『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』おもちゃ開発の裏側!「ワイルドゴジュウウルフ」誕生秘話。ロボとなりきりを合わせた「DXテガソード」の挑戦〜バンダイおもちゃ担当×東映・松浦大悟さんスペシャル対談〜
スーパー戦隊50周年記念作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』が、毎週日曜午前9時30分より、テレビ朝日系にて好評放送中です!
巨神テガソードと、全て集めると願いが叶う指輪・センタイリングを巡って、ゴジュウジャーが悪の組織・ブライダンのノーワン怪人たちと様々な「ナンバーワン対決」が繰り広げられます。歴代スーパー戦隊の力を持ったユニバース戦士たちが登場するという驚きの展開にも注目です。
この夏、新アイテムで主人公・遠野吠こと「ゴジュウウルフ」が「ワイルドゴジュウウルフ」にパワーアップ! はぐれ者たちの指輪争奪戦は新たな展開を迎えます。
また、2025年7月25日(金)より、映画『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード』が大ヒット上映中(映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』と同時上映)。劇場でもゴジュウジャーの活躍を楽しむことができます。
アニメイトタイムズでは、ゴジュウジャーおもちゃ担当者の株式会社バンダイトイ事業部・木村覚志さんと番組チーフプロデューサーを務める東映・松浦大悟さんのスペシャル対談を実施! この夏に登場する新アイテムやおもちゃ開発秘話、今後の『ゴジュウジャー』の展開について伺いました。
【写真】『ゴジュウジャー』おもちゃ開発の裏側!バンダイおもちゃ企画担当×松浦大悟スペシャル対談
販売好調のセンタイリング。さらなるバリエーション展開へ
ーー木村さんにご出演いただくのは初めてになりますので、簡単な自己紹介をお願いします。
株式会社バンダイ トイ事業部 木村覚志さん(以下、木村):バンダイのトイ事業部で「スーパー戦隊」を担当している木村です。おもちゃのラインナップをどのようなものにするか、どんなデザインにしていくか、どういう形でお客様にお届けするか、どういう風に番組で扱っていただくかなど、松浦さんと相談しながら決めるお仕事をしています。
「スーパー戦隊」の担当としては、『機界戦隊ゼンカイジャー』の途中から入り、『王様戦隊キングオージャー』で番組メイン担当プロデューサーとして独り立ちさせていただきました。現在は、放送中の『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』を担当しています。それ以前は、コレクターズ事業部で「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「メタルヒーロー」「プリキュア」「セーラームーン」など、幅広くキャラクターの企画担当していました。アニメイトさんのお世話になったことも多々あります。
ーーその節はありがとうございました。ちなみに、一番好きな戦隊ロボは何ですか?
木村:好きな戦隊ロボは『忍者戦隊カクレンジャー』の「無敵将軍」です。世界で一番カッコいいと思っています!
東映・松浦大悟さん(以下、松浦):自分は前回のインタビューで「ガオキング」の名前を挙げたので、二番目に好きなロボを言いたいと思います。『未来戦隊タイムレンジャー』の「タイムロボシャドウα」です。「タイムシャドウ」が分離せずに合体する気概がいいですよね!
ーー『ゴジュウジャー』の放送が始まって約半年、おもちゃの反響はいかがでしょう?
木村:おかげさまで 非常に好調な売れ行きです!
今年は、なりきりとロボットを一つのアイテムにするという初の試みをしています。それによって売上が上がっているのは非常に嬉しいですね。
松浦:「センタイリング」は特に好調と聞いています。イケイケドンドンとのことでなにより(笑)いつも応援してくださってる皆様、改めてありがとうございます!
