ピックアッププレーヤー ハンドボール男子 大分雄城台のダブルエース二宮多輝(2年)の覚悟 【大分県】
全国高校ハンドボール選抜大会が24日から、大分で幕を開ける。大分雄城台のダブルエースの一角を担う二宮多輝(2年)は、静かに闘志を燃やしている。フローターとして活躍する二宮は、もう一人のエースでありキャプテンの市川舜馬(2年)とともに、チームを勝利へ導く。
平井徳尚監督は二宮について、「我慢強い選手」と評価する。練習でも一切手を抜かず、足がつるまで走り続けることもあるという。黙々と自らの役割を果たし、決して派手なプレーではなくとも確実にチームを支えている。その姿勢はまさに「職人」そのもの。感情を表に出すことは少ないが、その内に秘めた闘志こそが二宮の強さの源だ。
全国高校選抜大会の県予選決勝では、九州トップクラスの大分を相手に、わずか1点差の接戦を制した。この試合の決め手となったのが、二宮の土壇場での活躍だった。同点となった試合終了間際に逆転ゴールをねじ込み、チームを全国の舞台へと押し上げた。「最後の場面だったので、気持ちが大事だと思った。諦めずに粘り強さを発揮し、最後の最後で決めきった」と振り返る。二宮の強みである冷静さと勝負強さが、この劇的な勝利を生んだ。
黙々と自らの役割を果たす「職人」二宮多輝
身長167cmとハンドボール選手としては決して大柄ではないが、その分、スピードと瞬発力が光る。相手守備のわずかな隙間を見極め、鋭いカットインで抜き去る。そして、跳躍力を生かしたディスタンスシュート(ロングシュート)で、相手ゴールを射抜く。二宮は「スピードと判断力を武器にした点取り屋」だ。
全国選抜に向けて、九州の強豪校との練習試合を重ねたことでチームの完成度は着実に高まっている。「これまで調子に波があり、点差を一気に広げられることもあったが最近は安定してきた」と二宮は語る。守備では二つの陣形を使い分け、粘り強いディフェンスを展開。加えて、速攻からの得点も増え、攻守にわたるバランスが向上している。
しかし、課題もある。体格に優れる相手との戦いにおいて、守備陣は善戦しているものの、得点力にはさらなる向上が求められる。相手の厳しいマークがキャプテン市川に集中する中、二宮がどれだけ得点を奪えるかが、勝敗を左右する重要なポイントとなる。
二宮は「全国大会では、フローターとしてたくさん点を取ってチームに貢献したい。目標は1試合7、8点」と意気込む。試合の流れが良いときは、視野が広くなり、冷静にプレーできるという。「ディフェンスが鍛えられているチームなので、守備からリズムをつくり、速攻で得点につなげたい」と展望を語った。どんな場面でも諦めず、最後まで戦い抜く姿勢こそが持ち味。全国の舞台で自分の力を発揮し、チームを勝利に導く覚悟だ。
「守備からリズムをつくり、速攻で得点につなげたい」と語った
(柚野真也)