<夫と息子、捨てたい>何様?弁当箱を投げつけ「自分で拾えよ!」反抗期でも許せない【まんが】
私はメグミ。夫と高校生の息子エイタとの3人暮らしです。以前はパートで働いていましたが、現在は在宅でフリーランスの仕事をしています。ここ数年で収入は少しずつ上がり、仕事も軌道にのりはじめました。しかし家庭内の雰囲気は暗雲が立ち込めているのを私は感じていました。その原因は、高校1年生になる息子です。反抗期を迎えてから私を無視したり、注意すると物に当たったり……。最近はおさまるどころか、ますますエスカレートしているように思います。
大きな物音を立てて乱暴に帰ってくる息子。「お弁当箱出しておいてね?」と声をかけると、これみよがしにお弁当箱を乱暴に床に投げつけました。しかも「自分で拾えよ」と吐き捨てます。毎日作ってもらっている身でありながら、わざと投げつけるなんて……。
「メグミの仕事は小遣い稼ぎなんだしさ」夫にあっさりそう言われて呆然とします。フリーランスになってからは懸命に技術を高め、誇りを持って仕事をしてきました。確かに夫よりずっと収入は少ないけれど、生活費だってちゃんと分担しているのに……。
今までずっと家族のために生きてきました。それは自ら進んでしてきたことなので、誰も責めるつもりはありません。でも夫や息子が今まで生活してこられたのは、私が家のことを全部やってきたからです。感謝してほしいとは言いません。けれどわざとお弁当箱を投げつけて拾わせる息子や、それを笑って済ませる夫にはさすがに心が折れてしまいました。 これまで「母親として家庭を守りたい」という気持ちでやってきましたが、今となっては守ろうとしてきた家族によって壊されていく気配をひしひしと感じています。
「伝わらないって疲れる」暴言を吐く息子に追い詰められ⇒家出
夫の価値観が息子のひどい態度を増幅させてきたのかもしれません。優しい気持ちを持つようにと育ててきたつもりだったけれど……。私は部屋の外から思いを込めて話しかけました。けれど息子からはドアの内側から物を投げつけられ、激しい言葉で罵倒されました。
心が疲れてしまった私は、そのまま自分の部屋に行って身の回りのものや仕事道具をまとめました。そして身を休めるためビジネスホテルに向かったのです。私がいなくなったと気付いた息子からは怒涛のようなメッセージが届きました。
暴言を吐く反抗期の息子、そして育児も家事も任せきりにしながら私をバカにする夫。なにもかもがイヤになりました。この生活に希望が見いだせなくなった私は、家出をするしかなかったのです。ずっと家族優先で生きてきた私にとって、1人になることでしか、今は自分を守れないと思ったから。 こんなふうに自分のために家族を放置する私は、ひどい母親なのでしょうか。正解がわからないから、心の中で繰り返し自分に問いつづけたのでした。
両親からの「絶縁宣言」自分の心を守る行動をしたらダメなの?
