見た目はまるでミミズだけど魚な『ミミズハゼ』の不思議すぎる生態 捕り方も独特?
波打ち際に棲息する小さなハゼの一群「ミミズハゼ」。子供の遊び相手として愛されてきました。
ミミズ?それとも魚?な「ミミズハゼ」
スズキ目ハゼ科に分類される「ハゼの仲間」は、魚類の中でも特に繁栄しているとされるグループです。数多くの種類があり、さまざまな形態のものが見られます。
その中でもひときわ変わった見た目をしているものに「ミミズハゼ」があります。ミミズハゼ属に含まれる魚の総称で、名前の通りまるでミミズのように細長くヌルヌルとしています。
特にユニークなのはその頭部。頭を棍棒で叩かれたギャグ漫画のキャラのように頭部が凹んでいて、まるで漢方薬用の小さな匙のようです。
水ではなく砂利を泳ぐ!
このミミズハゼがユニークなのはその形状だけではありません。なんと彼らは「砂利の中」を泳ぐことができるのです。
ミミズハゼが生息するのは、砂利の混ざった砂浜の波打ち際。基本的に砂利の中に潜っており、波が引いて水がなくなってしまってもその中を動き回ることができます。
この身体能力ゆえか、富山県ではこのミミズハゼの一種を「丸呑み」すると泳ぎが上手くなるという伝承があるそうです。
採って食べてみた
上記の伝承から、富山県では昔から子どもたちが遊びでミミズハゼを捕まえる文化がありました。その捕り方もまたユニークで、手の中に彼らの餌となる魚の切り身のかけらなどを握り込み、拳を浜の中に潜り込ませるのです。
砂利の中でも泳ぐことができるミミズハゼは、握り拳の中にでも容易に潜り込むことができます。餌を求めてミミズハゼが潜り込んできたら水からあげれば一丁あがり。
筆者も先日この遊びを楽しみ、そして実際に食べてみました。伝承に従って丸呑みしてみたところ、骨が硬くてあまり美味しくありませんでしたが、カリッと揚げてみたらスナック感覚で食べられ、強い旨味を楽しめて美味しかったです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>