認知症の方は不足していることが多い「亜鉛」。豊富に含まれる食材を積極的にとろう!
大好きだった祖母が認知症を発症したことをきっかけに、認知症の予防法の普及に生涯をかける決心をしたという山根 一彦さん。医学博士として、認知症専門人材の育成、教材開発に携わってきました。これまで多数の認知症関連書籍の監修・執筆活動を行ってきた山根さんが、著書『OK食材、NG食材もズバリ!認知症を防ぐ最高の食べ方』(KADOKAWA)で伝授しているのは、認知症の最新情報や、認知症を予防、改善するための食材や食べ方です。今回はその中から、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材の食べ方と選び方をご紹介します。
※本記事は山根 一彦著の書籍「OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方」から一部抜粋・編集しました。
【OK食材】貝
―――期待の成分タウリンと不足しがちな亜鉛の源
貝にはタウリンという成分が豊富です。タウリンというと、よく栄養ドリンクに含まれていることから、疲労回復効果を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、実はそれだけではないのです。
タウリンには、肝臓の働きを活発にする、血液中の中性脂肪を減らす、血圧を下げる、インスリンの分泌を促して糖尿病を予防する、視力の衰えを防ぐなど、さまざまな健康面でのメリットがあります。
しかも、認知症とタウリンの関係についても研究が進んでいるのです。アルツハイマー型認知症モデルのマウスにタウリンを投与したところ有効性が確認されたという研究結果があるほか、胎児の脳の発達にタウリンが関与していることもわかっています。
試験管レベルの実験ではありますが、タウリンがアミロイドβの凝集を抑制したという報告もあります。まだ、タウリンが実際の認知症患者さんのアミロイドβを抑制したわけではありません。しかし積極的に摂取する価値はありそうです。
貝の中でも牡蠣はとくにタウリンが多く、さらに亜鉛も豊富です。認知症の方は亜鉛不足のことが多いので、積極的に食べましょう。またタウリンは貝のほか、タコやイカからも摂取できます。
POINT!
認知症との関係について研究が進む「タウリン」は牡蠣などの貝類、タコ、イカから摂取できる。