木村:ガシャポンや食玩の「センタイリング」も好評なんです。立ち上げのタイミングから50種類考えた甲斐がありました……(笑)。
松浦:クイズリング(回転する前に、どの戦隊か予想してもらう仕様)にして良かったですね。デザインを手掛ける株式会社プレックスさんのアイデアが光るデザインが多いです。「今回は50種類あります!」と言われたんですけど、僕は去年『仮面ライダーガッチャード』の「ライドケミーカード」で100種類のデザインを見ていたので、「50種類でいいんですか?」と言ったら、逆にプレックスさん側が驚いていました(笑)。
木村:今は早々に50種類作って「よし終わり」と思ったところで、多方面から要望が多く、どんどんバリエーションが増えている状況です(笑)。
松浦:スーパー戦隊ファンの皆さんは、ぜひSNSなどで自分の好きな「センタイリング」の話をしていただきたいですね。
ーー「ゴジュウポーラー」の登場で「ポーラーリング」、8月には「DXセンタイリング パワーアップランダムブースター」で「ブーステッドver.」も発売されます。
松浦:ポーラーリングについては、ドラマの流れで東映から「番組演出上、新しい指輪を出したいです」とバンダイさんに相談させていただいた結果なんです。当初の商品化予定にはありませんでした。
少し時間が経って、バンダイさんから「ポーラーリングなんですけど、商品化させていただいてもいいですか?」と言われて商品化することになりました。
ーー「ポーラーリング」はデザイン自体も変わっていますよね。
松浦:「せっかく別商品で出すなら、別のデザインにした方がいい」と思って、またプレックスさんに苦労をおかけしてしまい……。
木村:「センタイリング」との終わらない戦いをずっと続けています(笑)。
松浦:(笑)。それは「ゴチゾウ」さんも一緒でしょうね。
普段はバンダイさんから「こういう商品を出したい」という提案を受けて、東映側が「どういう演出にしましょうか」と考える流れが多いんです。そういう意味でも「ポーラーリング」は、特殊な誕生経緯だと思います。
木村:そうですね。「センタイリング」が販売計画をはるかに上回る勢いだからこそ、「ポーラーリング」や「パワーアップランダムブースター」も発売することになりました。
全国のお父さんお母さんに「手」モチーフのロボを売り出す!?
ーー重要アイテムである「テガソード」のモチーフを「手」にした経緯についても伺いたいです。
松浦:そういえば、なんで「手」だったんですか?
木村:デザイン:企画を協力いただいている弊社グループ会社のプレックスのデザイナーに強いこだわりがあったからですかねぇ。リングは割と早い段階で決まっていて、「何にリングをセットする?」という話をしていると、「手ですね」って。いきなり「手」のデザイン画という名の試作品を持ってきたんです。
ーーその段階で試作品を!?
松浦:最近プレックスさんはずるいんですよ。絵を描く前に、試作品を持ってきて、「おもちゃとして形にできるでしょ?」というところから話を始めるんです。
木村:正直に言えば、「本当に手でいいのか?」と3週間くらい考えていました。
松浦:バンダイさんでよくある「一回寝かせてみよう」ですね。ただ、寝かしても、だいたいは最初の突飛なアイデアのまま進む印象があります(笑)。
木村:一度冷静になって、「ノリと勢いだけではないか」を判断したいんです。ただ、プレックスの「リングをはめるのは銃でも剣でもなく、“手”である」という思いは固かった。
ーーそう言われると、「もっともだな」と思ってしまいます。
木村:理屈も意味も分かるし、直感的に「手」でいいのは分かりますけど……しっかり武器の魅力や、プレイバリューを付加した商品にしたいという思いがあり。そこで「剣をつけよう」という話になりました。
松浦:「テガソード」って名前を思いついた人には金一封を差し上げたいですね。あのネーミングによって、説得力がかなり増した気がします。
木村:10人くらいのチームで色々なアイデアを出し合っていました。「ハンドキング」とかもありましたね。アイテム名称アイディア会議で、若手が「テガソードってどうですか?」と言い出し、即採用になりました。大変分かりやすいネーミングになったと思います。
ロボットとパイロットを“一対一”で見せたかった
ーーその後、ライバルロボットとして、「DXテガジューン」も発売されました。
松浦:「グーデバーン」と合わせて、「グー・チョキ・パーなのでは?」という考察も見かけるんですけど、どちらかと言えば、「テガソード」の「剣」に対して、「テガジューン」は「銃」という考え方でした。
そもそも我々側から、「指輪の物語なのだから、ロボット同士が結婚します」という訳の分からないことを言い出したので(笑)。「ライバルロボはウェディングドレスっぽい白のカラーリングにしたい」と。そして、元々プレミアムバンダイで販売する予定だったところ、いつの間にか一般販売に……。
木村:「DXテガソード」の売り上げが非常に良く、営業チームから熱望されて一般販売になったんですよ。自分も「“白”で“女性ロボ”だよ?」とは言ったのですが……。
松浦:いわゆる男の子向けのおもちゃ業界のセオリーから外れるアイテムでした。ただ、結果的には「DXテガジューン」も好調みたいで……本当に有難い話です。元々の出発点はライバル戦士のアイテムという側面で考えていたんですよね?
