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「ママ友の世界は怖いと思っていたけど…」まつざきしおりさんスペシャルインタビュー後編【島暮らし編】

たまひよONLINE

瀬戸内海に浮かぶ直島で暮らしながら妊娠・出産、そして育児の日々をハートフルに描くまつざきしおりさんの「たまひよ」WEB連載【えらいこっちゃ 妊娠・育児生活】が 連載100回目を迎えます。直島は周囲は約16km、人口約3000人の小さな島とお聞きしました。スペシャルインタビュー前編は漫画を描こうと思ったきっかけ、思わず笑ってしまった衝撃出産エピソードの裏話などをお聞きしました。後編は直島との出会い、そして島暮らしの子育て実態を紹介します。

プロフィール/まつざきしおり


大手メーカーに勤務するが都会のコンクリートジャングルに疲れ、25歳のときに瀬戸内海に浮かぶ直島へ移住。
島の男性と結婚し、7歳の娘とともに古民家で家族三人暮らし。のんびりとした島暮らしや育児エピソードを漫画に描きます。

不便さよりも、居心地の良さが上回る島での生活


ーー直島との出会いは、学生時代だったそうですね

「はい。大学時代の美術部の合宿でした。
ご存知の方もいると思いますが、直島はアートの島として有名で、そのときも目的は地中美術館のクロード・モネの『睡蓮』でした。
作品もとても素晴らしかったですが、それ以上に島の雰囲気の良さに感動したことを覚えています。

豊かな自然に加え、島の人は旅行者にとても親切だし、あったかい空気が流れている島だなぁって。
空気がぴったり合うというか、すごく居心地がよかったんです。

直島の“直”は、素直の“直”が由来という説があるのですが、本当にそう思います。

でもそのときは永住することになるなんて、夢にも思っていませんでした」

※地中美術館・・・安藤忠雄設計の建物は大半が地下に埋没され、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの作品を展示。

ーーいま、リモートワークの広がりで田舎暮らしが注目されています。まつざきさんの周りはどうですか?

「変化があると感じます。
以前なら、若い世代の単身者の移住が多かったです。私みたいな(笑)
そして1〜2年ぐらいで去っていく。

私はいつも見送る立場で、寂しいなぁという体験が多かったのですが年々、永住を視野に入れた家族で移住という人が増えていて、とても活気を感じます」

ーー島暮らしで苦労した点はありましたか?

「大きな買い物は船で本土へ渡るとか、大型家具の送料がべらぼうに高いとか、お風呂が壊れたときは本土から修理を呼ぶので10日後になるとか。

移住直後は驚くことが多かったけど、慣れましたね。
それが普通になりました。

なかなか慣れないのは虫とか、カビとか、動物とか(笑) 

だいぶ慣れたんですが、足音が聞こえるサイズのムカデとか、娘がお菓子を食い散らかしている〜と、思ったらネズミの仕業だったとか、奴らは私の予想を軽くこえてくることがあり、今も驚かされます。

ただ居心地の良さのほうが上回るので、あまり気になりません」

島の人や移住仲間と過ごす心地よい時間


ーー島の居心地が良いとは、具体的に教えてもらえますか?

「豊かな自然もそうだけど、島のコミュニティの居心地の良さですね。

島の人は移住者にも分け隔てなく接してくれるおだやかな人が多いです。
お年寄りもとても元気!!

また、近年移住者が増えていますが、「直島に住めて楽しい!何かいろんな楽しいことをしたい!」というエネルギッシュでポジティブな人が多く、とてもいい刺激になっています。

最近は自粛生活のなか皆で野草摘みとかワカメ採りとか、サバイバル生活を楽しみました。
普段目にしていた野草が食べられるなんて、新しい発見もあって楽しかったです。

こんな風に、常に“次、何する?”みたいな空気にあふれている。
私が出産後に漫画を描こうと大きな決断をしたのも、周りの刺激があったからだと思います」

ーーもし都会で出産・育児をしていたら? と、考えたことはありますか?

「あります、あります。今みたいな人間関係は築けなかったと思います。

私は人見知りするし、人との付き合いも苦手で、なかなか自分からは声をかけられなかったりします。

でも直島は、ちょっと散歩に出れば誰かしらと会えて話がはずみます。
ちょっと落ち込んだ時も、島の自然に触れて、島の人とお話するとあら不思議、気がつけば元気になっています。笑

人との距離が近すぎる言う人もいるようですが、私はこの距離感が好きなんです。

人と人とが顔を会わせる機会にあふれていて、そのコミュニケーションから安心とパワーをもらう。
そんな日常が、本当に居心地いいなぁと思います」

島での育児情報はママ友ネットワークが頼り


ーーちなみにママ友はいますか?

「いますよ! 漫画にも描きましたが島には保育部から中学まで、ずっと1学年1クラスなので同じメンバーで過ごすことになります。

娘の学年は15名。先輩ママもたくさんいて、情報を教えて頂いたり制服のお下がりをいただいたり、とても助かってます。

実は娘が生まれる前は、“ママ友は怖い世界”と、思ってたんです。
ちょうどその頃、ママ友カーストを描いたテレビドラマがあり、付き合い下手の私にはママ友は無理って思っていました。

実際、ベビーカーで公園へ行って、ママ友集団を見かけてUターンしたことあります(笑)

でも子育てサークルに誘っていただいたことをきっかけに、たくさんのすてきなママ友ができました。

そのお話もおいおい漫画にしたいと思っているので、楽しみにしていてください」

ボーッとしているけどジッとしていられない


ーーまつざきさんは人見知りで付き合い下手ですが、行動力はあるんですね

「決断するまでが、すごーーーーく長いんです。
でも“これや!”と、思うと、もうジッとしていられない。
ボーッとしていたと思ったら、ワァーワァーと慌ただしく動き回るのでよく驚かれます。

私がおとなしいと、夫から“今度は何を企んでいる?”と、言われます(笑)」

ーー最後に読者の方へメッセージをお願いします。

「いつも読んでいただきありがとうございます。

コーヒー飲んでホッとするみたいな、息抜きになるような漫画になればとてもうれしいです。

笑いました、とか、元気が出ましたと、言ってもらうことで、私自身も元気をもらっています。それが私の生きがいとなっています。

これからもよろしくお願いします」

安定した会社員生活を捨てて直島へ移住し、島の男性と結婚し、さらには漫画家になるという夢まで実現した波乱のサクセスストーリーからは想像もできないほど、ほんわかな笑顔が印象的なまつざきさん。
大好きな場所で大好きな人々に囲まれていると、こんなにパワフルな人生を送ることができるんだと、しみじみ思ったインタビューでした。(文/川口美彩子)

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