【富津市】「入棺カフェ」がオープン! 創業120年を超える老舗葬儀社「かじや本店」の「入棺カフェ」で入棺体験
2024年9月、富津市の老舗葬儀社「かじや本店株式会社」が「入棺カフェ」をオープン。ここではその名の通りお棺に入る体験ができるんです。なぜこのようなサービスを開始したのか、また実際に入棺した感想など、気になる点を調査してきました!
まるでおしゃれなインテリア! 2人用まであるオリジナルお棺
創業120年を超える富津の老舗葬儀社「かじや本店」。入棺カフェをオープンさせたのは、かじや本店5代目、現代表の平野清隆さんです。
歴史と風情を感じる建物に足を踏み入れると目に飛び込んでくるのは…
赤・黄・緑・ピンクの布があしらわれたおしゃれなインテリア…ではなくお棺!
入棺カフェでは、1人用2基と2人用1基のお棺に入ることができます。
通常、2人用お棺なんてもちろんありません。こちらはあるイベントで製作されたものが、縁あって平野さんのところにやってきたのだそう。
カラフルなお棺は、平野さんの祖母、静江さんが生前買い集め、現在店内に置かれているシノワズリ(中国趣味)の調度品に合わせ、葬儀ブランド「GRAVETOKYO」デザイナーの布施美佳子さんがデザインしました。
入棺体験は完全予約制。入棺をただ体験したい方から、衣装を着ての撮影会など、自由な使い方をしてOKだそう。
なお「カフェ」とついていますが入棺体験がメイン。葬儀が入った場合は葬儀優先となるため予約必須です。喫茶店のようにふらりと立ち寄り、お茶をすることはできませんのでご注意ください。
平野さんは「気軽な気持ちで体験してくれてかまいません。葬儀に対するネガティブなイメージを払しょくしたいんです。葬儀も時代の流れで変化していく必要があると考えています。元気なうちに自分の理想の葬儀をプランニングしていると、実は遺族の心も楽になるんですよ。入棺体験が自分らしい葬儀を考えるきっかけになってくれればいいですね」と語ります。
地域に根ざした老舗だからこそ地域のために活動したい
かじや本店は明治35年、初代、平野五郎吉さんが青果問屋として創業しました。昭和に入ると近所の人で執り行っていた葬儀を業者に頼むように変化していったことから、2代目の平野朝次郎さんが装具屋に業務を拡大。やがて葬儀全般を扱うようになり、現在の総合葬祭業を営むようになりました。
「かじや本店」の本店は、築100年にもなる歴史ある建物。以前はこちらで葬儀の相談、打合せを執り行っていましたが、新しく葬儀会館を作ってからはそちらで行うようになったため、事務所として使っていた本店をリニューアルして入棺カフェをオープンさせました。
入棺カフェのオープンには、富津に根ざした老舗に生まれた平野さんの、地域を愛する思いが込められていると言います。
「富津には写真映えスポットやおいしい食事処がたくさんありますが、単体で訪れるとなると正直弱い部分があります。葬儀に関係のないお客様にも入棺カフェという目新しさから興味を持ち、さらに実際足を運んでもらえたらと思っています。
来ていただければ地元民だから知っている食事処や観光名所などもご紹介できますし、写真を撮りたいなら衣装の手配からプロのカメラマンを紹介することもできます。
オンリーワンの体験をすることで、富津が思い出の地となり、それをきっかけに移住する人が出てきてくれたら嬉しいですね」(平野さん)
いざ入棺。あなたなら何を感じますか?
ではいよいよ私も入棺を体験させていただくことに。
終活イベントでも人気だと言う入棺体験ですが、そちらで使われているのは、スタンダードな白木のお棺や白布のお棺がメイン。
カラフルでおしゃれなこちらのお棺には、お棺感はほとんどありません。
これで何か感じる事はあるのかなあ…と、まずは2人用からウッキウキに入棺!
広い。
そして思っていたより固い。
ソファーとかベッドとかをイメージしていたけど、そりゃお棺だし、よく考えたらそうですよね。
「じゃあ、蓋を閉めますね」
と平野さん。急に訪れる静寂。閉ざされた空間に自分しかいない感覚にふと不安がよぎります。
目の前の窓からレース越しに差し込む光だけが外界と繋がる細い線に思え、最初のウキウキはどこへやら、早く蓋を開けてもらいたい自分がいました。
次に、実際に使用されるサイズの1人用に入棺。
こ…これは…
体にジャストサイズで、当たり前ですが寝返りも打てません。
こちらでも蓋を閉めてもらいますが、閉塞感や圧迫感は先ほどの2人用の比ではなく、ずっと現実的に「実際に使用するときの自分」を感じざるを得ませんでした。
入棺前「お好きなだけ入ってくださっていいですよ」と平野さんが言ってくださいましたが、いや、長居は無理! 早々に平野さんに蓋を開けてもらいました。
「お棺から出る事を『生まれ変わり』や『生きなおし』と感じ、これからの生き方を考える人が多いようですよ」と平野さん。
確かに、棺と言う「死後」に直結する装置に身を置いてみる事で、否応にも生や人生について思いを馳せるのは間違いなさそう。
「おかげさまでさまざまなメディアから入棺カフェを取り上げていただき、取材の際に僕も2人の子どもと一緒に入棺してみたんです。
正直自分だけならともかく、子どもを入棺させるのにためらいはありました。しかし結果的には一緒に入って良かったです。
暗い空間で子どもたちの体温を感じた時『この子たちがこうして生きているのは当たり前じゃないんだ』と、逆に生がとても尊く感じられたんです。
葬祭業を営んでいれば、様々な故人様に接する機会があります。中には僕ですらやりきれない別れを感じたことも。
だからこそ、生を大切に感じるきっかけとして、自分が働きかける事ができないかと。入棺体験にはそんな思いも込めました。
入棺して感じる事は人それぞれで、どれが正解かなんてことはありません。
面白がってくれたら幸いですし、暗い空間の中で色々な思いを馳せる人もいるでしょう。
自分は自分のやり方で、気付きのきっかけを発信していくだけです」(平野さん)
「死」について考える事は、とりもなおさず「生」についても深く考えるという事。
入棺体験を通し、あなたなら何を感じると思いますか?
かじや本店株式会社
住所/千葉県富津市富津1525
営業時間/不定期 完全予約制
入棺料/1人2,200円(ドリンク別/130円)
駐車場/無料駐車場あり お問い合わせください。
アクセス/JR青堀駅から国道16号線を富津公園方面へ4.1キロ
日東交通バス停「かじや本店前」より徒歩1分
問い合わせ/090-4135-3072(担当:平野)
HP/https://kajiyahonten.com/