木村:そうですね。基本的には「リングハンター・ガリュード」が使う武器として考えつつ、「テガジューン」をボスにするという話が同時に進んでいました。男の子向けのおもちゃとして、かっこいいライバルキャラが持っている銃はウケそうだなと。
木村:加えて、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の「ドンムラサメ」みたいなキャラクターを作りたいという気持ちがあったんです。『ゼンカイジャー』の「ステイシーザー」から続くライバルキャラの流れですね。
松浦:僕の中でも「ステイシーザー」のイメージは持っていました。登場話数も近いんですよ。
最初は鮫などの悪い動物モチーフを考えていたんですけど、どうしてもヒーローに見えてしまうので、動物を狩る人間、少しアーティフィシャルな感じになっています。名前は狩人から取って、「ガリュード」ですね。そう言えば、頭のあの銃はいつ使うんだろう……?
木村:あれは使えるんですか?
松浦:『チェンソーマン』に「銃の悪魔」という敵が出てくるんですよ。「あのイメージかな?」と思っていたら、TVのコンプラ的に画面の真正面に銃を向けてはいけないらしく……横に付いているデザインになりました。最初は「ちょんまげみたいな銃で“ドン!”みたいなことをやりましょう」って言っていたんですけどね。ただ、そこ以外は最初の段階から、大きくデザインは変わっていないです。
木村:そうですね。モチーフが決まるまでは「メカオオカミ」とか、けっこう迷走していましたけど、「狩人」に決まったらほぼ一発でした。
松浦:実は第16話くらいまでの台本を作っている時、まだ「DXテガジューン」はプレバン(プレミアムバンダイ)で販売すると思っていたんです。撮影を進める中で、「一般発売になりました」と言われて、「え、結婚式とかしちゃってるけど、大丈夫ですか!?」って(笑)。
ーー(笑)。「DXダークウルフデカリバー50」もプレミアムバンダイで販売されましたね。
木村:「DXテガジューン」が非常に好評で一般発売になったので、さらに魅力的にできないかと「黒い剣はどうでしょうか?」と提案しました。
松浦:そうですね、提案いただきました(笑)。
ーー今年は「DXウルフデカリバー50」や「DXレオンバスター50」など、個人武器もロボと合体できる仕組みになっています。
木村:マーケティングの話になりますが、なりきりとロボを一緒にした時点で、「その前提は絶対に崩しちゃダメだな」と考えていました。まずは「DXテガソード」を買ってもらう。そのうえで、次に遊ぶものが分裂すると意味がないので、「一本道で行きたい」という思いがありました。プレックスさんには「個人武器も合体してロボになる」というデザインをまとめていただくようにお願いしたんです。パーツは青色なら青色、黄色なら黄色。テガソードイエローやテガソードグリーンについても、合体するとシルエットが変わります。
松浦:白倉(白倉伸一郎)が商談会で5体並んでる姿を見て、「思った以上によくできてる!」と言っていました(笑)。あれは最大級の褒め言葉じゃないでしょうか。
今年はロボットとパイロットを“一対一”で見せたかったんですよ。『ゲッターロボ』で言うと、「ゲッター2」のメインパイロットは神隼人、「ゲッター3」のメインパイロットは巴武蔵。その方が分かりやすいと思ったので、「とにかくシルエットを変えて、違うロボにしてほしい」という話はしていました。
木村:やっぱり三体目辺りからは悩みましたね。
