犬が『音』を恐がる3つの原因とは 飼い主ができる克服する方法までご紹介
犬が音を恐がる原因
犬が音に敏感に反応して、不安や恐怖、強いストレスを感じて平常心でいられなくなることを「音恐怖症」や「音響シャイ」といいます。
音に恐怖を感じたとき、犬は落ち着きをなくしてウロウロと歩き回ったり、硬直して体を震わせたり、パニックを起こして脱走したりと様々な行動を見せます。
また、長い時間恐怖やストレスにさらされると、嘔吐や下痢などの消化器系症状があらわれることもあります。
1.大きな音に驚いてしまう
犬が恐がる音として「大きく響く音」「破裂音」がよく挙げられます。具体的には、花火や雷、太鼓、ピストル、爆竹などの音が考えられます。
他にも、膨らんだ風船やビニール袋が割れる音なども同様でしょう。
これらは単純に大きく聞こえるだけでなく、鼓膜を刺激して全身に響くような音なので、耳のいい犬には強すぎる影響を与えてしまうのです。
また、唐突になることが多いため、びっくりしてしまうのもおかしなことではないでしょう。
2.音の正体がわからず不安になる
犬が花火や雷、工事現場の音など大きな音に恐がるのは、ただ音にびっくりしているだけではありません。
犬はそれらの音が一体何の音なのか理解できず、「これから何が起こるのかわからない」「恐いことが起こるかもしれない」と感じている場合もあります。
私たち人間の場合は、雷や花火の音に驚いても、それがどこで鳴っていてしばらくすればおさまると理解できます。そのため、恐いと感じても冷静になって落ち着きを取り戻すことができるでしょう。
しかし、犬はそうした事情や情報がわからないため、漠然とした不安や恐怖を感じ続けます。花火や雷の音に驚いて脱走したり隠れたりする犬が多いのは、少しでも音から離れよう、身の安全を確保しようと考えるためです。
3.音を聞くと怖い経験を思い出す
特定の音に対して特に強い恐怖を示す場合、その音に対して何らかの“トラウマ”を抱えている可能性があります。
過去にあった嫌なことや怖かったことを、音と結び付けて覚えてしまっていると、その音を聞くたびに過去の恐怖がよみがえってきてしまうのです。
特定の音にだけ恐がる様子を見せる場合には、その音に関するできごとを思い返してみて、犬が不安や恐怖を感じるようなことはなかったか考えてみてください。
犬が苦手な音を克服させる方法
犬がすでに何らかの音を恐がっている場合は、少しずつその音を聞かせて慣らしたり、その音にいいイメージをつけたりする「音慣れトレーニング」が必要です。
様々な音が収録されたCDや動画サイトなども数多くあるため、犬が恐がっている音を小さな音量で聞かせてみてください。
犬がほとんど気にならない程度の音量からスタートし、聞かせている間にご飯やおやつを与えたり、おもちゃ遊びをしたりして聞き流せるようにします。
犬がその音を聞いても特別な反応を示さないようになるまで、徐々に音量を上げながら慣らしましょう。犬が音を恐がる様子が見られたら、音量を少し下げるなどして調整してください。
この方法は、社会性を身に着けるのに最も適した子犬の時期にも有効な社会化トレーニングのひとつでもあります。
花火や雷などだけでなく、車やインターホン、踏切など人間社会で過ごすうえで聞く可能性のある様々な音を聞かせて、慣らしておきましょう。
また、犬が音を恐がっているとき、飼い主さんが大げさに反応しないことも大切です。パニックになっている犬を落ち着かせようと「大丈夫大丈夫!!」と大きな声で制止しようとしたり、「恐いねえ」と優しくなだめすぎたりするのは逆効果です。
犬はそうした様子を見て「飼い主さんもパニックになっている!」「恐がるくらい大変なことなんだ!」と勘違いして、音に対する恐怖を強めてしまう可能性があります。
犬が恐がる様子を見せたら、落ち着いた態度で冷静に対応しましょう。
まとめ
犬が大きな音や聞き慣れない音などを恐がることはめずらしいことではありません。それは、犬が自分の身の安全を守るために備わっている本能でもあります。
しかし、必要以上に恐がることは、犬にとって大きなストレスになりますし、飼い主さんにとっても心配の種となるでしょう。
恐がる気持ちは受け止めながらも、色々な音に少しずつ慣らしていき、様々な状況でストレスなく過ごせるようにサポートしてあげてください。
(獣医師監修:寺脇寛子)