暑熱リスクに「今から」備える 花王がBtoB暑熱ケア事業に本格参入、「冷タオル」常備化を推進
花王(東京都中央区)は12月10日、法人向けの暑熱ケア事業に本格参入することを発表した。記録的な猛暑の長期化に伴い、職場での暑熱対策の重要性が高まっている。同社は企業の「冷タオル」の常備化と積極的な使用を推進し、導入しやすいスキームを構築する。
職場での暑熱リスク軽減や災害時の備えとして、企業に冷却シートの常備化を促す。猛暑時などの積極的な使用を促すことで、快適な就労環境づくりをサポートする。建設やレジャー産業などを中心に約100社が先行導入している(12月時点)。
福利厚生の一環として「冷タオル」を常備 災害時や暑熱リスクに備える
6月から労働安全衛生規則の改正により、企業には熱中症の対策を取ることが義務付けられている。
「ビオレの冷サポート」は、企業に対し、福利厚生の一環として同社の冷却シート「ビオレ 冷タオル」の常備を促し、積極的な使用促進をサポートする取り組み。気化熱の作用で肌の熱(ほてり)を逃がし続ける冷却シートを使用することで、暑熱リスクのある環境で働く従業員のリスク軽減と快適性の向上をはかる。
建設や物流、レジャー施設、飲食など暑熱リスクのある職場を有する企業などに、法人向けカタログなどを通じて、冷却シートの販売と使用を促すことで同社は、猛暑時代における暑熱対策の社会インフラ化を目指すとしている。
販売するのは、首にかけて使用できる冷却シート「ビオレ 冷タオル」と、ノンアルコールタイプの「ビオレ 子どもも使える冷タオル」で、いずれも使用前の肌温度からマイナス3℃が1時間持続するとしている(30℃の屋外使用時、日なた・日陰休憩を含む)。
空調服との併用でさらなる冷却効果も、先行導入企業で検証
約100社の先行導入企業には、清水建設(東京都中央区)や、コカ・コーラ ボトラーズジャパン(東京都港区)、よみうりランド(東京都稲城市)など、多彩な企業が名を連ねる。
暑熱リスクのある職場への先行導入として、2025年夏には清水建設の建設現場で検証を実施。使用した現場作業員は「付けたらひんやり快適で作業がしやすかった」との声が寄せられ、およそ9割が高評価だったという。
冷却シートを首にかけて空調服を着用すると、さらに涼しさを感じたとの声を受けて、株式会社空調服(東京都板橋区)と協働し、同時使用の検証を実施。併用した場合、使用前の肌温度からマイナス6℃が30分間持続することが確認されており、花王は検証結果を踏まえ、企業経営者や労務担当者に向けて「ビオレの冷サポート」事業を積極的に発信し、導入企業の拡大を目指す。
炎天下での作業や外勤、熱中症対策に取り組んだ企業が相次いだ今夏
暑熱リスクの深刻化が加速する中、従業員の熱中症対策に、本格的に取り組む企業が相次いでいる。ヤマト運輸(東京都中央区)とイオンネクストデリバリー(千葉市美浜区)は、従業員のユニフォームや制服を工夫。損害保険ジャパン(東京都新宿区)は、炎天下で事故車両調査を行う社員の安全を守るため冷却デバイス搭載ベストを配備した。総合建設業の荒木組(岡山県岡山市)は作業者の体調をリアルタイムで把握することを目的にウエラブルデバイスを導入している。
炎天下での外勤者にも、暑熱リスク対策は不可欠だ。当メディアでも「中小企業でもすぐに始められる熱中症対策」として営業バッグに冷却シートを含む「命を守る3点セット」の用意を勧めている。
花王の発表は同社公式リリースで確認できる。