サッカー上達のカギは「力の出力」にあり! 自分の力を100%出せればサッカーのパフォーマンスが各段にUP その方法とは
わが子が、姿勢が原因で持っている力を100%出せていなかったら、もったいなく感じますよね。
正しい姿勢で力の出力を上げると、それだけで今までより強いキックが蹴れたり、フィジカルコンタクトでも強さを発揮できるようになるのです。(本人比で)
今回は、サッカーでパフォーマンスを上げるためにも正しい姿勢、座り方が重要な理由や、姿勢が崩れることによって起きるけがのリスクについて、自身もサッカー経験のある理学療法士の武田純一さんに教えていただきました。
(構成・文:小林博子)
<<前編:姿勢が良いと持っている力を100%出せる! サッカー上達や集中力アップにもつながる「正しい姿勢」のメリット
■サッカーで自分の持っている力を100%出せるようになる
単純な「座る」という動作も、1日数時間が毎日となると、良い子と悪い子で差はどんどん広がっていき、サッカーのパフォーマンスにもつながりかねません。
前編で紹介した体幹筋がうまく使えると、自分の持っている力を100%出力できます。
ですが、姿勢が悪いと出力が50%や60%、あるいは70%などの可能性があります。
例えば、キック時の出力の差。悪い姿勢がデフォルトになり骨盤が後ろに倒れたままだと、ボールを蹴った後に膝が伸びきらず、ボールが思うように飛ばないことにつながるかもしれません。
また、体幹の強さにも差があれば、普段の姿勢が良い子ほど当たり負けしにくくなります。
キックが弱い、当たり負けする、なども姿勢を改善することで100%の出力にすれば、わざわざ筋トレなどをしなくても今の身体のままで強いボールが蹴れたり、フィジカルコンタクトも強くなるのです。
自分の持っている力を100%出力できていないなんて、もったいないですよね。出力をあげるだけでもサッカーはグッと伸びるのです。
サッカーをするときの土台となる姿勢を100点にしておけば、その上でトレーニングをして10点アップすると出力が110点になります。
対して、姿勢が悪いと土台が60点に。10点プラスしても70点にしかなりません。だからこそまずは姿勢を意識することが大切になります。
■ケガしにくい体にもつながる
悪い姿勢を続けることで、子どもたちに比較的多い以下3つのケガの原因につながります。つまり、姿勢の良さはケガの予防にもひと役かってくれます。
オスグッド・シュラッター病
オスグッド病の原因の1つはもも裏の固さ。後ろ重心の姿勢でいることが習慣になると、身体を支えるためにももの裏側が固くなるのと同時に常に前側(大腿四頭筋)が強く働くようになります。その大腿四頭筋もかたくなり、膝下の隆起部を強く引っ張ってしまうことがオスグッド病を引き起こしてしまいます。
腰椎椎間板ヘルニア
骨盤が後傾していると、背骨の間にある椎間板の前側(お腹側)がつぶれて後ろに押し出されるので、腰が痛くなったり足が痺れたりする「腰椎椎間板ヘルニア」の原因になることがあります。椎間板がつぶれるというのは、あんぱんを上からギュッと押して中の餡が出て神経を刺激してしまうイメージです。
腰椎分離症
反り腰の選手は、骨盤がかなり前傾している状態で上半身を無理にねじることで、腰の骨を痛めて疲労骨折をしたり、腰椎分離症になりやすい傾向があります。
ボールをける際に「腰を回す」という表現をすることがありますが、基本的に腰は約5度程度しか回旋しないので、本来なら股関節と胸椎を連動して回るのが、腰がロックされた状態で無理に回旋させると疲労骨折が生じます。
■ずっと100%でいる必要はない
正しい姿勢でいることが、サッカーにも学習にも良いことづくめなのであれば、ずっと出力100%を保っていればいいのでは、と思う方もいるかもしれませんが、常に100%の状態でいる必要はないのです。
「ずっと100%でいるなんて、大人だって無理です」(武田さん)
正しい姿勢が100点だとして、背中が丸まってノートに顔がかなり近づいた状態を0点だとすると、長時間座る際に、0点になる時間を生まなければいいのです。
時間がたつと自然と背中が丸まって来るものですが、60点や70点程度で留めておいて、時々100点に戻せば、リセットされます。
0点状態が続くと、子どもでも約4kgある頭を首の骨や筋肉で支える状態が続き、首や肩への痛みが出る原因になります。
ですので、まずは0点の状態をなくすことから始めましょう。
■姿勢を正すのは「やる気」にもつながる
「姿勢を正すことは"かまえ"の1つ。さあやるぞ、という切り替えになります」と武田さんが言うように、やる気のスイッチがオンになる魔法のような存在にもなってくれます。
ぜひ姿勢を味方につけてサッカーも勉強も頑張ってもらいたいところです。
次回は実践編。家にあるものだけで、低学年の子でもすぐにできる「正しい座り方」のコツを具体的にご紹介します。