三宅健、馬場ふみからが出演 恋人たちの愛し合う姿とピアノで紡ぐ音楽を通して愛と平和を描く、奏劇vol.4『ミュージック・ダイアリー』が開幕へ
2025年6月20日(金)よみうり大手町ホールにて、奏劇vol.4『ミュージック・ダイアリー』が開幕する。初日を迎えるにあたって、企画・原案の岩代太郎、演出の首藤康之、出演の三宅健、馬場ふみか、西村まさ彦のコメントと、舞台写真が届いたので紹介する。
音楽が台詞を奏でるが如く役者と演奏者が一体となって繰り広げる独自パフォーマンス空間をコンセプトとし、数々の映画音楽などを手掛けてきた作曲家・岩代太郎が、2018年に旗揚げした「奏劇」シリーズ。第4弾となる今作でおくるるのは、敵国同士で恋人になった男女が、戦争という抗えない強大な力に翻弄され離れ離れになりながら、音楽を通して“交換音楽日記/ミュージック・ダイアリー”で心を通わせ、言葉を交わし合う物語。恋人たちの愛し合う姿とピアノで紡ぐ音楽を通して、戦争の不合理さ、犠牲者への追悼、そして世界平和を唱える。
本作には、3人の俳優と2人のピアニストのみが出演。優れたピアノの名手で音楽大学で作曲を教えるミカエル・ハインズ役に、2022年の奏劇vol.2に引き続き、2度目の出演となる三宅健。同じ音楽大学でピアノを教えているミカエルの恋人 ナザレンコ・ローラ役を演じるのは馬場ふみか。さらに西村まさ彦が2人の恋物語を語るストーリーテラー 久遠泰平役を演じる。
そして2台のピアノがもう1人のミカエルとローラとして“交換音楽日記/ミュージック・ダイアリー”を演奏し重要な役割を果たす。
本公演は、6月29日(日)までよみうり大手町ホールにて上演。
出演者コメント
■三宅健 [ミカエル・ハインズ 役]
前作『Trio』では音楽と演者が交錯する場の広がりを感じていましたが、今回はキャストも音楽も削ぎ落とされ、舞台の密度が格段に高まりました。二台のピアノが織り成す音の緊張感と、三人の俳優による対話の濃度が響き合うことで、舞台上の「間」や「沈黙」にすら意味が宿る。その静けさの中に、より深い感情の流れを感じています。
この物語を通じて伝えたいのは、「愛することは、憎しみよりもはるかに力強い」という真理です。対立のただ中にある二人が惹かれ合う姿は、今なお争いの絶えない世界に対し、静かで力強い問いかけとなる。人を愛するという最も根源的な行為こそが、分断を超える鍵であると、私は信じています。
もしも自分が交換日記をするとしたら、生まれも育ちも全く違う環境で育った人と、国を超えて日記を交わしてみたいですね。今の時代だからこそ、それが容易に出来ると思うし。
人が人を想うことの力強さと儚さ、その本質に触れる物語を、音楽とともに舞台に刻みたいと思います。戦いではなく、愛を信じる二人の心の軌跡が、観てくださる皆さまの胸に静かに届くことを願って。初日、深い感謝と緊張を胸に、誠心誠意、舞台に立ちます。
■馬場ふみか [ナザレンコ・ローラ 役]
「奏劇」には初めて参加するのですが、お稽古は新鮮な日々でした。朗読劇自体も初めてなので、まず稽古期間の短さに驚きました。最初は録音した音源と合わせて本読みや稽古をしていたので、初めてピアニストの方々と合わせた時の衝撃が忘れられません。役者の芝居にピアニストの方々の演奏が加わって、より物語に没入できた感覚でした。
この「ミュージック・ダイアリー」は、やはり、平和への祈りが大きなメッセージになっていると思います。会いたい人に会えて、すぐに連 絡が取れる今の日常が当たり前ではないことを私もこの作品を通して改めて感じました。
もしも自分が交換日記をするとしたら、未来の自分との交換日記をしてみたいです。今の私はこんな感じなんだけどあなたはどう?みたいな感じで、20年後の自分くらいがいいかなぁ。
大変緊張しているというのが本音ですが、自分自身の新しい挑戦ということで楽しみでもあります。役者とピアニストが紡ぐ『ミュージック・ダイアリー』目で耳で体感していただきたいです。
■西村まさ彦 [講談師 役]
とてもゴージャスな舞台に大変興奮しています。生のピアノ、しかも2台のピアノとこれだけの至近距離で言葉と音楽を交わすのは、贅沢な空間だと思います。私自身も、そしてお客さんも、同じ思いで物語に臨んでいただけたら、と思います。どうぞお楽しみください。
岩代太郎 [原案/作曲] コメント
第4弾となる今回の「奏劇」は、ウクライナとロシアの戦争が始まった頃、世界平和を祈って企画が始まった。あれから3年、思いとは反比例して世界には戦禍が広がり、残念な、意味で身近になってしまった。平和を願う思いを持ち続けたい、それが中核をなすメッセージです。
意気込みとは違うかもしれませんが、今回、初めてピアノ演奏のパートを、交代制にして、この奏劇を客席から見ることが出来るのです。そのことがとても嬉しいですし、リハーサルを見ているだけでも、新鮮なよろこびを感じます。そして私たちの志が第4弾にして間違いではなかった、と実感しました。
首藤康之 [演出] コメント
初めてバレエ以外の演出を手がけましたが、とても刺激的な日々でした。別の頭蓋骨が開いた感じです。バレエと決定的に違うのは、言葉があることです。幻想的なイメージで見るバレエとは違い、日常的な言葉がお芝居にはある。日常的なことをそのまま舞台で見せても、それは面白くないので、その見せ方の工夫に意識を持ち続けました。