松浦:例えば、テガソードグリーンは「足技が得意」みたいな設定でした。最初に撮ってもらった初登場回(第5話「取り戻せ魂(ソウル)!スミにおけないお節介」)で回し蹴りをしているのは、そういう経緯があります。
ーー第10話「イケイケドンドン! 昭和が来た!」で5体が並び立つ姿は圧巻でした。
松浦:5体並ぶとテンション上がりますよね。でも、あれは「昭和パワー」が無いと発動できないですから。普段はちょっと「忍タリティ」が足りていないらしいです(笑)。
海の狼=シャチ。「ワイルドゴジュウウルフ」「テガソードアカツキ」ができるまで
ーー強化フォーム「ワイルドゴジュウウルフ」のデザインや「DXオルカブースター5050」の開発についても伺いたいです。
松浦:これもほぼ一発OKだったデザインですね。「オルカブースター5050」は通称「シャチ銃」です。「テガソードアカツキ」も無茶苦茶カッコいい。最高です。
最初に僕が「狼だから、満月を見て、フルムーンゴジュウウルフ(仮称)にパワーアップしたいです!」という妄想を口にしていて。それは歴史の彼方に葬られたんですが……(笑)。胸の真ん中が月っぽい金色になっているという名残があります。ロボットの雰囲気を分かりやすく変えたかったので、これまでのテガソード5体とは違い、月を背負っているような形になりました。
木村:スーパー戦隊ですし、満月斬りを地でいくような感じですね。
松浦:和風な雰囲気が出せれば、画替わりにもなるかなと。何度見ても「テガソードアカツキ」と「ワイルドゴジュウウルフ」は素晴らしいデザインだと思います。「DXオルカブースター5050」の苦労話ってありますか?
木村:ロボを何モチーフにするかまでは苦労していましたね。和風ときまってからは、火縄銃(短筒)をデザインに落とし込だり、すんなり進みました。あ、「剣をどうやって収納するか」については、会議でたくさん話し合いましたね。結果的に剣の柄が収納されて、銃口になるという形を取っています。
モチーフに関しては、『ゴジュウジャー』に登場する動物は“最強生物”で統一するというコンセプトがあるので、海の最強生物であるシャチをここで使いたいという話になりました。
松浦:シャチは「海の狼」と呼ばれているそうですからね。火縄銃モチーフの木目調っぽいデザインが入っているのも気に入っています。加えて、「ワイルドゴジュウウルフ」の「センタイリング」には、他のリングとは違ったギミックも搭載されているんです。
ーーと言いますと?
松浦:プレックスのデザイナーさんが、パワーアップのデザインを作る際、1,2話とかの映像を観てくださって。遠野吠(ゴジュウウルフ)の「お前は俺の獲物だ」のポーズを、番組から逆輸入してくれてたんです。『名探偵コナン』の「腕時計型麻酔銃」みたいなイメージで、「ターゲットサイトを指輪に入れるのはどうですか?」と。あれは嬉しかったなあ。デザイナーさんが番組と親和性のあるギミックを提案してくれたのは、リアルタイム感がありました。
木村:ターゲットサイトと、展開ギミック、発光ギミックが入っているので、価格を1500円に収めるのは大変でした(苦笑)。
松浦:そう言えば、「“光るおもちゃ”の面白さって何だろう?」という話もしましたね。「アルティメットルミナス」やガシャポンとか、色々な例を出し合いました。
赤いテガソード、銀のテガソード
ーー赤いテガソード「テガソードオリジン」はどのような経緯で登場することになったのでしょうか?
