見るべきはカロリーではなく脂質
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
ゲストは、日本体育大学教授にして現役ボディビルダー、バズーカ岡田こと、岡田隆さん!
テーマは、岡田さんが提唱する「脂肪燃焼食のススメ」
「脂肪燃焼食」はダイエットの方法の一種。ダイエットというと、「○○抜きダイエット」が何度もブームになってきました。一時 糖質抜きダイエットも流行しました。しかし、それは一時的な体重減少でしかないのです。
そもそも、「体を絞る」とは、「体脂肪を落とす」こと
岡田さんが体づくりを目指したきっかけはアーノルド・シュワルツェネッガーさんに憧れたから。
アーノルドも「腹筋はキッチンで作られる」つまり「腹筋は食事で作られる」と結論づけています。
人間の骨格を思い浮かべると、もともとウェストはくびれています。
それを脂肪が覆い隠しているだけなんです。つまり脂肪をとりのぞけばくびれます。
そして、食べながら絞ることができるのが「除脂肪食」。ということで、今回はその極意を教えていただきました。
見るのはカロリーではなく、脂質!
いまやどんな食品にも成分表がしっかり表記されるようになりました。
その成分表、見るのはカロリーではなく、「脂質」なんです。
いくらカロリーを気にしても、体に取り込まれる脂質が多いと太ってしまいます。
逆にいうと、「脂質」を適正化するだけなんです。
厚生労働省が2020年に発表している「日本人の食事摂取量」によると、たんぱく質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物が50~65%。
ここから割り出した、1日に必要な脂質が38~58グラム。
3食分で割ると、1食12.67~19.3グラムなんです。
究極的にはこれ以内おさめるだけ!です!
さらに、ダイエット目的の方なら1食につき脂質10g以下が理想です!
具体的には、コンビニやスーパーの市販食品の、表記を確認することが大事。
購入しようとしているお弁当の脂質が10グラム以上なら考え直しましょう!
そのときの食事はもちろん、普段から見ることで表記がないものや、
普段の家での食事でも脂質の量を意識することできるようになります。
チェーン店なら、大戸屋かサブウェイ!
チェーン店は安くておいしいけど、どうしても糖質・脂質が増えるイメージですが・・・
たしかにそういうお店も多いんですが、大戸屋とサブウェイならコントロールできます!
「大戸屋」
和食が豊富で成分表示もわかりやすいのが嬉しい。特に「焼き魚定食」がおすすめ!焼き魚は脂質が多いと思われがちですが、タラは、高タンパクで良質な脂質のため、ダイエットに最適です。まるで“食べるプロテイン”です!
「サブウェイ」
『パンを食べたいけど痩せたい』という相談も多いんですが、わたしは「無理せず好きに食べていい」と答えています。それは、つらい思いをする方が身体に良くないですからです。そんなパン好きにおすすめなのがサブウェイです!パン好きの方でも安心して楽しめます。その理由は、パンが選べること。全粒粉のパンを選べば脂質も少なく繊維質も取れますし、野菜を増やせたり、ドレッシングを塩・こしょうに変えられたり、ダイエットする人のためのお店となっています。
ほかにも、鳥貴族、やよい軒、富士そば、ゆで太郎は最高です!
例えば・・・
吉野家:鶏肉メニューを中心に選ぶと良いでしょう
鳥貴族:ささみや胸肉など低脂肪の部位を選べば、焼き鳥を楽しみながらダイエットができます
斎藤アナは筋トレについては岡田さんの孫弟子だそうです!
最強のダイエットのひとつは、食べ物を増やすこと!
ダイエットと言うと、誰もがまず考えるのは「ご飯を半分にしようかな」とか
「こんにゃく麺にしておこうかな」 など低カロリーにすることを考えますよね。
もちろん、消費カロリーより摂取カロリーが多いと太るのは事実です。
ただし、そこだけで食べることを考えてはいけません。
栄養素は、体を作り、適切に機能させるために必須です。ダイエットはストレスフリーでなければ長い人生では成立しません。このことは、大会に向けて半年間の間に10kg以上もの体脂肪を減少させるダイエットのプロである私たちボディビルダーが一番よく知っています。
・いろいろ試した結果、一番苦しくなく短期間で効果が出る方法が、食べ物を制限する方向ではなく、「食べ物を増やす」という考え方です。
増やす食べ物は・・・「食物繊維」
食事を摂る際は、生の葉物野菜などを食べると、よく噛まなければならないので、満腹中枢が刺激されます。また、米も白米ではなく玄米など食物繊維を多く含んでいるものにすれば、よく噛む分、同じカロリーでも満足感が得られるし、消化酵素が多く分泌されるので、消化吸収がよくなり、腸内環境も整います。腸内環境がよくなれば便通がよくなります。
食物繊維を増やすための具体的な方法でおすすめなものは?
主食を工夫する
白米より麦ご飯や玄米、白パンより全粒粉パン、うどんよりそば(なるべく10割そばに近いもの)、通常のパスタより全粒粉パスタを選ぶ
例えば、朝食にオートミールなどを取り入れる
朝に必要な食物繊維を摂取できれば、1日を通して効果的
岡田先生によると「ダイエットは短期的なイベントではなく、生活スタイルの変化」です。
食物繊維を増やして腸内環境を整えることで、健康的に体重を減らし、それを維持する習慣が身につきます。
また、よく噛むと、味をしっかり認知する機会となり、食材そのもののおいしさに気が付くことにつながります。味付けが強いものではなく、食材そのもののおいしさや繊細な味付けでも満足でき、さらに十分量に達したときには自然と食べる事をストップできます。そうなると、あまり強く意識しなくても、ダイエットを行えます。
お米は敵ではない
ダイエット中にお米を避ける方も多いですが、「お米と一緒に食べるおかずの問題」であり、お米自体は低脂肪の炭水化物で「筋肉のガソリン」になるとのこと。
お米をより効果的に取り入れるコツとして:
温かいご飯より冷やしたご飯の方がレジスタントスターチが増え、腸内環境が良くなる
白米に麦やスーパー大麦を混ぜると食物繊維が増える
まとめ:脂肪燃焼食のポイント
1. カロリーではなく脂質に着目:1食あたり10~19g程度を目標に
2. 外食時は大戸屋やサブウェイなどを活用:低脂肪の選択肢を選ぶ
3. 食物繊維を積極的に増やす:全粒粉製品やオートミールを取り入れる
4. よく噛んで食べる:満足感を高め代謝もアップ
5. お米は敵ではない:冷やしたり雑穀を混ぜたりして工夫する
岡田隆さん
1980年生まれ。東京都立西高校を卒業後、日本体育大学、東京大学大学院にも在籍するなど、教育と研究をしつつ、自らも身体作りの究極の実践者としてボディビル競技への挑戦を続けていらっしゃいます。
2012年から2021年まで柔道全日本男子チーム体力強化部門長としてメダル獲得に貢献。
2023年には、WNBFボディビル世界選手権・プロマスターズ部門で優勝し、世界一を達成しています。
先日の「生活はたんぱく質で踊る」では、たんぱく質の基礎から教えていただきました。
スタジオ出演は初めてとなります。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)