武蔵小杉支援団体 不登校の子ら企業と交流 社会とのつながり創出
「学校に行けない」「集団になじめない」などの理由で不登校になった子どもたちが企業と交流する初の試みが、3月28日に富士通(株)(上小田中)で行われた。主催した地域の支援団体は「課題を抱えた子どもたちが社会とつながる機会にできれば」と思いを込める。
参加したのは小学2年から大学生までの10人。子どもたちは富士通について説明を受けた後、12階の見晴らしのよいカフェテリアで休憩し、社員による「自分らしさとの向き合い方」をテーマにした講話を聞いた。最後は、3つのグループに分かれて15分単位で3人の社員と対話会を実施。名刺交換や自己紹介をしてから、用意されたカードを引き、そこに書かれた「行ってみたいところ」や「魔法が使えたら」などの子どもたちからの質問に対し社員が答えながら交流を深めた。
今回中心になって企画をまとめたのは、子育て支援や心のケアに取り組む(一社)実りの森(小杉町)。代表理事の西野薫さんは「地域の企業が歩みよることで、取り残されたように感じている子どもたちが自分の将来像を明るく描けるようになってほしい」と話す。きっかけは、不登校の子らから聞いた「社会科見学に行ったことがない」という声。区内の諸団体が集まる場でそのことを伝えるといくつかの企業が関心を示し、初回は富士通に決まった。打ち合わせを重ね、子どもたちの発達年齢に合わせた内容にしようと知恵を絞った。
同社・総務本部の坂下大さんは「企業にはいろいろな個性を持った人たちが集まっている。一人ではできないことでも、協力し合って成し遂げていることを伝えたかった」と話した。参加した男子大学生は「勉強も大事だけど、さまざまなことを経験することが大切なんだとわかった」と語り、高校2年の女子生徒は「3度も転職したという話を聞いて、人生の道は一つじゃないと思えた。進路に悩みもあったけど世界が広がった」と笑顔を見せた。西野さんは今後、こうした取り組みを行政等に働き掛けていきたいという。