2025年の住宅トレンドに「ずらし駅」 注目の5大トピックス
不動産・住宅情報サービスの「LIFULL HOME’S」が18日、2025年のトレンドを発表。5大注目トピックを紹介した。
鉄道ファンの関心を引きそうなトピックが「ずらし駅」(駅ずらし)だ。実質賃金指数の伸び悩みに対し、消費者物価指数は上昇、可処分所得が増えないなか住宅にはなかなかコストをかけられない。そこで、賃料の高い「ターミナル駅」を避け、各駅停車しか止まらないような周辺の駅を検討する方が増えているという。
例として挙がったのが下北沢駅、大井町駅、立川駅、調布駅。一例として「下北沢駅」を紹介したい。小田急線・京王線が乗り入れる下北沢駅周辺物件への問合せ数は、2023年1~12月と2024年1~11月で比較すると91.6%と減少傾向にある。
一方、隣駅や周辺駅は好調だ。小田急小田原線の東北沢駅(114.9%)、世田谷代田駅(110.7%)、梅ヶ丘駅(108.2%)、豪徳寺駅(109.2%)、京王井の頭線の池ノ上駅(109.5%)、新代田駅(102.8%)、東松原駅(119.7%)いずれも問い合わせ件数が増加傾向にある。
JR東日本が開発を進めている大井町駅周辺を見てみよう。大井町駅も113.8%と伸びを示すなか、東急大井町線は下神明駅(159.0%)、戸越公園駅(142.6%)と前年比1.5倍程度の伸びを示している。
【参考】大井町はどう変わるか JR東日本が進める再開発のヴィジョン【コラム】
https://tetsudo-ch.com/12988340.html
もちろんホームページへの掲載物件数が増えれば自然と問合せ数も増えるため、必ずしも問合せ数=トレンドとはならない。LIFULL HOME’S 総研副所長兼チーフアナリストの中山登志朗氏は、そうした様々な要因も踏まえた上で、「物件が増えているというよりは、ずらしてユーザーさんが探されているケースが増えている」と話した。
残る4つのトピックは「デコ活」「ローカル億ション」「住まいの防犯投資」「家じまい元年」。各ワードの簡単な説明は下記の通り。
◆デコ活
環境省が提唱する脱炭素とエコを目指すムーブメント、脱炭素を意味する(Decarbonization)とエコ(Eco)を組み合わせた造語。
住宅・住まい方に関するデコ活は6種類に上り、省エネ給湯器や節水水栓、太陽光発電など家庭でできるデコ活は多い。2025年4月からは原則として全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務化され、2030年までにはZEH水準の基準が引き上げられる。
◆ローカル億ション
国内の富裕層・超富裕層は約150万世帯に達する勢いで増加しており、パワーカップルやインバウンド需要、さらには株高による資産の付け替えも発生しており、大都市以外での億ション分譲がさらに活性化する勢い。
LIFULL HOME’Sに掲載された億ションのある都道府県は、2020年は18都道府県、2020年~2024年5月は33都道府県。なお、昨年と今年で東京23区の新築マンション平均価格は「1億円超え」が当たり前になった。
◆住まいの防犯投資
闇バイトなどが原因で防犯意識が急激に高まっており、物件購入に関しても「一戸建てからマンションへ」といった動きが目立ち、防犯リフォーム需要も急拡大した。
葛飾区、足立区、三鷹市など、補助金を出して防犯対策を促す自治体もある。防犯カメラなどの購入費用にも助成金がでるケースがあるので、お住いの自治体でぜひチェックを。
◆家じまい元年
住宅所有者の高齢化や逝去などをきっかけに家じまい(自宅売却)を検討し始めるケースなどが顕著に増えている。家族間での意見の不一致や片付けの進まなさなどから問題を先送りにするケースもあるが、維持管理コストもかかりため早めの「家じまい」が望ましい。
余談だが、鉄道業界ではJR東海がコロナ禍における旅行キャンペーンとして「ずらし旅」を提唱。旅する時間や場所・行動をずらす旅行スタイルとして浸透しつつある。