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新作油彩画約60点で横尾忠則の現在地を紹介する「横尾忠則 連画の河」が4月26日~6月22日、『世田谷美術館』で開催

さんたつ

E499-6483

遠い昔に郷里の川辺で同級生たちと撮った記念写真のイメージを起点に、2023年から「連画」制作をはじめた横尾忠則の活動に迫る「横尾忠則 連画の河」が4月26日(土)~6月22日(日)、東京都の『世田谷美術館』で開催される。TOP画像=横尾忠則《メキシカンと農夫》2024年 作家蔵。

時系列で展示された「連画」で今の横尾氏の世界に触れる

横尾忠則 撮影=田島一成。

さまざまな手法と様式を駆使し、多岐にわたるテーマの絵画を生み出し続ける画家・横尾忠則氏(1936-)。1972年には『ニューヨーク近代美術館』で個展を開催するなど、その知名度は国際的にも高く、近年では息の長い驚異的な創造力にも注目が集まっている。

本展は、2023年の春から横尾氏が手掛けた「連歌」ならぬ「連画」制作に着目。昨日の自作を他人の絵のように眺め、そこから今日の筆が導かれるままに描き、明日の自分=新たな他者に託して、思いもよらぬ世界がひらけるのを楽しんで制作されたもの。

展覧会担当者は「一貫したアイデンティティから解放され、変幻自在な自己と出会い続けたい——横尾忠則が絵画制作を通して長らく希求してきたことですが、今回それは『連画』という遊びのかたちで試みられています。悠々と流れる大河=連画のゆくえを、ほぼ制作されたとおりの順で追いかけ、見守る楽しみを味わえる展覧会です」と見どころを語る。

横尾忠則《連画の河を描く》2023年 作家蔵。
横尾忠則《連画の河、タヒチに》2024年 作家蔵。

イメージの源泉は篠山紀信撮影の1枚の記念写真

横尾忠則《ボッスの壺》2024年 作家蔵。

本展の起点となったイメージは、横尾氏が故郷の西脇(兵庫県)で同級生たちとともに収まる1枚の記念写真。その写真は1970年に篠山紀信が撮影したもので、写真集『横尾忠則 記憶の遠近術』に収録されている。序文には、1970年に自決した三島由紀夫が遺した横尾論が収められている。

この写真にインスピレーションを得て、横尾氏は1994年に《記憶の鎮魂歌》(『横尾忠則現代美術館』蔵)という大作を描いており、本展はこの作品から始まる。続く約60点の新作には、篠山の写真や《記憶の鎮魂歌》のイメージをはじめ、川や水にまつわる物語や絵画の画像など、複数の素材に由来するイメージが入れ代わり立ち代わり登場する。

さまざまなイメージが現れては消え、誰も見たことがないのになぜか懐かしくもある光景が流れゆく「連画の河」。ほぼ制作されたとおりの順で追いかけ、見守る楽しみを味わえる内容となっている。

横尾とゆかりのあるアーティストらによる関連イベントも開催

4月29日(火・祝)講演会「横尾忠則、連画の魅力」

4月29日(火・祝)15時~16時30分、講堂にて美術批評家で詩人の建畠晢を講師に招き、講堂にて講演会「横尾忠則、連画の魅力」が開催。横尾のアトリエを訪ね、作家とともに語らいながら本展のための「連画」をじっくり味わった美術批評家・詩人の建畠晢が、連画がひらく新たな地平と、その魅力について講演する。詳細は『世田谷美術館』公式HPにて。

5月3日(土)ピアノコンサート「Yokoo×Mishima×Glass」

滑川真希 Photo=Andreas H. Bitesnich。

5月3日(土)15~16時、講堂にてピアニスト滑川真希氏によるピアノコンサート「Yokoo×Mishima×Glass」が開催。横尾忠則と親交のあった三島由紀夫の、生誕100年の節目でもある2025年。横尾も出演した映画『Mishima: A Life in Four Chapters』(日本未公開)のために、作曲家フィリップ・グラスが創造した楽曲を、日本初演となるピアノ・ソロ完全版で演奏。同じくグラスが楽曲を手掛け、横尾が日本版ポスターをデザインした映画『ナコイカッツィ』からも1曲、日本初演となる。詳細は『世田谷美術館』公式HPにて。

5月24日(土)即興ライブ「Terry Riley & SARA - Musica Geometrica Sagrada -」

テリー・ライリー 2022年 『豊島横尾館』にて (C)Masahiro Ikeda。

5月24日(土)20~21時、1階展示室にて作曲家で音楽家のテリー・ライリー氏と音楽家SARA氏による即興ライブ「Terry Riley & SARA – Musica Geometrica Sagrada -」が開催。互いに深くリスペクトしあう横尾忠則と作曲家・音楽家のテリー・ライリーの音のコラボは、東京では今回が初めてとなる。詳細は『世田谷美術館』公式HPにて。

開催概要

「横尾忠則 連画の河」

開催期間:2025年4月26日(土)~6月22日(日)
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)
休館日:月(4月28日・5月5日を除く)・5月7日(水)
会場:世田谷美術館(東京都世田谷区砧公園1-2)
アクセス:東急電鉄田園都市線用賀駅から徒歩17分または東急バス「美術館」行き終点下車3分。
入場料:一般1400円、大学生・専門学校生・高校生800円、65歳以上1200円、中学生・小学生500円。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方500円、ただし小・中・高・大・専門学校生の障害者の方とその付添いの方(1名まで)無料。
※未就学児無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP  https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00223

取材・文=前田真紀  画像提供=世田谷美術館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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