木村:バンダイの方で、スペシャルPV「スーパー戦隊・ユニバース大戦 ~ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー Episode 0~」を制作させていただいたんですけど、後半の商品展開として、そこに登場している「テガソード」の最強形態を考えていました。イメージとしては、『百獣戦隊ガオレンジャー』の「ガオゴッド」ですね。「ワイルドゴジュウウルフ」とその後の展開を考えてるうちに、違う方向に進んでいき、夏映画(映画『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード』)に登場することになったんです。
「DXテガソードオリジン」はプレバン販売になるので、夏映画を観たお子さんが「あれ欲しい」と思った時に手に入るものがないなと。そこで、アクションヒーローの「テガソードオリジン」が一般発売になりました。
松浦:少し脱線しますが、今回の夏映画は『劇場版 百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』を参考にしている部分があります。スーパー戦隊の夏映画って異世界で姫を救う展開が多いんですね。姫を救う代わりに「テガソード」を救う。つまり、「テガソード」はあの映画では姫ポジなんです(笑)。
ーーユニバース戦士が使用する銀のテガソード「DXテガソード UNI.ver.」も発売されましたね。
松浦:最初は「手で勝負できるか不安」と言っていたのに、何個「手」を出すんですか?(笑)
木村:最初はこれもコアファン向けのプレミアムバンダイ商品とて検討していたはずなのに……(笑)。ただ、想定以上にユニバース戦士の人気が高く、日非常に魅力的に描れている中で、営業チームより「ぜひ、一般販売したいです!」と鼻息荒く言われたんですよ。
松浦:そもそも銀のテガソードは当初は商品化の予定は全くなかったんです。2ヶ月後くらいに一般販売になっていました。
ーーそれぞれのロボのクリアパーツも美しいです。
松浦:「グーデバーン」もクリアパーツが非常に多いですが、実物はすごく良いですね。
木村:アイスロックの表現として、しっかりクリアにしたかったんです。
松浦:クリアパーツがあると無条件にテンション上がりますよ。テガソードの羽根のクリアパーツも素晴らしい。どの形態になっても、必ず目立っていますね。最近は原材料費高騰も大変そうですが...バンダイさんが日々戦ってくれています。
木村:そうですね。「DXテガソード」の価格を6500円(税抜)に収めるのは大変でした。
ーー「DXテガソード」は、金の成形色にもこだわりを感じます。
木村:通常はPC(ポリカーボネート)という硬い材質で金色を再現するのですが、今回はABSという整形材料で金色を実現しないとコストの範囲内に収まりませんでした。何度もトライを重ねて、現在の色味を実現しています。
松浦:『ゴジュウジャー』のデザイン会議は、バンダイさんと東映の番組の企画チームでやっているんですけど、我々が無茶やらないように、お目付役として、バンダイさんの開発部の方も同席されていて。でも何故かそのお目付役さんが、自分の首を絞めるような良いアイデアを沢山出してくださったのが嬉しかったし、面白かったですね(笑)。「良いと思いますけど、それ後で辛いの開発ですよね……?」っていう(笑)。
木村:「こっちの方が楽しいですよね!」みたいな感じで。
松浦:一緒に暴走していましたね。そしてある日、その開発さんが「見てください!この金色!!」と言いながら、「DXテガソード」の実物を持ってきたんですよ。いい年した男の人たちが泣くほど喜んでいて、良いチームだなぁ、と思いました。
ーー「アクションヒーロー」シリーズについても、お聞かせください。「ワイルドゴジュウウルフ」が発売になり、8月には「ゴジュウイーグル」「ゴジュウユニコーン」も登場。充実のラインナップになっていますね。
