冒険家 植村直己さんを懐古 カメラマンの吉原さん
8月11日の「山の日」を前に、冒険家の植村直己さんが世界で初めて成し遂げた冬のマッキンリー登頂に同行した藤が丘在住のカメラマン・吉原修さん=人物風土記で紹介=に話を聞いた。
吉原さんは、テレビ朝日のカメラマンとして、同行。単独登頂を行う植村さんの邪魔は一切しないという約束でベースキャンプまで共に過ごした。マイナス30度という厳しい環境下、「テントで寝られるようなものではなく雪洞を掘り、暖を取った」と吉原さん。雪洞では前人未到の犬ぞりによる北極圏走破など数々の偉業や「エスキモーの習慣、失敗談も楽しそうに話す姿が凄く印象的だった」。植村さんが登頂に向けて出発後は、撮影チームとしてセスナ機で上空から登頂までの姿を追った。
2月11日に植村さんから「明日アタックする」と無線で交信があり、撮影チームはベースキャンプに戻った。午後に登頂確認に向かうも天候が悪化し、姿は見えなかった。2月13日には植村さんと「きのう、7時10分前にサウス・ピークの頂上に立ちました」と登頂を知らせる交信をしている。その後「2万、2万フィート」と途切れながらの言葉が最後となった。「物事に対して凄く慎重で出発前も念入りに訓練を続けているような人柄。そのような人にカメラマンとして同行でき、とても貴重な経験だった」と振り返った。