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【ガチ謝罪】「マリメッコ」と見せかけた「タイランド」により父親に大損害を与えてしまった話

ロケットニュース24

うちの父は輸入販売業、正確にいうと諸外国から家具やら洋服やら様々な雑貨を買い付けて、日本で販売する仕事をしている。近年は円安の打撃をモロに受けて商売どころじゃない様子だが、彼ももう70歳。ま、半分趣味みたいな感じスね。

半分趣味みたいな感じにも関わらず割と向上心がある父は、最近悩みを抱えていた。それは「何を仕入れれば売れるのかサッパリ分からん」ということ。以前は売れそうな商品を探し当てる嗅覚を持ち合わせていたが、時代の変化に置いてけぼりを食っているのだ。

そんなワケで「商品選びのアドバイスしてほしい」と依頼された私は、父とともにタイへ向かった。この後に待ち受ける悲劇も知らず……。

「マリメッコにその色あったっけ?」ってこれまで何人に言われたことでしょう

・商人(あきんど)はつらいよ

父はかれこれ30年以上タイに買い付けに行っているため、仕入れルート的なものは完全に確立されている。

とはいえ、来るたびに目まぐるしく変わる商品、おびたたしい数の商店の中から目新しくて売れそうなものを選ぶのは、かなり根気とセンスのいる作業だ。この商売で娘2人を成人させて家を建てた父、あれでなかなかいっぱしの商人(あきんど)なのかもしれん。

さて私自身、タイという国自体へは何十回も訪れているが、 “仕入れ” という目線で街を歩くのは初めてのこと。こうしてみると……マジで何も分からん!!!! 日本の消費者は一体何を求めているのか? 考えれば考えるほど、分からなさすぎて死にそうになる。

しかし、そんなこんなで数日が経過したころ……ついに!

「絶対売れる」と確信する商品を見つけた!

・父娘初の共同作業

それは色違いや柄違いを含めると、10ほどのバリエーションがあるトートバッグ。やや奇抜ではあるものの、刺さる人には絶対に刺さるデザインだ。「ちょっと攻めすぎではないか?」と父は言ったが、私は「絶対に売れるから信じてほしい」と力説した。

娘の真剣な眼差しを見た父は深く頷き、その場でトートバッグを100個購入。「追加で注文する場合は日本へ送ってくれ」という約束まで取り付けた。さすがは鳥取の商人(あきんど)である。

初めての共同買い付けに気をよくした父娘は、その後肩の荷がおりたと言わんばかりにタイ旅行を満喫。

タイ飯を食いまくり、意気揚々と帰国した。これがうまくいったら私、店を継ぐことも考えなくもないかもしんないかもしんない……!?

・女子力ゼロゆえの悲劇

そして数ヶ月後。実家の母から電話がかかってきた。私のチョイスしたトートバッグ100個は無事届いたとのこと。それは何よりなのだが、母の声は何だか浮かない調子である。

続けて話を聞くと……な、なんと! 両親はトートバッグの販売を自主的に中止にしたらしいのだ。せっかく買ったのに、一体なぜ!? 母を問いただすと、お客さんに指摘されたという衝撃の事実が明らかになった。

客「これ、マリメッコなんですか?」

ご紹介が遅れたが、こちらが私が「絶対に売れる」と踏んだトートバッグ。白地に「Thailand(タイランド)」とプリントされたシンプルなデザインに、「オシャレかつシュール」と直感したのだ。

が…………!

恥ずかしながら私は全く知らなかったのだが、実はコレ世界的ファッションブランド『marimekko(マリメッコ)』の超定番トートバッグにクリソツ……というより、ほぼ確実にパクリ商品らしいのであった。マ、マ、マジ!? マジなの!?

自分で選んだ贔屓目もあるかもしれないが、超個人的な本心を言わせていただくと、コレはパクリというより “ジョーク商品” の部類なのでは? という気もしなくない。ただ倫理的その他様々な観点から総合的に判断した結果、両親はこのバッグの販売を断念することにしたのだそうな。

父……マジでスマン!!!!

・永遠のストック

そんなこんなで亀沢家の永遠のストックと化した100個のタイランド・トートバッグ。

倫理的な観点から大きな声で「オススメ!」とは言えないものの、大容量で丈夫で非常に使い勝手がいい。あと、真実を知った今も「やっぱりカワイイ」と思ってしまうのは、私が大のタイランド好きだからだろうか。

そんなワケなので、もし街でタイランド・トートバッグを見かけたら、それはもしかすると亀沢家の血筋の人間かもしれない。なお別バージョンで「Bangkok(バンコク)」トートバッグも大量にあるぞ。お譲りできなくて残念だ。

まだまだ肌寒いこの季節。街を歩くのは若干億劫だけど、タイランド・トートバッグを抱えたら……

Oh! ポッカポカ!!!!

気分はタイランドになれるので、これを買ったことも全くの無駄ではなかったといえるだろう。とはいえ父……マジでスミマセンでした!!!

参考リンク:marimekko
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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