木村:アクションフィギュアもかなり頑張っています! 塗装の省略はあるものの、腕を上げた時に見える部分も塗装するなど、こだわって作っているんです。私は昔大人向けのフィギュアの担当もさせていただいていたので、力が入ってしまいますね。
松浦:全員分のアクションフィギュアが出るには、やっぱり担当者の熱量が必要だと思います。
ーーユニバース戦士たちと合わせて、プレイバリューが非常に高いです。
松浦:フィギュアの関係もあって、実はファイヤキャンドルさんが「シンケンレッド」にエンゲージするのは先に決めていました。男の「シンケンレッド」を出さないと、フィギュアと齟齬が生まれてしまうからです。でも、単純なユニバース戦士のシステムにマンネリを感じていたこともあり、「今回は敵にやらせてみよう」という考えに至りました。
逆に「レッドレーサー」はフィギュアが出ないというのを聞いていたからこそ、女の子にしてみました。そういうとこ、意外と真面目なんです(笑)。『シンケンジャー』関係だと、「DXROBO UNIVERSE シンケンオー」も良い出来でしたね。
木村:"折神"、"エンブレムモード"にもできますし、「シンケンオー」は好評ですね。「アクションヒーロー」と共に「DXROBO UNIVERSE」シリーズもお手にとっていただけると嬉しいです。
今後の『ゴジュウジャー』もビックリすることが起こる
ーー今後の『ゴジュウジャー』商品展開、TVシリーズの注目ポイントを教えてください。
木村:夏は「ワイルドゴジュウウルフ」関連の商品で楽しんでいただきたいですし、秋にも様々な商品を準備しています。プレバン含め、『ゴジュウジャー』はまだまだ商品展開があります。詳しくは言えませんが……ブライダンファンの皆さんにもぜひ期待していただきたいです!
松浦:番組でも色々ビックリすることが起きると思います。
木村:台本を読みながら、毎回ビックリしていました。
松浦:今後は、これまで散りばめた要素を拾っていくターンになります。
与えられたアイテムお題をこなしながら、これまでばらまいた風呂敷を自分たちで畳んでいく……と思いきや、また広げちゃう。一生終わらない袋小路に陥って、畳んでは広げを繰り返しています(笑)。ただ、自分で観ていても「なかなか面白いのでは?」と思うところではあるので、ご期待いただけますと幸いです。『仮面ライダーゼッツ』に負けないように……じゃなかった、一緒に頑張ります!(笑)。
ーー最後に 、『ゴジュウジャー』の番組制作やおもちゃ開発に携わって良かったことを教えてください。
松浦:この番組から、「なりきりとロボットを一体化する」というチャレンジができたことでしょうか。
結果的に従来の合体ロボではなくなってしまったので、マイナスな意見もあるとは思います。そもそも前提として、今後もこの方式がマストではないし、合体ロボならではの良さもあるのは、ロボ好きの私も重々分かってるつもりです。そのうえで新しい可能性に踏み出せた。バンダイさんと一緒に進んでいけたことで、結果的に明るい未来が開けた気はしています。
木村:そうですね。『ゴジュウジャー』『スーパー戦隊シリーズ』50周年の節目に携わらせていただく中で、どんな番組とおもちゃを作っていくか。「全スーパー戦隊のファンが振り向いてくれるおもちゃを作らねば!」と常に考えています。
なりきりとロボを合わせたときに「どんな反応が返ってくるかな」と思っていたんですけど、皆さんに盛り上がっていただけたのはありがたいです。友達の子供が拍手して変身ポーズを真似してくれる様子を見ると「やってよかったな」と思います。大人の方にも「センタイリング」を買っていただいたり、DXロボを揃えていただいたり、楽しんでいただけているのはありがたいですし、おもちゃ屋冥利に尽きます!
[インタビュー/田畑勇樹 撮影・編集/小川いなり]