サッカーも学校の準備も毎日怒りっぱなし......。「褒めるのが苦手」な親御さんに、今日からできる簡単な褒め方を伝授
最近は学校でもスポーツの現場でも、子どもを理不尽に怒る場面は減っています。
子どもが尊重されて、良い時代になったと実感する一方で、褒めるだけでなく、時にきちんと叱ることも大事なのでは。と感じている親御さんは多いと思いますが、「叱る」と「怒る」の違いがわからなかったり、感情的に怒ってしまっていませんか?
そこで今回、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで何千人もの子どもたちに接していて自身もサッカー少年の父親である菊池健太コーチに「怒る」と「叱る」の違いや、褒める時のポイントなどを伺いました。
3回目は「いつも怒ってばかり。褒め方がわからない」というお母さんの悩みに回答。
100%の正解があるテーマではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。
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<<正解がないからこそ悩む「褒める」「叱る」のさじ加減 悩める保護者に7,000人以上指導してきたサッカーコーチが回答
■そもそも「褒め方」がわからない......
カワハラさん(仮名)は、小4の息子さんに対してサッカーや学校の準備など日常の中で「しゅっちゅう怒っちゃって、何に怒ったかわからないぐらい」だと言います。
世のお母さん、お父さん方も経験があるかと思いますが、怒るに至った原因だけでなく、何日か前のことを持ち出して「そういえば昨日だって、○○したよね!?」となることもよくあったとか。
小学生年代の子どもをもつ保護者世代の方は、自分自身が褒める育て方より厳しい育て方を経験した方も多く、「どこを褒めたらいいの?」「どんな言葉で褒めたらいいの?」と、褒める行為自体むず痒いとか、難しいと感じている人も少なくないようです。
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■失敗してもいい、というスタンスでいればいい ただし、周囲の理解を得ておきたいところ
それに対して菊池コーチは、こう答えます。
「僕は子どもは準備しないという前提を持って接しています」
お子さんを持つ父親でもあるコーチは、以前は「あと10分で家を出ないといけないから早く準備して」など先回りして伝えていたそうですが、子ども自身に意識を持たせるために、「遅刻して本人が苦労すれば変わる」というスタンスになったそうです。
「やばい、遅れちゃった」と焦ったり、忘れ物をして試合に出れない経験をすることで、次から気を付けるようになるきっかけになるからだと菊池コーチは言います。
「そういう小さい失敗は小学生年代にしかできないので。小さい失敗を繰り返して子ども自身の中に経験値として残っていくと思います」と父親としての考えも教えてくれました。
ただし、子どもたちに失敗から学ばせようというスタンスは、現代の甲斐甲斐しく世話をする親御さんも増えている中では「放置している」と見なされる事もあるので、周囲に自分の考えを理解してもらうことも大事だとアドバイスを送りました。
■大げさに褒める必要はない、難しく考えないで
そしてカワハラさんが難しいと感じている「褒める」については、「大げさに褒める必要はありません」ときっぱり。
家で何か手伝ってくれた時、何かが上手くいったときなどに「ありがとう」「助かったよ」「上手くいってよかったね」、などプラスの言葉を伝えることが「認める」「褒める」につながると言います。
それだけで子どもは「喜んでもらえた」「見てもらえてる」と感じますし、上手くいかなかったときは「じゃあ次どうしたらいいか」を一緒に考えようとしたり、少しずつ自己肯定感が育っていくと伝えました。
■親が怒ってばかりだと自己肯定感が下がる?
そもそも「褒めることが下手で、怒ってばかり」の自身の行動が、我が子の自己肯定感を低くしているのでは......とお悩みを打ち明けてくれたカワハラさん。
息子さんは、親から見て自己肯定感が低く、何をしても「できない、無理」と言うタイプで、新しいことに中々挑戦できなくなっているのだそう。
サッカーは好きで家では自主練をするけれど、最近は精神的な理由でチーム練習に行けないこともあるそうで、移籍も考えているけれど、自己肯定感が低いままだとほかのチームでも同じ状況になるかもしれないと感じている、と苦しい胸の内を明かしました。
■子どもたちを取り巻く環境が大きく変わったのも原因
そんなカワハラさんの悩みに菊池コーチはこう断言します。
「カワハラさんが怒りすぎたせいではないと思います」
そして、その原因は子どもたちを取り巻く環境が大きく変わったことも関係するのでは、と見解を示しました。
「この数年でも、子どもたちを取り巻く環境が大きく変わりました。学校も体罰や暴言指導には昔に比べてかなり気を付けていますし、コロナ禍で家族以外との接触が減ったこと、オンラインゲームの普及など、自宅にいながらインターネットで誰かとつながることができるなど、人との関わり合いの部分が、親世代が子どものころとは変わった事が大きいと思います」
そして、1番悩んでいるのはお子さんなので、自分や誰かのせいでそうなったと考えて落ち込むより、本人の気持ちに寄り添うことが大事だとアドバイスを送りました。
「サッカーも無理して行かせる必要はなく、行ける日があれば行って、ゲームに参加できそうなら入れてもらう、などいろいろな人に協力してもらいながら子どもに合ったペースで進んでいけると良いと思います」
それを聞いてカワハラさんは、「褒めなきゃ、褒めなきゃって思っていたけど、日常の中で自分の思いを伝えるとか、そういう小さい積み重ねで良いんだってわかって良かったです」と明るい声になり、心が軽くなったことを教えてくれました。
■「みんな同じような悩みを抱えてるんだ」と分かり、心が軽くなった
これまで3人のエピソードを紹介しましたが、座談会の最後に参加した皆さんに感想を聞いてみると「悩んでいるのは自分だけじゃなかったんだなと心が軽くなりました」「親も人間だし、完璧じゃないって改めてわかりました」「もう少し気を楽にして子どもにかかわれそう」など、みんな同じようなことで悩んでいるってわかってなんだか安心した、とみなさん明るい表情で教えてくれました。
普段はなかなか人に相談できないことですが、今回の座談会を通じて事前に抱えていた悩みや不安が軽くなったようです。
「すぐに完ぺきに実践できるものではないけど、子どもの様子を見ながらもがいていこうと思いました」という言葉に参加者一同うなずいて座談会を終了しました。
サカイクが開催している「サカイクキャンプ」では、子どもたち一人ひとりを尊重し、チャレンジしたことなど褒めるべきところはしっかり褒め、人として良くないことをした時にはきちんと叱る、という接し方をしています。
サッカーの技術だけでなく、ピッチ外の人間性が大事だということも学べるサカイクキャンプ、この冬も開催予定です。ぜひお子さんを参加させてみませんか?
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