“自律神経失調症”と“うつ病”は似て非なるもの? 2つの違いとは
「自律神経失調症」は、前述したように、メンタル面にも症状が現れます。イライラや不安感、倦怠感、不眠、食欲不振などといった症状は「うつ病」の症状とよく似ているので、両者は混同されがち。しかし、自律神経失調症とうつ病は全く異なる病だといえます。
自律神経失調症は、ストレスなどによる自律神経の乱れが原因で生じるあらゆる症状を指します。一方、うつ病は、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」や「ドーパミン」の著しい低下が原因の病気。セロトニンは幸福感をもたらし、ドーパミンはやる気や集中力を引き出す作用があるので、この2つが不足すると抑うつ傾向が強くなるのです。
ただし、うつ病の場合も自律神経に異常が見られます。うつ病の患者さんの自律神経を測定すると、副交感神経が圧倒的に高く、交感神経がほとんど働いていないことがほとんど。アクセルが機能せず、ブレーキだけが効いている状態なので、気分が落ち込み無気力になるのは当然です。
もう一つ混同しやすい病に「パニック障害」があります。こちらは副交感神経が働かず、交感神経が極端に高くなります。つまり、ブレーキが効かずアクセル全開という状態。いずれにしても、うつ病もパニック障害も自律神経に問題あり。ですから、自律神経が乱れた状態が続くと、うつ病などの心の病に発展しかねないということです。
自律神経失調症とうつ病の違い
自律神経失調症
自律神経の乱れが引き起こす症状の総称で、病名ではない。
主な症状頭痛腰痛動悸冷え不眠だるさめまい
うつ病
脳の神経伝達物質の分泌異常で現れる心の病気。
主な症状物事に興味がわかない不安感や絶望感がある自分を責める自殺願望がある自律神経失調症と同じ症状もある
自立神経失調症は症状でうつ病は病気
似て非なるものですが、自律神経の乱れが長く続くと、
うつ病になる可能性もあるので注意が必要です。
パニック障害とは
パニック障害も自律神経失調症と混同されやすい病気の1つ。交感神経だけが過剰に働き、副交感神経がほとんど働いていない状態で、わけもなく不安になり、動悸や呼吸困難、めまいといった様々な発作を繰り返します。自律神経系の症状と発作が同時に起きるのが特徴です。
【出典】『1週間で勝手に自律神経が整っていく体になるすごい方法』著:小林 弘幸