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新年度予算案を巡る審議 生存権の維持にのっとらない“生存権の壁”

文化放送

3月4日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日本維新の会の年収の壁引上げ案について意見を交わした。

いつの間にか“財務省がギリギリ許せる範囲”に政治家が従っちゃっている

新年度予算案の衆議院採決を巡って、与野党の調整が大詰めを迎える。

日本維新の会は緊急役員会で、所得税が生じる「年収103万円の壁」の見直しに関し、与党が提示した160万円に引き上げる案に賛成する方針を決めた。与党は3月4日の衆議院通過を目指す。

当初予算案を与野党が協議して修正する「国会修正」は1996年の橋本龍太郎内閣以来29年ぶり。国会修正で当初予算を減額するのは55年以来70年ぶり。

(寺島アナ)「新年度予算案を巡る審議ですが、田中さん、ここまでどうご覧になってますか?」 

(田中氏)「コロナ渦以降の政府の大規模な財政政策によって日本経済が急拡大したわけですよ。金融緩和の継続もありましたが。それで税収が大きく増えた一方で、以前よりはいいんですが本格的な経済安定にはあと一歩。特に去年なんてマイナス成長ですから。そういった意味で消費がまだ停滞しているわけですよね。つまり言い換えると“経済の安定のためには、より一層民間の活力を取り戻さないといけない”。そのためには何が必要か?“政府の税金取りすぎの解消”です。つまりそこで『減税』っていうものが政策的な大きなテーマになってきたわけです。“与野党ともに減税をどう考えるのか?”それが問われた予算の審議だったわけですが、蓋を開けてみると官僚政治ですね。官僚が仕切っている。外交も、こないだ石破さんがトランプさんに会ったときに、元官僚だとか官僚の影響の強い政治家がしきりに“大成功だった”と言うわけですよ。石破さんは独自色をまったく出さなくて、まあそれはそれで良かったんですけど、官僚が仕切っていることは明白で。今回の予算案も官僚が野党の方まで手を伸ばしている感じがしますね。そこに維新が乗っかっちゃっているわけですよ。誰が見ても、“年収の壁”が4つくらいに増えているんですよ」 

(寺島アナ)「そうです。今回は年収によって区切っていますからね」 

(田中氏)「なんでそんなことをやったかというと、減税幅をできるだけ抑制したいわけですよ。おそらく一兆円にはぜんぜんいかないですよね?減税幅は6000億~7000億円くらいですか?たしか年収の壁を巡る議論というのは、国民が90年代の終わりからずっと基礎控除みたいなものがまったく上がってない、と。一方で経済はコロナ渦以降にまがいなりにも“安定するかも”という段階に上がったわけですよ。そういった意味では、これは国民民主の理屈ですが“基礎控除は国民の生存権を維持するものでどうしても必要だ”と。もちろん働く人の話だけですから、一方では生活保護の水準も切り上げていかないといけないと言えると思いますが。いずれにしても生存権の水準に見合った形で減税するということだったんですが、蓋を開けてみるとおそらく官僚が設計して、自民党の税調なんかが後ろ支えして出てきた案に、野党の維新が乗ったわけです。結局、減税幅は抑圧されるし、さらに恒常的な減税じゃないわけです。生存権の維持であれば、ずっと続けなきゃいけないのに2年限りです。つまり言ってみれば、去年やった岸田政権の定額減税を規模的にも2年延長っていうだけで手打ちになっちゃったんです。はっきり言ってまったくおかしいです。いつの間にか“財務省がギリギリ許せる範囲で決めました”というところに政治家がみんな従っちゃっている。本当に恐ろしいことですよ」 

(寺島アナ)「ですから国民民主は178万って言いました。今回も160万っていう数字はあるんだけれども2年って決められちゃったり、区分けされたり……」 

(田中氏)「平均すると一人あたり2万とか?人それぞればらばらですから分からないですけど、生存権っていうのは全員平等ですよね?同じ額減税されないと話が合わないわけじゃないですか?というところで始まった年収の壁の引き上げ議論は、官僚が設計した生存権の壁?“年収の壁”に騙されちゃだめですよ。人の生存権に壁作っているんですよ。この人は優遇するしないを決めたのは政治家じゃなくて官僚ですよ」 

〈出典〉 

新年度予算案の修正案 衆議院での審議は大詰め迎える | NHK NEWS WEB

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