挙法や刑法によって処罰されることもあり得る。このようにこの手法にはメリットとデメリットが交錯する現状にある。

それではなぜインターネットによる選挙運動が解禁になったのか。総務省のホームページによれば、インターネット等の普及に鑑み、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進などが当然のごとく挙げられている。公益財団法人明るい選挙推進協会の調査によれば、まさに日常の「政治や選挙に関する情報源」としてインターネット利用割合が大きく増加しており、特に18歳~49歳までの有権者の多くが新聞などよりはインターネットで情報を得ており、そのため陣営の政党や立候補者、支持者らがそのメリットを大いに生かす選挙運動を展開し始めている。

そのうえで当然ながら、選挙期間外の政治活動において、また選挙期間中においては、それぞれ出来る範囲、出来ない内容などをしっかり把握したうえで、SNSを生かした運動展開を行わなければならない。禁止行為を行えば処罰の対象になることは当然だ。昨今、石丸伸二氏や斎藤元彦氏らに対する「ライブ配信」を巡る告発などが学者などによって行われているようだが、司法が法に基づいてどういう判断するのかその対応を見守ってはいきたい。ただ、私がむしろここで述べたいのは、地方選挙などにおいても政党や候補者、支持者らも大いにSNSを活用すべきとの趣旨や願いからである。

特に地方選挙においても、SNSを駆使した運動を展開する地方議員が多くなったことを実感している。大いに大歓迎だ。と言うのも、選挙年齢が18歳に下げられたことから、SNSを活用した運動によって、ぜひ若者層に政治や選挙を身近に感じ、選挙に関心を持って貰いたいと思うからである。そうした若者達がゆくゆくは選挙を通し、その市や地域を担って戴く人材に育って欲しいと願うゆえでもある。そんな中、市議会議員の一部ではあるが、ユーチューブで見事に発信する議員も少しずつ増えている。そのうえで、これからは議員や選挙スタッフだけでなく、多くの支持者らもこの手法を大いに活用して貰いたい。

もちろん当然ながら、地方議員には選挙におけるインターネットによる発信を積極的にやるだけでなく、まずは市民や住民に寄り添った信頼される議員として、皆さんの声や要望をしっかりと掴み、市長はじめ市執行部に様々な政策要望を地道に重ね、市民の幸せの実現に努力することが最優先であることは言うまでもない。そうでなければ、こうした選挙手法が『勝ちさえすればいい!』という単なる人気取りの手助けになるだけだからである。とにかく、「信頼と実力、人間的魅力を備えた〃真の地方議員〃の登場」を若者も含め全ての有権者が求めていると信じたい。その上でSNS手法を磨き、精度を高めて欲しいものだ。

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