仕事は頑張れば頑張っただけ成果になります。近頃はインターネット販売のほか、ショップなど取引先から注文を請ける機会も増えてきて、事業としてやっていけそうな目処も立ちました。私の仕事を小遣い稼ぎとバカにしている夫の言葉は、なにも心に響きません。
どこまでも上から目線の夫と、全く反省している様子のない息子……。メッセージや電話を受けるたび「二度と家に帰りたくない」という思いが強くなり、私の離婚への決意は固まりました。ところが今度は実家の両親から連絡がきます。
私が自分を守るために選んだ行動は、人の道に外れたことなのでしょうか。父からものすごい剣幕で怒られ、母でさえ味方をしてくれない事態に、はたして自分の決断が正解だったのかわからなくなっていきました。 「母親が未成年の子どもを放っておくなんて」と非難されるだけで、誰も私の気持ちを分かってくれません。家族という言葉を盾にする夫や息子に対して愛情なんて残っていないのに、自分の考えが間違いだと思わなければいけないのでしょうか。
【息子の気持ち】俺が傷つけた?家を出たきり戻ってこない母さん
俺は高校1年生のエイタ。父さんが外で働き、母さんが家事をするのはあたりまえという環境で育ちました。でも最近母さんは在宅仕事を言い訳に、俺に「弁当箱を自分で出せ」だの「食べたお皿をちゃんと下げろ」だの言いはじめたのです。俺だって部活や勉強など、高校生としてやるべきことがたくさんあります。子どもの世話をするのは母さんの仕事なのに、それをやらせるなんてありえません。しかし俺がそう主張すると、母さんはいきなり出ていってしまったのです。
「ああもう、メグミのせいで予定がめちゃくちゃだ!」父さんはそう叫んで出社していきました。放ったらかされた俺は呆然とします。「……米もパンもなにもないじゃん……弁当は?」そして3日も経つと家のなかはぐちゃぐちゃに荒れ、俺と父さんのあいだでケンカになることが増えました。
母さんが帰ってくる気配は全くありません。せいぜい小遣い程度で、たいしたお金は稼いでいないと思っていたのに……。するとしばらくして、家に母さんの姉であるおばさんがやってきました。「ちょっとお母さんの荷物、持っていくね」
おばさんは「母さんは苦しんで、思いつめたあげくに出ていった」のだと言いました。それで俺は今までの自分の態度が母さんを傷つけていたのかもしれないと、ようやく気づいたのです。 でも子どもが親に反抗するなんて、よくあること。親がウザいのは誰だって同じだろうと思います。 父さんは母さんの仕事のことをただの小遣い稼ぎだって言っていました。だから「家のなかのことや家族の世話はぜんぶ母親がするべき」っていう俺と父さんの考えは絶対に間違っていないはずなんです。
【私の気持ち】夫の言葉にハッ……!根本的な原因は「ずっと前」からだった!
実家の両親から、息子を捨てるなら絶縁だと言われ、悩んでしまった私。自分の行動は間違っているのかもしれないと思い、姉に相談してみました。
姉は息子の反抗期を乗り越えてきた子育ての先輩でもあります。その姉の目から見ても、息子の態度は許しがたいレベルのものと感じたようです。「エイタくんももう高校生だしね。いつでも頼って」そう励まして味方になってくれました。
「いい加減に帰ってこい」夫に叱責され、私は自分の気持ちを伝えました。「少しは私が家のために何をしていたのか考えてほしい。家族として尊重されている気がしないの」そして私は自分のなかにあった本心に気づくことになるのです。
夫の言葉に私はハッとしました。反抗する息子の態度がイヤだったのは、夫の態度に似てきていたから……。 私たち家族の問題は、息子が反抗期になるずっと前から起こっていたこと。なのに私はずっと気づかないふりをしていたのです。私が我慢できなくなれば、家族の形が保てなくなることを心のなかではわかっていたのでしょう。 私が招いたこの現状を変えよう。誰に反対されてもそうするしかないと、ようやくわかった気がします。もう遅すぎるかもしれないけれど……私は心を決めました。
「謝ってよ」「メシ作れ」変わらない言葉と態度に……サヨナラ
夫や息子が家を出る前とまったく変わっていないことを目の当たりにして、私はあきらめの境地でした。チャンスは今まで何度もあったのに、勇気を出せなかった私が悪いんだろうと思います。悲しいけれど……私の結論はもう出ていました。
家を出る選択をして、心がずっと楽になったのも事実です。息子はもう高校生ですし、私がいなくても夫のもとで生きていけるでしょう。私は母親というステージを降りて、息子にとってよくない環境を取り払うことにしたのです。
私はひとり暮らしの家を借り、やがて夫とは離婚に至りました。縁を切ると言われた実家には、離婚の報告だけしてそのままです。 子どものためひたすら頑張ってきた母親業でしたが、私は頑張りすぎたのかもしれません。そして、母親として変えるべきだった環境を変えることができなかったのです。今までチャンスはきっと何度もあったのに……。勇気を出せなかった私が悪いんだと心から思います。 いまは変えられない過去より変えることのできる未来のために、息子を遠くから見守ろうと思いました。